2020年07月22日のエンタメ研究所の過去記事
7月22日(水) ※7月24日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
そして、今日の話は、まだ本決定前の話も含まれているので、感想を呟いていただけるのはありがたいのですが、固有名詞を呟くのは絶対に控えてください。
それでは、宜しくお願いします。
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▼ 『天才万博』とは何か?
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毎年、年末に『天才万博』という音楽フェスを開催しているのですが、これが、そもそもどういった経緯で誕生したのか?を、あらためて御説明します。
遡ること数年前……
とある音楽フェスを観に行った帰り道に、僕の後輩の「ホームレス小谷」が、「今日、最高でしたね。ああやって、ステージに立てる人生でありたかったですわ」と呟いたので、「今からアーティストとしてステージに立つのは難しいけど、主催者としてならステージに立てるよ。よし、お前は年末に音楽フェスをやる奴になろう。今すぐ会場を押さえよう」と言って、その場で会場を予約しました。
僕としても、エンターテイメントを生業とする以上、「音楽」は無視できないものであったので、音楽フェスを仕掛けるからには確実にホームランを打ちに行きます。
というわけで、
「どう設計すれば、自分達が仕掛ける音楽フェスが回転し続けるのか?」
を考えてみました。
まず最初に決めたルールは、「アーティストの養分を吸いとるフェスになってはいけない」でした。
つまり、「すでにファンを抱えているアーティストを数組ブッキングして、そのファンの足し算で成立するフェスにはしない」と。
これは、会社を作る時も、Salon.jpを作る時も、まったく同じです。
プラットフォームは『拡声器』であるべきで、「その人が持っている力以上のものが発揮できる場」でないといけません。
なので、「アーティストの集客力」「アーティストの知名度」は一切無視して、集客は自分達でおこなうことに決めました。
さて。
「出演者を知らない音楽フェス」「そもそも誰が出るか分からない音楽フェス」にお客さんを呼ぶとなると、それなりに工夫が必要です。
というわけで「空間」を徹底的に作り込んで、「あの空間に行ってみたい」という理由で、お客さんを呼ぶことにしました。
そうして辿り着いたのが、「えんとつ町で開催されている音楽フェス『天才万博』」です。
「規制が厳しい【えんとつ町】の娯楽施設を牛耳っているのは、そりゃ反社の人間だろ」という理由で、『天才万博』のスタッフは皆、マフィアの格好をしています。
『天才万博』には、そういった「ファンタジーの中では嘘をつかない」という“世界観の設計”がイチイチ存在して、そうして出来上がった空間が一番の集客装置になっています。
出演者をまともに発表していないのに、毎年、たくさんのお客さんにお越しいただいている背景には、こんな理由があったわけです。
『天才万博2020』
『天才万博』を2年、3年…と繰り返していくうちに、「空間でお客さんを呼ぶ音楽フェス」として定着することを確信した西野は、次の手に出ます。
なんと『えんとつ町のプペル』の続編となる絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』の中に、『天才万博』をブチ込んできやがったのです。
今年の年末に公開される映画『えんとつ町のプペル』で明らかになりますが、えんとつ町の煙突からモクモクと上がっていた煙は、ラストシーンで止められてしまいます。
『みにくいマルコ』の主人公のマルコは、煙の燃料を掘り起こしていた炭鉱夫の一人。
彼は職を失いますが、顔が「醜い」ので、誰も彼を雇ってくれません。
その時、彼を拾ってくれたのが【えんとつ町の見せ物小屋】。
その見せ物小屋の名前が『天才万博』です。
絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』の制作スタッフが、実際に『天才万博@東京キネマ倶楽部』に赴き、その空間を完璧にコピーします。
こうすることで、絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』が、年末に開催されている『天才万博』のチラシとして機能し、そして、『天才万博』に足を運んでくださったお客さんの「ファンタジーの没入感」が増します。
時々、「西野さんの(絵本作家の)ライバルは誰ですか?」と訊かれるのですが、そんなもん、いません。
僕が作っているのは『絵本』ではなく、『世界』です。
僕と競っている人なんて、いないんです。
…でもって、ここからが本題です。
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▼ 時空を越える
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現在、映画『えんとつ町のプペル』を死に物狂いで作っています。
映画のオープニングナンバーとして、モンスター達が躍り狂うハロウィンパレードがあるのですが……この躍りの振り付けを担当してくださっているのが、世間を賑わした「バブリーダンス」の産みの親であり、登美丘高校ダンス部を率いる「AKANEさん」です。
そんな中、AKANEさんから「こんな感じで作ってみましたー」とダンス動画が、送られてきます。
これが、もう、ベラボーにカッコ良くて(※ホントに腰を抜かした!)、そこであらためて思ったのが、「訓練の凄み」です。
実際、「バブリーダンス」はAKANEさんが正面から撮ったオフィシャルのPVが一番良くて、テレビで放映される「バブリーダンス」は、余計なアップや、余計な角度からの映像が挟まり、見事に才能を殺しています。
そのことを蜷川実花さんに伝えたところ、「正面から見るように作られたものは、正面から撮るのが一番に決まってんじゃん。余計なカット割り、要らねーから」とバッサリ(笑)
そして、言葉が続きます。
「訓練された人間の技が一番面白いよ」
さすが、劇場のサラブレッド
「映画『えんとつ町のプペル』のオープニングナンバーのMVは劇場で(正面から)撮ろう」という話になり、「えんとつ町×劇場」で、『天才万博』の名前が浮上します。
その直後、実花さんが出してくださった提案が天才すぎたのです。
「えんとつ町で上演されているミュージカルのワンシーンを私が演出&撮影したことにすれば、全てがイイ感じに繋がるんじゃない?」
なるほど!!!
そうだ。そうだった。
つまり、2020年の「えんとつ町」には、『ゴミ人間のプペル』は存在していませんが、『ゴミ人間プペルを演じている役者』は存在しているハズなんです。
むしろ、存在していない方が不自然です。
ちょっと、ややこしい話ですが……
僕らが出入りする「えんとつ町」(※天才万博やCANDY)に登場する『ゴミ人間プペル』は、ミッキーマウスとは違って、「ファスナー」が見えていていいんです。
なぜなら、それは「役者」だから。
ファスナーが見えていた方が、現実空間に作り上げる「えんとつ町」というファンタジーのリアルさが増すんです。
このMVは、映画のプロモーションにもなりますし、『天才万博』のプロモーションにもなります。
現実とファンタジーと時空の間をタライ回しにされて、頭の中がシッチャカメッチャカになったかもしれませんが、たぶん、整合性はとれているハズです。
でも、考えてみてください。
『忠臣蔵』は江戸時代元禄期に起きた赤穂事件を基にした作品ですが、あれって「創作」ですよ。
本当のトコロ、何があったかは分からないじゃないですか?
観光地のお城に行った時も、僕らは「ウラがとれていない物語(誰かの創作)」に想いを馳せている。
物理的に存在している建物ですら、「○○年に焼失して、現在の城は○○年に建て直されたもの」となっている。
そして、建て直された城を舞台に、時代劇が展開されている。
もう、「現実」と「ファンタジー」の境界線が曖昧になっているんです。
何がホントで、何がウソか、分からなくなっている。
「現実」と「ファンタジー」をパキッと切り分けるよりも、こっちの方がスケールが大きくて、面白い。
『天才万博』に足を踏み入れた瞬間に、自分が今、「現実とファンタジーのどっちにいるか?」が上手く説明できなくなる。
そんなものを作っています。
横浜に建設予定のディズニーランド級のテーマパークで収まりきるわけがありません。