西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年05月28日のエンタメ研究所の過去記事

5月28日(木) ※5月30日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
新入社員&インターン生らの講演会のチケットが各自2000枚~2500枚売れたという報せ受けて嫉妬しているキングコング西野です。
さて。
ここ(サロン)でしかコミットしていない方はお忘れかもしれませんが、僕は本業が別でありまして、本業を生み出す過程や、届ける過程で気づいたことを、日々、サロンで共有させていただいております。
「サロンの人」じゃないんです(^-^)
僕のメインのお仕事はエンターテイメントを作ることで、1日のほとんどの時間を『ファンタジー作品』の制作に費やしています。
これだけ殺伐とした時代に、せっせとファンタジーを作る希有な存在です。
年末には映画『えんとつ町のプペル』が公開されますが、僕のファンタジーアタック(#なんだよソレ)は、もちろん映画公開で終わりではありません。
映画公開は開始の鐘で、そこから新作をポンポン出していきます。
とりわけ、絵本『夢幻鉄道』という作品は、映画公開後に(プペル以外で)活動の軸となってくると思います。
ここから先の話は本気でナイショですが、絵本『夢幻鉄道』は最初からシリーズ化を見越していて(シリーズになるように設計していて)、順当にいくと第1弾は蜷川実花さんとのコラボ作品となります。
イラスト監督=蜷川実花
脚本=西野亮廣  
といった感じです。
その後すぐに、イラスト監督・脚本=西野亮廣による絵本『夢幻鉄道』の第2弾を発表しようと思っておりまして、本日のサロンの記事は、いつもと趣向を変えて、『夢幻鉄道』の第2弾のプロット(※ストーリーを箇条書きしたもの)を、ここでサロンメンバーの皆様に共有し、6万人が見ている前で、文章を仕上げていきたいと思います。
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▼ みんなで編集!
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『夢幻鉄道』の第2話「チョボと不思議の国」の
ストーリーはすでに完成しています。
ページ割りも済んでいます。
あとは、箇条書きされた文章を、絵本用に編集する作業です。
こういうのは皆でやった方が面白いそうなので、実験的に皆でやってみます。
編集参加方法は、いたって簡単。
画像(該当ページ)に返信する形で、「ここは、○○と表現した方がいいと思います」といった感じで、提案してみてください。
「おー!それいいじゃん!」となったら、すぐに書き直します。
この調子でやれば、今夜には編集作業が終わると思います。
ポイントは一つ。
「カッコつけた言い回しや、回りくどい言い回しはNG!いたってシンプルに!」
です。
※サロン内で『夢幻鉄道』の編集作業をやっていることや、『夢幻鉄道』のストーリーの感想を表で呟くことはOKですが、ストーリーの内容を出すのは、もうビックリするぐらいNGです。
西野はいつでも法廷で戦う気でいます。
はたして、1日で完成するのでしょうか?
ちょっと、やってみます(^-^)
一枚目の画像をクリックして、あとは下にスクロールしていってくださーい。
※画像に添付したストーリーは全て表示されていないので、【…もっと見る】をクリックして、ページを開いてね!
これ、絶対に忘れないで!!
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
 

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『夢幻鉄道 ~チョボと不思議の国~』  

【1】 ヘンテコな金具をくわえた犬が僕の家にやってきた。 目の不自由な人の命を守る「盲導犬」だ。 盲導犬は10歳で現役を引退することが決まっているみたいで、ウチで引き取ることになった。 名前は「チョボ」。 僕は、ウチに来るまでのチョボのことを何も知らない。  

【2】 チョボは賢い犬だ。 急に走り出したりもしないし、無駄に吠えたりもしない。 「チョボ、『ゴー!』」 盲導犬として訓練されたチョボは、「指示」に逆らうことはない。 「ゴー」と言えば、前に進んでくれる。  

【3】 「お前の前の飼い主さんはどんな人だったの?」 チョボに話しかけても、返事はない。 チョボが何を考えているか僕には分からない。 ときどきチョボは、うんと遠くの方を見る。 「どうした? 何を考えてるの?」 チョボに話しかけても、返事はない。

