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2020年08月21日のエンタメ研究所の過去記事

8月21日(金) ※8月23日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昨夜、サロンメンバーと呑んだ後に、ホテルに戻り、「酔っ払って(収録内容を)覚えていなかった『スナック西野【泥酔編】』」の内容の確認がてら、呑みながら観ていたら、酔っ払ってしまい、『スナック西野【泥酔編】』の内容を全て忘れてしまったキングコング西野です。
さて。
今日は『転売をデザインする』というテーマで、お話ししたいと思います。
エンターテイメントの世界では、高額転売することを目的してチケットを買う『ダフ屋』との戦いが長く続いています。
『ダフ屋』を取り締まるルールで、なかなか面白いのが、「転売目的ではないチケット(行きたいけど行けなくなってしまったライブのチケット)の転売はOK」という点。
その場合は規制対象でなく、「合法な転売」となるようです。
たしかに、僕も普段、急遽行きたくなった舞台のチケットをメルカリで買ったりしています。
メルカリの公式サイトにも「転売目的で買ったチケットを売るのはダメだよ。急用で行けなくなってしまったライブのチケットを仕方なく売るのはいいよ」と記載されています。
転売を完全に禁止にしない理由は「安く仕入れて、高く売る」が商売の基本だからでしょう。
それをNGにしちゃうと、あらゆる商売が成り立たなくなります。
問題は『高額転売』です。
人気アーティストのライブ会場の前で見られるアレです。
チケットが『高額転売』されることを嫌うアーティストに対して、「需要と供給がマッチしているんだから、いいじゃねぇか。べつにアーティストの売り上げには影響してねぇだろ」といった意見も一部であったりします。
たしかに、そう言われてみると、ダフ屋はチケットを買ってくれているので、アーティストの売り上げを奪っているわけでもなさそうです。
しかし、もう少し踏み込んで見てみると、ダフ屋がアーティストの売り上げを奪っていることが見えてきます。
ここでのポイントは「お客さんの財布の中身は有限」という点です。
「ライブチケット」を(ダフ屋から)高額で購入してしまったお客さんには、もう「ライブグッズ」を買うお金が残っていません。
つまり、
ダフ屋は「ライブグッズの売り上げ」を奪っているわけです。
アーティストは、「チケット売り上げ」と「グッズ売り上げ」で生計を立てているので、「グッズ」が買えなくなるような運動は起きて欲しくないんどす。
アーティストは「ダフ屋からチケットを買わないで」とファンに言いますが、翻訳すると、「グッズを買ってもらうお金をそんなところに使わないで」です。
そもそも、『高額転売』が発生してしまう理由は供給量(座席数)に限りがあるからです。
昔、キンコン西野のサイン本が高額で売られていた時は、「キンコン西野のサイン本屋さん」というネットショップを出して、サイン本の供給量を増やして『高額転売』を潰してみました。
当たり前の話ですが、供給量さえコントロールできれば『高額転売』は存在することができません。
…とまぁ、ここまでは「転売とは何か?」「高額転売問題とどう立ち向かうか?」という基本的な話をさせていただきましたが、ここからは、「転売っていいよね」という前向きな話をさせていただきます。
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▼ 代理店化する個人
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昔、アパレルブランド『#FR2』を牽引する石川涼さんが、沖縄や金沢といった観光地に店を出された時に、天才みたいなことを言っていたので共有させていただきます。
『#FR2』の地方店は、各店舗にしか置いていない(東京には売っていない)オリジナルアイテムがズラリと並んでいます。
そこで、涼さんに訊いてみました。
【西野】
「これ、とっても素敵なのに東京店では販売しないんですか?」
【涼さん】
「しないよ」
【西野】
「ネットショップで売るですか?」
【涼さん】
「売らないよ」
【西野】
「じゃあ、東京の人が買おうと思ったら、お店まで来なきゃいけないんですね」
【涼さん】
「来なくていいよ(笑)」
【西野】
「??」
【涼さん】
「お客さんがメルカリで売ってくれるから」
【西野】
「天才かよ。結婚してください」
そうなんです。
『#FR2』の地方店は最初から「転売」を見越した(味方にした)設計にしていたのです。
ネットショップであろうと商品を売るには必ず販売コスト(人件費や宣伝費や在庫管理費)がかかるわけですが、「転売」にしてしまうと、それら全てはお客さんが背負ってくれます。
しかも、転売(せどり)は歩合制なので、スタッフよりも本気で商品を宣伝&販売してくれます。
そう考えると、「転売しがいのある商品」を出すことが大切で、供給量のコントロールはもちろんのこと、「どこで売っているか?」というのも大切で、都心から離れた「簡単には買えない場所」に店を出すことで、転売価値が生まれます。
くわえて、地方は家賃が安い!
詳しい場所は言えませんが、今後も、『#FR2』は、とんでもない場所に店を出そうされていて(※イメージ=無人島)、それもやっぱり「お客さんが売ってくれる」ということを見越した(味方にした)デザインになっています。
「販売のメインを転売にしたら、メチャクチャやる気のある販売スタッフの給料を払わなくていいんだよ。超いいじゃん」と涼さん。
「転売を味方にしたデザイン」は、アパレルブランドに限らず、あらゆる業界で転用できると思っています。
ライブチケットの転売は供給量(座席数)に限界があるので『高額転売』が発生してしまいますが、盲点だったのが、映画チケットには供給量(座先数)に限界がありません。
映画が盛り上がれば盛り上がるほど供給量(差座席数)が増えるのが映画チケットで、理論上、『高額転売』は起きません。
映画こそ「転売」を味方につけるべきで、今回の映画『えんとつ町のプペル』で実験してみることにしました。
※サロンメンバーさんの店で映画『えんとつ町のプペル』のチケットを買えば、サロンメンバーさんの店を応援することができるシステムになっています。
「呑みもしないシャンパン」を入れて、店の応援をする(=店の売り上げに貢献する)ぐらいなら、応援している映画のチケットを買って、店を応援をできた方がいいじゃん。
一人一人がメルカリ(ネットショップ)を持ち、国民総代理店化した今、「転売」を敵とするか味方とするか、で、大きく明暗が分かれます。
『高額転売』をイタズラに起こしてしまうと、自分のお客さんの財布の体力が削られてしまうので、供給量をコントロールして、『高額転売』が起きないように「転売」をデザインできると最高っすね。
一度、御自身のサービスで考えてみてください。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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