西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年04月01日のエンタメ研究所の過去記事

4月1日(水) ※4月3日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
そういえば小学生の頃、「廊下は走らない」というルールをキチンと守って、走るぐらいのスピードで競歩(=両足が同時に宙に浮いている時間が無いように早歩き)をしていたのですが、あの対策に何の意味があったのか教えて欲しいキングコング西野です。
さて。
今日は『ニーズの向こう側まで掘り起こせ』というテーマでお話ししたいと思います。
ちょっと長くなるかもしれません。
ゴッリゴリの勉強回(マーケティング編)です。
皆様にも御協力いただいた(あざす!)、美容室『NORA』の前売り券サービスが好評です。
昨日、サイトを見てみると「ヘアカラー」の前売り券(※利用期限3年)も出ていて、さっそく、購入して、ウチの女性スタッフにプレゼントさせていただきました。
趣味の合わないプレゼントを贈るぐらいなら、プレゼントの受け取り手が確実に使うことが決まっている「ヘアカット」や「ヘアカラー」を贈った方が喜ばれることぐらい簡単に分かるのですが、どっこい僕らはコロナが襲ってくるまで、美容室を『ギフトショップ』として捉えていませんでした。
固定概念って、強いっすね!
「サービス購入者」と「サービス利用者」が別で、かつ、一定のサイクルで確実に需要がまわってくるビジネスを、僕は『ランドセルビジネス』と呼んでいますが、なるほど美容室も『ランドセルビジネス』だったわけです。
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▼ コロナ時代を生きる
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今朝のVoicyでもお話させていただきましだが、どうやらコロナは『流行り病』として捉えるのではなくて、インターネットが出てきた時のような、スマートフォンが出てきた時のような、『時代』として捉えた方が良さそうです。
スマートフォンによって世界が強制的に変えられたように、コロナによって、僕らの生き方や働き方は強制的に変えらます。
コロナが落ち着いたところで、去年のような毎日が再開することは無いでしょう。
このサロン内で、現在進行形でお見せしていますが、ここ数日で様々なサービスが立ち上がり、文化のアップデートが起きています。
今朝のVoicyで「節約することは超大事だけど、最先端の情報を得るコストだけはカットしない方がいい」という話をさせていただいました。
これは何も『西野亮廣エンタメ研究所』をドヤりたかったわけでも何でもなくて、ここで情報を仕入れるか仕入れないかで、その後、大きな大きな差が出るだろうな、と。
自分の話をすると、僕を大きく前に進めてくれたのは、スマートフォンで、「画面が小さい=ひな段は不向き」「個人で発信=ダイレクト課金がカジュアルになる」という情報を日本のタレントさんで一番速く仕入れ、対応したから、今、こんな形になっています。
「美容室はギフトショップとして機能する」ということを自分事として吸収されたNORAさんは、今後、ギフト面を強化していくと思います。
連日対応にあたり、その変化をゼロ距離で見ているウチの社員さんやインターン生は、時代の機微を捉え、今後、(使える歴史は使った上で)まったく新しいアプローチを仕掛けていくことでしょう。
僕らは今、突然やってきた時代の大変革期に立ち会っていて、ここから様々なサービスを新たに作っていかなくちゃいけません。
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▼ ニーズの向こう側まで掘り起こせ
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昨日、公園をジョギングをしていたら、オジサンが鳩に餌をあげていて、公園職員が「鳩に餌をあげないでください」と注意していました。
マーケティングの教材として、これほど面白い素材はないので『オジサンが鳩に餌をあげる理由』をマーケティング目線で因数分解してみたいと思います。
クレイトン・クリステンセンという頭の良いオジサンが提唱した『ジョブ理論』という面白い話があります。
僕らは商品(サービス)を売るときに、何かと「ニーズ」を考えちゃいます。
「ニーズがある」とか「ニーズのない」とか、「意外とニーズがあった」とか、何とか。
でも、「ニーズ」って、ちょっと曖昧じゃないですか?
『子育てをしている親は絵本を求めている』というニーズがあるからといって、絵本を出せば売れるわけじゃないですやね?
「『えんとつ町のプペル』が売れたのはニーズがあったから」には違いないのですが、どういう人が何を求めて、「どういう問題を解決したくて」『えんとつ町のプペル』を買ったのかを、その理由をミリ単位で把握しておかないと、ヒットの再現性はありません。
ただの一発屋で終わりです。
ちょっと難しい話になるのですが、『ジョブ理論』の『ジョブ』とは何かというと、「ある特定の状況で、人が解決したい問題」を指します。
そして、商品(サービス)は、「お客さんが解決したがっている問題」を解決する便利屋として雇われる(買われる)というのが『ジョブ理論』です。
「ニーズ」というのは、買われる商品(サービス)のことで、「ジョブ」というのは、お客さんが解決したい問題のこと。
ニーズを生み出す源泉ですね。
サービス提供者は、この「ジョブ」を捉えなくてはいけません。
SNS全盛の現代において、「前を向こう」「希望を持とう」「夢を諦めないで」というメッセージは言いたくても、なかなか言えないじゃないですか?
攻撃の対象になってしまうので。
「だけど、次の世代を生きる子供達にはやっぱり夢は持っていて欲しい。どうしたものか?」…というのが『ジョブ』ですね。
そこで『えんとつ町のプペル』という「皆にバカにされながらも星を見つける物語」を出し、なんなら、その絵本展の開催権利も出しちゃう。
子供達に伝えたいメッセージは、コイツが代わりに言ってくれるので(自分の代わりに働いてくれるので)、便利屋として雇おう(買おう)のなるわけですね。
えんとつ町のプペル』は絵本ではなくて、「代わりにメッセージを伝えてくれる人」で、これが『ニーズ』です。
話を公園の鳩オジサンに戻します。
オジサンに「鳩に餌をあげないで」と言う前に、公園職員が考えなきゃいけないのは、オジサンの『ジョブ』です。
つまり、「オジサンは、どんな問題を解決しようと思って、『鳩に餌をあげる』という行動を買ったのか?」という部分。
でね、僕、ときどき、鳩に餌をあげているオジサンに話しかけるんです。
(※コミュニケーションモンスター!)
いろいろ、お話を伺っていると、「定年退職した」「子育てが終わった」「奥さんに先立たれた」…という答えが返ってきます。
これらの共通点は『役割が無くなった』です。
『求められなくなった』と言い換えることもできますね。
オジサンには「どうにか、自分が求められないものか?」という『ジョブ』があるわけです。
その『ジョブ』を解決する方法として、「鳩に餌をあげる」というサービスを買ったわけなので、公園職員が「鳩に餌をあげないで」と叫んだところで、本質的な改善になりません。
公園職員がやらなくちゃいけないのは、「鳩に餌をあげないで!」と注意し続けることではなくて、オジサンの『ジョブ(=役割を求めている)』を突き止めて、「この公園で鳩に餌をあげている人を見かけたら、話し相手になってあげてくれませんか?」と【役割】を与えることです。
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▼ まとめ
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突然やってきた「コロナ時代」。
僕らは、これまでのサービスを踏まえつつ、新しいサービスを開発しなければなりません。
その時、「当てずっぽう」で開発してはダメで(それこそコストの無駄!)、『ニーズ』と『ジョブ』を切り分けて考えて、キチンとお客さんの『ジョブ』まで掘り起こすことが非常に重要になってくると思います。
「あの店に並んでいるあの人は、どんな問題を解決したがっているんだろう?」
これを考え続けることが大事だってばよ!(※忘れてた頃にNARUTO)
頑張ろうねー!
現場からは以上でーす!
 

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