西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年04月06日のエンタメ研究所の過去記事

4月6日(月) ※4月8日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
ソーシャルディスタンス(社会的距離)という言葉を初めて聞いた時に、最初に頭に出てきたのが『バブルサッカー』と『一蘭(ラーメン屋)』だったキングコング西野こと「お花畑」です。
さて。
今が「時代の変わり目」であることは、まごうことなき事実で、この時、仕事人は、どこに注力すれば「なんかイイ感じの未来」を迎えられるのでしょうか?
僕なりに、「ここは絶対に押さえておいた方がいいと思うよー」という結論がありますので、『コロナ時代を生きる』というタイトルで、今日と明日の二日に分けてお話ししたいと思います。
1日目の今日は『ブランド』について。
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▼ 5月の個展(@ルクア大阪)の延期が決定
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昨日、ウチのインターン生の「まーちゃん」の方から、来月の個展の【延期】が発表されました。
中止ではなく、【延期】です。
ルクア大阪、えんとつ町のプペル、オンラインサロンのファンを作る」というゴールを目指して立ち上がった今回のイベントは「まーちゃん」がウチにきて一番最初に手掛けるプロジェクトであったので、そりゃまぁ、やらせてあげたかったのですが、このタイミングでブレーキを踏んだのは120点だと思います。
始めるよりも、始めたものを辞める方が遥かに難しいので(※ほとんどのリーダーは、それができなくてチームを殺しちゃう)、その判断を早い段階でできた彼女は優秀です。
お客さんの身の安全以上に価値のあるエンターテイメントなど存在しません。
優しくないのは面白くありません。
ウン百万円の赤字を生もうが、
ウン千万円の赤字を生もうが、
ウン億円の赤字を生もうが、
そんなことはどうだってよくて(※そんなもんは一瞬で回収する)、
そんなことよりも、お客さんおよびスタッフを守ることの方が遥かに大切です。
「元気があれば何でもできる!」(by 春一番)
まーちゃん、いい判断だった。
最高。
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▼ コロナ時代を生きる ~ブランド~
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今回のルクア大阪さんと「まーちゃん」の判断の何が最高だったのかを、ゴッリゴリのビジネス目線で切り取ってみたいと思います。
ここからが本題です。
数年前から「VUCA(ブーカ)の時代」という言葉をよく聞くようになりました。
『VUCA』というのは、
Volatility(変動性)、
Uncertainty(不確実性)、
Complexity(複雑性)、
Ambiguity(曖昧性)
の頭文字をガッチャンコさせた軍事用語です。
要するに、「先が読めない時代」ということですね(#最初からそう言えよ)。
ただでさえ先が読めない時代なのに、加えて『ウイルス問題』が新たにトッピングされたので、いよいよ先が読めません。
ただ、時代がどう転ぼうが、どんな困難がやってこようが、比較的ビクともしない存在があります。  
『ブランド』です。
世の中にあるすべての商品は、「商品」と「ブランド商品」の二つに分けることができます。
同じ『鞄』でも、『どこかの会社が作った鞄』と『GUCCIの鞄』は明確に違うわけですね。
『ブランド』を辞書で引くと「特定生産者による品物」と出てくるので、それで言うと『どこかの会社が作った鞄』もブランドには違いないのですが、実際問題、僕らは『どこかの会社が作った鞄』をブランドとして捉えていません。
どうやら、ブランドを「特定生産者による品物」と翻訳するのはチョット違うみたいで、もう少し解像度を上げた方が良さそうです。
僕は、お仕事を進めていく上で『ブランド』を「ファンがいる状態」と定義しています。
それは、「ファンがいないのなら、ブランドじゃねぇよ」ということなので、結構、厳しい線引きです。
この定義だと、少し酷ですが、TVタレントさんの多くは「ブランド」ではありません。
