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西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年10月07日のエンタメ研究所の過去記事

10月7日(木) ※10月9日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
クロワッサンを超えるパンがあるというのなら言ってみろよっ!!キングコング西野です。
さて。
今日は「『制作委員会』という仕組みの共有と、これからの課題」についてお話ししたいと思います。
今日の記事の結論は無く、「…というわけなんだけど、さて、どうしようかしら?」という問題提議で終わるのですが、確かな答えが出ていない今の状況もサロンメンバーの皆様に共有しておきたいので、正直に書きまーす。
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▼ そもそも「制作委員会」って何?
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『映画 えんとつ町のプペル』は製作委員会方式で作られています。
製作委員会方式とは、単独出資ではなく、複数の企業に出資していただく形のことです。
製作委員会を組む理由は大きく2つ。
一つ目は「リスクヘッジ」です。
映画を作るには、大きなお金(制作費)がかかるのですが、このお金を一社で負担すると、
万が一ズッコケちゃった場合、そりゃあもう大変なことになってしまうので(最悪、倒産してしまうので)、そのリスクを分散させる為に、皆でお金を出し合います。
そして、製作委員会を組む二つ目の理由は「作品の拡散」です。
作品を一人でも多くの方に届ける為に、発信力のある企業に出資していただき、それぞれで回収していただく(回収する為に発信していただく)ことで、作品を広める…という下心があったりなかったり。
ローソンさんに出資していただくことで、ローソンさんの店頭に『映画 えんとつ町のプペル』のアレやコレが並んだりするわけですね。
ちなみに、『映画 えんとつ町のプペル』のD V D &Blu-rayをローソン &H M Vさんでご予約いただけると特典で「西野亮廣描きおろしイラストボート(めちゃくちゃイイ感じに描けたルビッチ)」が付いてくるので超絶オススメです。
(※こちらから)→https://poupelle.com/news/?p=1035
そして、ここは大人の話ですが、基本的には出資した割合に対してリターンがあるので(作品の2次利用の権利を渡されたりするので)、製作委員会の人達は、「無駄に出資者が増えること(発信力のない出資者が参加すること)」を嫌がったりします。
出資者が増えると、その分、取り分が小さくなるからです。
ちなみに、僕も「発信力(回収力)のない出資者の参加」は反対です。
『映画 えんとつ町のプペル』はリスクを分散させる為に製作委員会方式をとっているわけではなく(※むしろリスクは背負いたい)、あくまで「作品を広める為」に製作委員会方式をとっているので。
制作費を集めるだけなら、銀行から借りるか、「出資は要らないので、シンプルにお金をください。あなたのお金を僕がイイ感じに使うので」と石油王にお願いします。
そんな中、『映画 えんとつ町のプペル』は、西野(CHIMNEYTOWN)も出資させてもらっているのですが、大企業の名前がズラリと並ぶ中、(ほぼ個人とも言ってもいい)出資を受け入れてもらえているのは、
「西野の発信力は味方につけておいた方が、自分達の取り分が大きくなりそうだよね」という判断をいただいたか、
「出資するから!ボク、絶対に出資するからっ!」と西野亮廣がゴネり倒したか?のいずれかです。
…以上の説明で、なんとなく『製作委員会』という仕組みをご理解いただけたかと思います。
本題は、ここからです。
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▼ 歌舞伎のビジネスモデルを考える
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新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』で市川海老蔵さんとご一緒させていただくこととなり、彼とはことあるごとにディズカッションを繰り返しています。
作品の中身の話は勿論の事、「歌舞伎のビジネスモデルの見直し」についても。
僕もガッツリと首を突っ込むまで知らなかったのですが、歌舞伎というのは、「3億円かけて制作して、チケットの売り上げで3億円を回収する」という“豪快すぎる自転車操業”で、キャッシュポイントが基本的には「チケット代」ぐらいしかないので、とにかく、公演し続けなきゃいけないし、役者は舞台に立ち続けなきゃいけないんです。
役者は舞台に立つのが仕事ですから、舞台に立ち続けるのは当たり前っちゃあ当たり前なのですが、人間ですから体調面の問題もあり、「立ちたくても、立てない」という時もあります。
突然、公演が中止になったとしても、すでに多くのスタッフを抱えていたり、すでに美術セットを制作していたりするので、「公演は中止にしたから、制作費はかかりません」というわけにはいきません。
多くのスタッフの生活と、とんでもない規模の予算が、歌舞伎役者の背中にのっています。
リスクが本当に大きなビジネスで、その苦労と恐怖は計り知れません。
これらのリスクを分散させる手立てとして、舞台でも普通に『製作委員会方式』というのはあるのですが、映画と違うのは「リターンに天井(上限)がある」ということ。
「劇場の座席数×公演日数×チケット代」が歌舞伎の基本的な売り上げで、製作委員会に参加して、作品をたくさん宣伝したところで、「全公演完売」によって生まれる金額以上の(金銭的な)リターンは見込めません。
映画と違って、「ヒットすれば青天井」というゲームじゃないんですね。
そして、音楽のライブとも違うのは、「CD」や「ダウンロード」や「カラオケ」の印税もない。
「歌舞伎の新作を作り、それによって生まれる副産物(2次創作物)が、無限繁殖していく」という状態を作ることができれば、「出資者の旨み」も作ることができて、歌舞伎役者が背負っている様々な負担を減らすことができます。
今朝、田村Pが「自転車操業的に働いていると、時間に追われて、スケジュールを埋めることに追われて、『本腰を入れてビジネスモデルを再構築する』というところまで、なかなか頭がまわらないよね」と言っていて、まさに、そうだなぁと思いました。
感覚で言っちゃいますが、きっと、僕の方から(外野の人間から)、「こんなやり方はどうですか?」と提案する必要があるのかもしれません。
とは言っても、まだ、これといって歌舞伎公演のリスクを軽減して、さらには可能性を広げることができる決定的な打ち手は思いついてはいません。
このナゾナゾを解くのは大きな大きな課題だなぁと思いつつ、今のこの現状を皆さんに共有しておきたかったので、今日は、こんな記事を描かせていただきました。
なんとかします。
現場からは以上で〜す!
 
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