西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年03月16日のエンタメ研究所の過去記事

3月16日(月) ※3月18日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昔、超絶お世話になっている先輩から「面白いことをしなかったら殺すぞ!」というパワハラ発言の向こう側を見せてもらったことがあるキングコング西野です。
頑張って、面白いことをします。
さて。
今日は『えんとつ町のプペルVR最新作』の話をしたいのですが、「なぜ、そのような設計にしたのか?」まで共有したいので、VRの話に辿りつくまでにメチャクチャ遠回りします。
さてさて。
「この情報は自分の役に立つか否か」で、情報の取捨選択をしてしまう人は、まもなくジリ貧になるだろうなぁと思っています。
自分と同じように、他の皆も「役に立つ情報だけ」を取り込んでいるので、どう編集しようが、そもそも素材が同じなので生まれてくるアイデア・発信は当然かぶってきます。
「大根が安く手に入るからといって、全員が大根料理専門店をしたら、そりゃ、上手くいかねーよ。人口が増えたわけじゃねーんだから」という話です。
僕は、「役に立つか否か」なんて、もちろん周囲の評判もどうでも良くて、自分の直感に従って情報を仕入れて、その後に「ボクは、どうして、この素材に反応してしまったのだろう?」ということを考えます。
たとえば、「屋根の上に上がる」って楽しいじゃないですか?
「屋上に上がる」よりも、なんか楽しいですよね?
『高さ』は変わらないわけです。
となると、僕を興奮させている理由は他にある。
「不安定さ」なのか、「いけないコト」なのか。
僕を興奮させた理由の仮説を立て、検証し、因数分解をして、言語化して、「ネタ」として保管しておく。
先々で、その「ネタ」が転用できる場面が巡ってきたら、ズドーンと出しちゃう。
昨日、お話しした「沖縄のラーメン屋→ブロードウェイの攻略法」なんて、まさに。
(※昨日の記事をまだ読まれていない方は、先に、そっちを読んでね)
沖縄のラーメン屋の行列を見て、「ラーメン屋のノウハウは自分の役は立たないな」と蓋をしていたら、ブロードウェイの戦略には繋がらなかったんですね。
というわけで、ここからが本題です。
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▼ 「不便」が生みだすコミュニケーション
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僕は今、『たけしの挑戦状 ビヨンド』という舞台の稽古の日々です。
(※地方公演は、名古屋、高知、広島、大阪があります)
ここ最近は、予算も内容も自分の好き勝手にやらせてもらっていたので、「この範囲で頑張って、結果を出してください」という仕事は久しぶりで、新鮮で、楽しくやらさせてもろてます。
この舞台は、伝説のクソゲーと言われた『たけしの挑戦状』というファミコンソフトが軸となり進んでいく物語なので、稽古場にはファミコンが常にスタンバイされていて、休憩時間に、演者全員で『たけしの挑戦状』をプレイするんです。
僕も今回はじめてプレイしたのですが、「伝説のクソゲー」に偽り無しで、本当にクソゲーなんです(笑)
基本、「謎解きゲーム」なのですが、ヒントもヘッタクレもないんです。
たとえば、観葉植物の前でしゃがめば『ヘソクリ』がゲットできるんですが、「観葉植物の前でしゃがめば、何かあるかも」というヒントが、どこかに隠されているわけじゃないんです。
『ヘソクリ』をゲットする方法は以下の二つ。
・偶然見つける 
・偶然見つけた友達から聞く
なんと、乱暴なゲームなのでしょう。
たけしの挑戦状』は、この調子で不親切に進んでいくので、稽古場の皆は、それぞれ骨を折りながら、それぞれに、あらゆるパターンを試して、「あそこでジャンプしたら○○が出たよ」「あそこで△△をしたら、次のステージに進んだよ」と情報交換を繰り返します。
結果、気がついたら、皆、メチャクチャ仲良くなっているんです。
「コミュニケーションをとらないと絶対に解けないゲーム」なので。
「役に立つか否か」は分かりませんが、「面白い」と思いました。
僕が「面白い」と思った理由(計算式)は以下のとおり。
① 不便。
② 協力する理由がある。
③ コミュニケーションが生まれる。
④ すべてのエンターテイメントのクオリティーが上がり、ほぼほぼ均一化された今、最高のエンターテイメントは予測不可能な『コミュニケーション』である。
④の価値が日増しに上がっていることは明らかで、そこから逆算すると、これからのエンタメは①は織り込んでおくことが大切です。
つまり、「戦略的不便」ですね。
これが織り込まれていないと、『コミュニケーション』という最高のエンターテイメントを提供することができません。
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▼ そんな中、はじまったVRソフト開発
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そんな中、昨日、『えんとつ町のプペルVR』の最新作の開発がスタートしました。
昨日、パイロット版を体験させていただいて、ひっくり返ったのですが、前作とは比べ物にならないぐらい、技術が進化していて、遊び方のパターンが増えていました。
言葉で説明するのは非常に難しいのですが、「7~8階建て」のビルをイメージしていただけるといいと思います。
僅か8畳ぐらいのスペースで、7~8階建てのビル(VR空間)を歩き回れるのですが、同時プレイが可能で、僕が3階を歩いている時に、田村Pは5階を歩いていたりします。
VR空間では別の階層にいますが、現実世界では同じ場所にいるので、声は聞こえてくるんです。
つまり、トランシーバーで遠くの人と繋がっている状態ですね。
こうなってくると、「遊びシロ」が無限大です。
各階層に「前に進むためのアイテム」を置いておいたり、置いておかなかったり。。
「特別なルートを通らないと稼働しないエレベーター」を作ったり。。
そこに時間制限を設ければ、手分けして探すしかありません。
「3階をしらみ潰しに探したけど何も無かった!4階は、どう?」みたいな会話が行き交うわけですね😉
『えんとつ町』は、地下炭坑があって、ミルフィーユ状の町があって、背の高い煙突があって、煙があって、星空がある…『縦移動の町』です。
たとえば!
①西野が煙突の上から中を覗いたら、『手がかりとなる地図』が、煙突の中の壁にひっかかっているけど、手が届かない。
②田村が暖炉に火をつける。煙突の中を、煙がモクモクと上がっていき、煙突の中の壁にひっかかっていた『手がかりとなる地図』を舞い上がっていく。
③それを煙突の上にいる西野がキャッチ。
みたいなことが可能になるわけですね。
「いくよ!今から火をつけるよー!」というコミュニケーションが生まれます。
こういった『不便』を、ノーヒントで提供する。
ヒントを無くしてしまえば、コミュニケーションをとるしかありません。
「リアル脱出ゲーム」よりも、もう少し不親切で、もっとコミュニケーションがとれるエンターテイメントを作れることを確信しました。
VRの脚本作りから、皆さんと共有していこうと思うので、脚本執筆が進み次第、随時、ここにアップしていきますね。
お楽しみに!
現場からは以上でーす。

 

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