今、製造業や飲食店や小売店、そして、表現者は大打撃を受けています。
実店舗に足を運べませんので、GUCCI(ブランド)だって他人事じゃありません。
たしかに正攻法(実店舗の売り上げで会社をまわす)だと売り上げは落ちますが、ファンには「ブランドを残したい」という気持ちがあるので、「支援先」や「別の課金先」や「今だからこそ買えるもの」あれば、ファンはそこにお金を使います。
場合によっては、オンラインショップで、「今、会社が死にそうなので、ごめんなさいっ!」と正直すぎる一言つけくわえて、「3000円」の商品を今だけ「3100円」に値上げしたら、ファンにとってみれば、『買う理由』が増えているので、いつもより売れるでしょう。
先日の『株式会社NISHINO活動報告会』(無観客配信)なんて、まさに。
チケット代は払い戻しだったのにも関わらず、配信の動画やイベント台本等の販売で、通常時よりも売り上げを伸ばしました。
大切なのは、トップが臨機応変に別のマネタイズポイントを作ること。
そして、「ファンがいること」です。
別のマネタイズポイントを作ったところで、ファンがいないことには売れません。
VUCA時代こそ「ブランド」であることが、とってもとっても大切なんですね。
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▼ どうすればブランドになれるのか?
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となってくると、「じゃあ、どうすればブランドになれるのか?」という話になってきますよね。
この問いに対しては、まず僕たちが知っていることとして『ハイブランドがハイクオリティーとは限らない』という事実があります。
つまり、ただただ機能(役に立つ)だけを追及しても、ブランド(意味がある)にはなりえないわけですね。
そして、もう1つ。
『ブランドの価値は、人それぞれの主観によって決まる』という事実があります。
フィリピンのスラム街の人達に、【北大路魯山人の器】を渡したら、普通に食器として使われて、まもなく米粒だらけになります。
「あの人にとってはブランドでも、この人にとってはブランドではない」ということがあるわけですね。
つまり、ブランドをブランドたらしめるのは、『機能』でもなければ、『見た目』でもないわけです。
ブランドを作っているのは何か?
答えは『ストーリー』です。
これ、間違いないっす。
親にとっての最高のブランド人が「我が子」であるのように、共に笑い、共に苦悩し、共に涙し、共に歩んだ時間が「思い入れ」となって、ブランドを熟成させるわけですね。
SMAPファンなんて、まさに。
「あの中居君が、こんなに立派になって」とか親戚のお姉さんみたいなことを平気で言って、かれこれ30年以上応援しています。
ブランドになる方法は「魅力的なストーリーを売ること」です。
んでもって、ここから話がギュイイイ~ンと戻るのですが、今回延期になった個展の目的は、「ルクア大阪、えんとつ町のプペル、オンラインサロンのファンを作ること」です。
個展の延期が決定した直後、4000人を超えるイベントグループに届いたコメント一件一件に「まーちゃん」が謝っていて、皆様から「いやいや、今回は仕方ないよ!次だ!次!」という言葉をいただいているのを見て、今回の個展の目的は十分達成されたことを確認しました。
「できなかった」というストーリーが生まれたことは、この先、何年何十年と続く「ルクア大阪さん」や「まーちゃん」にとってプラスでしかないし、ブランドとして1つ上のレベルにいったなぁと西野はニヤニヤしています。
今回の一件から学ぶことは、「制作過程をゼロから共有していたから『ストーリー』が生まれた」ということ。
これ、旧来のやり方で「完成するまで見せません」だったら、イベントの中止や延期の判断が、何も生み出さない結果になってしまうんです。
サービス提供者は、
①コロナ(VUCA)時代
②ブランドにならなくてはいけない
③ストーリーを売らなくてはいけない
④その為には…
ということを考える必要がありそうです。
お互い頑張りましょう。
明日は『コロナ時代を生きる ~エネルギーの流れ~』というスピ系みたいなテーマでお届けします。
「宇宙の法則」とは出てこないので、御安心ください。
現場からは以上でーす。

 

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