西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年03月07日のエンタメ研究所の過去記事

 3月7日(土) ※3月9日以降は『いいね』を押さないでください。

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おはようございます。
コロナショックでピンチのライブハウスを助けるアイデアを求められたので、「アーティストの自宅ライブが見れる権利が並んでいるクラファンをやったらいいんじゃない?」というアイデアを提案したところ、「そこまで言うのであれば、手伝ってくれるんでしょうね?」と迫られて、なぜか、自宅ライブをすることになっているキングコング西野です。
♯あの日見たハメ技の名前を僕達はまだ知らない
(※僕のリターンの売り上げは全額ライブハウスに寄付します)
さて。
昨日の投稿では、なんともエモーショナルな熱い想いぶつけさせていただいたので、今日は、『サービスにならない作品は死ぬ』というテーマで、ドライで、したたかな戦略をお話ししたいと思います。
「発信者で溢れた時代」「モノが溢れた時代」というのは、パッケージビジネスの死を意味すると思っています。
「パッケージ」の定義は広いですが、ここでは、CDやDVDや本といった「手元に残る製品」ぐらいに思っておいてください。
脳内に流れている音楽や物語やメッセージを落とし込んだ作品を大量生産、大量販売し、「どやー!」と叫べる時代は20年前に終わっていて、その後は、世間でもよく言われているように「モノ消費」から「コト消費」に移りました。
音楽も、CDが売れなくなり、代わりに、ライブ市場が伸び始めたのが、この辺りからですね。
「共体験」の価値がグググッと上がってきました。
このタイミングで時代は大きく舵を切ったのにも関わらず、過去にパッケージビジネスで大成功した人たちは「パッケージ至上主義」が抜けず、徐々に遅れをとっていきます。
ところが時代は容赦なく進みます。
S N S等のおかげで、バズらせることが比較的簡単に、毎日のようにニュースターやヒット商品が登場する世の中になりましたが、参加者が増えた分、ヒットが細分化され(一つ辺りのヒットが小さくなり)、さらには「売れ続けること」がメチャクチャ難しくなってきました。(※このへんの話は『オタク経済圏創世記』という本の分析が面白いよ)
このことを本当の意味で把握できているクリエイターは今、とても苦しい思いをしているでしょう。僕もその一人です。
ある程度の経験と才能があればヒット作を生み出すことは簡単なのですが、その作品を「持続」させることが難しく、持続できなければ、その作品は次から次へと押し寄せてくる新作の波に飲まれ、一瞬で忘れられてしまいます。
命と削って作品を世に出しても、手元に残るのは、せいぜい数十万円〜数百万円です。
こうなってくると、クリエイターに与えられた課題は更に難解になり、「愛される作品を生み出す」から、「愛され続ける仕掛けを内包した作品を生み出す」に変わってきます。
これが難しいんです(笑)
「ただ、感動できる作品」は消費されて終わるので、噛めば噛むほど味がするように設計しなきゃいけないし、噛みたい時に噛める環境を用意しなきゃいけません。
このサロンでも、よく言っていますが、たとえば「VR化を見越して、絵本のキャラクターと背景の魅力の比率を3:7にした上で、VRを開発する」とか、
VR映えするように、物語の舞台(町)に高低差をつけた上で、VRを開発する」とか、
「個展で国内外を巡回できるように、絵本はイラストページと文章ページを完全に分けた上で、国内外を回る個展を仕掛ける」とか、
そういった「作品発表後の作品の使われ方」を事前に設計した上で、作品を作らなければいけなくなりました。
これ、一言で言うと、『作品』じゃなくて、『サービス』なんです。
日常に溶け込ませて、「使われ続けないといけない」んです。
世の中には、たくさんのクリエイターがいますが、ほとんどの人が、ここが設計できていない。みんな、『作品』を作っちゃっているんです。
スナック『CANDY』が何故必要かというと、「えんとつ町」を日常に溶け込ませて、『えんとつ町のプペル』をサービスにする必要があったからです。
主題歌を作って、『天才万博』というフェスを用意している理由は、『えんとつ町のプペル』をサービスにする必要があったからです。
(※ちなみに、次回作『みにくいトーマス ~えんとつ町に咲いた花~』には、『天才万博@東京キネマ倶楽部』が出てきます)
スナックにできない作品を生み出しても、殺されてしまうんです。
LIVE(フェス)にできない作品を生み出しても、殺されてしまうんです。
サービス化できない作品は殺されちゃうんです。
あ〜!ドライに戦略を語るハズが、なんか熱くなってきちゃったっ!!
作品をサービス化して、想起してもらわなくちゃいけません。
「いかにして、お客さんの日常生活に自分の作品を混ぜ込むか?」という作業です。
これは厳密にいうと「サービス」ではないのですが、日常生活に混ぜ込む施策として、次に、映画『えんとつ町のプペル』の10分間の無声動画を作ろうと思っています。
「壁紙」として機能するように、音無しです。
おそらくイベント会場等でも流すと思うのですが、そこだと「非日常」なんですね。
というわけで、流す場所は決めています。
毎朝7時に配信している僕のYOUTUBEです。
あのチャンネルは音声のみでお届けしているため、画面が空いているんです(笑)
おかげで、合法的に毎日流すことができます。
そんなことを考えているキングコング西野でした。
話をまとめると「サービス化できない作品は作らない」という話っす。
今日も、お互い頑張っていきましょう。
現場からは以上で〜す。

 

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