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【4】(※少し曇っている) チョボは、散歩に出る時に必ずあの「金具」を持ち出そうとする。 前の飼い主さんと散歩に行く時に、これを身体に巻いていたらしい。 「チョボ、会いたいのか?」 盲導犬は目が不自由な人の命を守る仕事。 だから、歳をとってしまうと、ずっと一緒にいた飼い主さんと離れなくちゃいけないんだ。 「会いたいんだな?」  

【5】(※雨の藤棚・ベンチには夢幻鉄道の車掌が座っているが、少年には見えていない) 雨が降ってきたので、僕らは藤棚の下に駆け込んだ。 チョボは、じっと動かない。 チョボは生まれてすぐに訓練を受けて、それから、ずっと盲導犬として働いてきた。   僕はときどき考える。 チョボは幸せなのかな? 命令通りに動くなんて、ロボットみたいだ。辛くなかったのかな?

 

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【6】 その夜のことだ。 チョボの大きな鳴き声で目が覚めた。 ずっと吠えている。こんなことは初めてだ。 父さんと母さんは、まったく起きない。 このままだと近所迷惑だ。    

【7】(※雨脚が強くなってる)   庭に出ると、チョボが門をよじのぼろうとしていた。 「チョボ。静かにしろ」 いつもの賢いチョボじゃない。 とても興奮していて、外に出たがっている。 僕は門を開けた。  

【8】(※家の外に出ると走り出すチョボ) チョボが、すごい勢いで走る 行き先は決まっているようだ。 どうしたんだろう? 僕は慌てて後を追った。

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【9】 チョボに着いて行くと、昼間の藤棚に着いた。 電車が停まっている。 なんで、こんなところに線路があるんだ?  

【10】(※夢幻鉄道に乗るチョボ。後に続く少年) 「おい、チョボ」 チョボは僕の声を振り切って電車に乗り込んだ。 「ちょっと、待って!」

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【11】 電車の中は、不気味なぐらい静かだ。 皆、一つも音を立てずに、背筋を伸ばして前を向いている。 こんな時間なのに、仕事帰りで疲れた様子もない。    

【12】 「すみません。降ります」 車掌さんに僕の声は届かず、すぐに電車が走り出した。 雨で窓が曇って、まったく外が見えない。 この電車は、一体、どこに向かうんだろう?

 

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【13】 どれぐらい電車に揺られただろうか。 ようやく電車が停まった。 「妙見口妙見口。終点です」 電車を降りて、僕は目を疑った。 朝になっている。 おかしい。 そんなに長い時間は電車に乗っていないハズだ。 それに…

 

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【14】 ここは、どこだ? こんな街、見たことがない。 次の瞬間。一緒に電車に乗ってきた人たちが、水の上を滑るように走っていく。 なんだか幽霊みたいだ。 「チョボ、帰ろう。この街、なんかヘンだ」    

【15】 チョボが走り出した。 やっぱり、チョボには行き先が決まっているみたいだ。

 

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【16】 チョボの後を追って、迷路のような路地を抜けると、目の前に大きな水溜りが広がった。 水溜りが空を映すせいで、空と地面が繋がっているみたいだ。 その場所に、お爺さんが一人で座っている。 チョボはお爺さんを見つけると、しびれを切らしたように走り出した。  

【17】 チョボが、お爺さんに飛びついた。 右へ左へ、大きく尻尾を振っている。 あんな嬉しそうなチョボを見たのは初めてだ。 「おお、チョボ。こんな顔をしとったんか」 お爺さんはチョボの名前を呼んだ。  

【18】 お爺さんがこっちに歩いてきた。 「この子の仕業でしょう? すみませんね。こんな遠いところまで巻き込んでしまいまして」 「お爺さんは?」 「チョボの、前の飼い主です

 

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【19】 「お爺さん、目は?」 前の飼い主さんは、目が悪いハズだ。 「ここでは、見えます」

「ここでは?」  

【20】 「変な場所でしょう? ここ」 たしかに。こんな水浸しの街は見たことがない。 「ここは夢の中です」 「夢の中?」 お爺さんがマフラーを撫でて、言った。 「彼女が、また、夢を見ているのでしょう」

 

