西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年03月01日のエンタメ研究所の過去記事

3月1日(日) ※3月3日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
エゴサーチをしていたら、「キンコン西野は本とか出してるし、調子にのっている」というツイートを発見して、さすがに笑っちゃったキングコング西野です。
さて。
最近はnoteで細々と書いている『30年前の日記』が楽しいし、一昨日、田村Pと呑んだ時には、「もう、ボクの行動や、ボクの考えは、田村さんが全部知ってるんだから、田村さんが『となりの西野亮廣』的なビジネス書を書けばいいと思う」と丸投げ。
そういえば「『ビジネス書』を出したい」という欲がすっかり無くなりました。
西野のビジネス書といえば、だいたい20万部ぐらい売れちゃうドル箱コンテンツですので、惜しまれるところです。
以前もお話ししましたが、これからの『ビジネス書』は、きっと元の居場所に戻って、お堅く、マッチョなものになり、読み手も限定されていくことでしょう。
個人的には、そういう本を「読む」のは好きなので、今後も新刊に期待しますが、一方で、『ビジネス書』という一種の“正解”に対しては「参考程度にとどめておこう」というドライな気持ちが以前よりも膨らんだのは事実です。
正解が溢れ、貧富の差が加速する中、どうやら僕らは『ギフト』と『キャラクター』の時代を生きることになりそうなので、今日は『キャラクター』を少し深堀って、「いいキャラクターとは何か?」を定義したいと思います。
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再ブレイクしたキングコング
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少し前から薄々気づいていましたが、どうやらキングコングが再ブレイクしています。
とはいえ、僕が狙うは「世界のエンタメ市場」で、それには時間が必要ですので、今後も、お声がかかったテレビにホイホイ出ていくことはありませんので、表向きは「弱火」が続きます。どうか、それで勘弁してください。
コンビとしてのブレイクのキッカケは、言わずもがな『カジサック』です。
彼の活躍が全てです。
ただ、梶原君がカジサックになるまでは、ずいぶん(ホント、長い間!)遠回りをしました。
10年ほど前です。
加熱する『ひな段』レースに梶原君も参加していて、連戦連敗。
得意でもないツッコミを入れては、『その他の芸人』になっていました。
「梶原。突っ込んじゃダメだ」
「梶原。あの競争には参加しなくていい」
「梶原。あそこで小笑いをとっても、お前にポイントに入ってない」
「突っ込んじゃダメだ。これから、ツッコミは、お客さんがする時代になるから」
何度も何度も何度も言ったのですが、「芸人かくあるべし」の洗脳は解けず、正解を求めては、負け続け、何年間も自分の椅子を確保できずにいました。
「役に立つ枠」は、「一番役に立つ人」一人でいいわけですね。
僕の問題であれば、僕が世界的に努力すればいいだけの話ですが、相方(他人)のこととなると、話は別です。
いつまでも居場所を見つけられずにいた梶原を見ては、「まいったなぁ」と思う毎日。
そんな矢先(今から6~7年前かな?)、YouTubeというものが出てきて、「これだー!」と飛び付きました。
YouTubeなら、誰に気を使うこともなく、梶原の良さを出せる!YouTubeこそが、梶原の居場所だー!」と興奮し、「YouTubeをやろう!」と梶原君に声をかけました。
ところが、洗脳真っ最中にいた梶原君ですので、「芸人がYouTube?」といった調子で、「西野が言うから、やるけども…」と、しぶしぶ参加。
どうにも勢いにのれません。
今、あらためて6年前の自分達のチャンネルを見返してみると、自分達のチャンネルの中でも、梶原君はちゃんとしようとしていて(真面目でイイ奴なんです!)、「恥部」や「負け顔」を見せません。 
言葉は悪いですが「できる芸人風」です。
それに対して西野も、たいした実力も無いものですから、グズグズと、芯を捉えかねています。#しっかりしろ
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そして、カジサックのブレイク
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それから、コンビとしては大きな結果を出さないまま、5年ほど経ったある日、梶原君が僕に「西野! 次の時代はYouTubeや!」と教えてくれて、「今ーー!!?」と突っ込みましたが、まぁ、嬉しかったです。
たぶん、5年前にそれを言っていれば、ヒカキンさんには勝てたと思うのですが、それも、梶原君らしくて最高だな、と(笑)
そこからの彼の活躍は周知のとおり。
でね。
6年前と何もスタイルが変わっていない(二人でウダウダ喋っているだけ)キングコングYouTubeチャンネルですが、一つ、6年前と大きく変わったことがあります。
それは、「梶原君が圧倒的にポンコツになった」ということです。
風呂敷を広げて勢いよく喋るわりには、それに見合ったオチがあるわけでもない。
それどころか、オチ前に噛む始末。
全速力で走ったぶん、コケた時は派手です。
そして、コケたところを隠さない。
「でへでへ」と笑って、頭を掻いて終わり。
処理もしない。ポンコツの極み。
『カジサック』という自分の居場所を見つけて、余裕が出たのでしょう。
「負け顔」を見せる回数が圧倒的に増えました。
おかげで、どうなったかというと、僕の仕事が増えたんです。
どうやら梶原君の話には大したオチがないから、「ふんふん」と話を聞きながら、「どこで、落とそうかなぁ?」と考えます。
考える時間を十分いただけるので、イイ感じに落とすことができます。
たぶん、今の『毎週キングコング』は面白いハズです。
ここに「キャラクター」についての学びがありました。
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▼いいキャラとは何か?
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「いいキャラ」というのは、「仕事ができる人」のことではなく、「相手に【役割】を作れる人」のことを指すのだと思います。
のび太は「ドジをしたから助けてくれ」という役割を、ドラえもんに与えます。
ドラえもんは、「イイ感じの秘密道具を使いたいから、使いどころを作ってきてくれ」という役割を、のび太に与えます。
漫画『ONE PIECE』にしたって、それぞれのキャラクターが、それぞれのキャラクターに役割を与えています。
ルフィーは航海図など読めません。
漫画を例にあげるのが一番分かりやすいのですが、のび太にしても、ルフィーにしても、「役割を与えられる人(誰かが活躍する機会を作ってくれる人)」の条件は、『キャラに一貫性がある』ということですね。
キャラがブレちゃうと信頼できない(互いの担当範囲がよく分からなくなる)ので。
優秀かどうかなんて、これからの時代において、それほど重要ではなくて、『キャラに一貫性』がある方が遥かに重要で、梶原君が「ポンコツ」を貫いた瞬間に、彼のまわりに活躍できる人が集まり、結果、売り上げも上がっています。
キャラを交換し合うことで、互いのキャラを強化(役割をより明確に)していく『キャラ経済』の足音は、もうすぐそこまで聞こえています。
「優秀or無能」で議論することがもう時代錯誤で、誰かと同じじゃなくていいし、同じじゃない方がいいし、ポンコツにも意味がある。
大切なのは、「キャラをブレさせない」ということだと思います。
現場からは以上でーす。
 
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