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【21】(※お爺さんと同じマフラーをした老婆がコッチを見て立っている) 気がつくと、少し離れたところで、お婆さんが立っていた 「私、先月、死んじゃいましてね…」 お爺さんは、淡々と話す。 「ところが、このとおり。 彼女が私を夢に出してくれるおかげで、死んだ実感がありません」 お爺さんは笑った。  

【22】 「生前、私は水辺が苦手でね。きっと、チョボは、私のことが心配になって、こんなところ   まで来てくれたんでしょう」 お爺さんはこの場所が夢の中だという。 デタラメな話だけど、嘘をつくような人には見えない。 「少し歩きますか?」

 

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【23】(※不思議の国を散歩する僕とお爺さんとチョボ) それから僕らは、お婆さんが見ている夢の中を歩いた。 街の人たちの顔は上手く見えない。 お爺さんは、しっかりと足元が見えているみたいだけど、 チョボはお爺さんの隣にべったりと付いて歩いた。 昔の癖が抜けないようだ。   【24】(回想シーン①。昔のチョボとおじいさん夫婦。すっごい笑っている) 「この子は、私の目となって、本当にいろんな場所に連れていってくれました。 結構、高い山も登ったんですよ(笑)」  

【25】(回想シーン② 顔はめパネル 明らかに旅行。すっごい笑ってる) お爺さんは、チョボとの思い出をたくさん話してくれた。 チョボが初めてやってきた日のこと。 一緒にカヌーに挑戦した日のこと。 一緒に、お婆さんに怒られた日のこと。 お別れした日のこと。

 

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【26】(※夢の世界が終わり始めている) 気がついたら僕は泣いていた。 なんで、僕が泣いてるんだろう。 二人の思い出なんて、なんにも知らないのに。 チョボは幸せだったのかな?僕はそう考えることを止めた。 おじいさんと過ごした時間が幸せじゃなきゃ、こんなところまで来やしない。  

【27】 水が跳ねる音がしたので振り返ると、古いペンキが剥がれるみたいに、夕日の破片がポロポロと海に落ちていた。 「そろそろ時間ですかね。うちの家内は早起きなんです」 お爺さんは、とても清々しい顔をしている。

 

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【28】 「チョボ。あなたの新しいご主人様を、帰りの電車までご案内してあげてください。私は大丈夫です。こちらの世界では、目がよく見えます」 チョボは、じっとお爺さんを見ている。 チョボは、もう少しお爺さんと一緒にいたいんだ。    

【29】(※崩れていく街) 「この子のことを宜しくお願いします。」 お爺さんは、にっこり笑って、チョボの頭に手を置いた。 「チョボ、会いに来てくれてありがとう。あなたと暮らした毎日はとても幸せでした」 チョボがお爺さんの鼻の先を舐めた。 「私の自慢の盲導犬さんへ、これが最後の命令です。チョボ…」

 

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【30】 「ゴー」

 

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【31】(※見送るお爺さん。お爺さんは背景に溶け始めている) チョボはお爺さんの言うことを聞く。 とても賢くて、とても強い犬だ。

 

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【32】 チョボに案内されて、駅に着いた。 周りの景色が、どんどん消えていく。 そして、あの電車がやってきた。

 

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【33】(※夢幻鉄道の車内) 僕らが電車に乗り込むと、すぐにドアが閉まった。 駅を出て間もなく、車掌さんが話し始めた。 「これは私の独り言です」 車掌さんは前を向いたままだけど、僕に話しかけていることは分かった。

 

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【34】(※夢の世界を後にする夢幻鉄道) 「人は二度死にます。 1度目は、肉体が滅びた時。 2度目は、残された者から忘れられた時。 1度目の死を回避することは誰にもできませんが、 2度目の死は、残された者が想い続けることで回避することができます」 そして車掌さんはチョボの方を見て、最後にこう言った。 「その様子だと…」

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【35】 「あのお爺さんが二度目の死を迎えることはなさそうです」 チョボは、窓の外を見つめていた。ずっと。

 

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【36】(※見開き2ページ。文章は無し)

 

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【37】 ときどきチョボは、うんと遠くの方を見る。 きっと、お爺さんのことを想っているのだろう。 チョボは今日もお爺さんの命を守っている。   【おしまい】

 

『夢幻鉄道』~第2話 チョボと不思議の国~

作・西野亮廣

https://youtu.be/2fKXIRXMNHQ

 

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