西野亮廣のエンタメsalon

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2020年09月20日のエンタメ研究所の過去記事

20日(日) ※9月22日以降は『いいね』を押さないでください。
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こんにちは。
「お酒を呑んだ後はヘパリーゼを飲むといい」という話を聞いて、お酒の中にヘパリーゼを混ぜてくれないかなぁと思っているキングコング西野こと「アル中の向こう側」です。
さて。
今日は、前々から「ここ、可能性あるなぁ~」と睨んでいる『コスプレ型ビジネス』について、お話ししたいと思います。
※『コスプレ型ビジネス』というのは今生まれた造語です。
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ラジオDJを買う人達
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僕は仕事柄(サロンメンバーさんとの呑み会も含む)、ジャンル問わず、いろんな人とお話しさせていただいております。
先日、とっても面白い活動をされているサロンメンバーさん達とお話しさせていただく機会がありました。
彼女達は皆、主婦なのですが、主婦業の傍ら、地方のFMラジオで「ラジオDJ」をされているそうです。
「どうすれば、もっとたくさんの方に私達のラジオを聴いてもらえますかね?」という相談を受け、「…ていうか、その前に(あんまり聴いてもらっていないのに)よく、スポンサーがつきましたね」と質問したところ、「…いえ。西野さん、私達の番組にはスポンサーはついていないのです」と返ってきました。
聞けば、自分達で放送枠を買って、自分達で発信しているそうです。
たくさんの人に聴いてもらえる番組にならないとスポンサーが付かないので、自分達で自分達のスポンサーになっているのだと。
「これでは、お金が回らないので、なんとか聴いてくれる人を増やしたい」と…そういうわけです。
……でも、これ、不思議に思いません?
そんなに聴いてもらいたいのであれば、地方のFM局でやらなくても、YouTubeで発信したらいいじゃないですか?
今は、ラジオよりも、YouTubeの方が身近にありますし、YouTubeであれば「放送枠を買う」みたいなことをしなくて済みます。
それでも、ママさん達は言うんです。
「ラジオじゃなきゃダメなんです」
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▼ 「ラジオを求める人」のラジオの価値
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前から、ラジオのレギュラーを欲しがるタレントさんに対して、「どうしてラジオを求めるの?」と、ずっと疑問に思っていました。
「テレビに出たい!」は理解できるんです。
ネットよりもずっとずっと多くの人に見られているので。
ただ、「ラジオに出たい!」がイマイチよく分からなくて、「テレビよりも自由に喋れるから」というのであれば、YouTubeだって同じだし、YouTubeの方が遥かに多くの方に聴かれるし、さらに過去の放送がアーカイブとして資産にもなる。
合理的に考えるとラジオに勝ち目はないハズなのですが、それでもラジオを選ぶ人がいます。
どうやらラジオは「役に立つ」ではなくて、「意味がある」の領域に突入していて、どうやら面白い。無視できません。
ラジオを選ぶ人達が「ラジオのどこを選んでいるのか?」が気になった西野は、ここぞとばかりにママさん達に質問攻め。
答えを探りにかかります。
すると、ママさん達がラジオの「どの部分」を買っているのかが見えてきました。
どうやら、「ラジオブースに入りたい」らしいのです。
有名人の密着ドキュメントとかでチラチラ映る「あのラジオブース」に入って、「あのヘッドフォン」をして、天井からブラ下がっている「あのイイ感じのマイク」に向かって喋りたいらしいのです。
YouTubeには、それがないでしょ?」と。
なるほど。脳天を撃ち抜かれました。
彼女達の中では「合理的に発信したい 〈 ラジオブースに入りたい」という構図になっていて、要するに、『コスプレ』なんです。
「あの有名人がやっていたことを、私もやりたい」です。
もしかすると、『オールナイトニッポン』のレギュラーが決まってガッツポーズを決めるタレントさん達も、紐解くと、「歴代のスター達のコスプレができた喜び」が僅かにあるのかもしれません。
「あの人達が座っていた枠だ」という。
とりわけ面白いのが「YouTubeの方が聴かれるかもしれないけれど、ラジオ枠を買って、ラジオブースに入るママさん達」です。
それは部屋の中でコスプレをするような感じで、もはや見られる為にやっていなくて、雑に言っちゃうと「自己満足」。
矢印は自分に向いています。
ただ、「発信を手伝ってくれるプラットフォーム」ではなく、「自己を満たしてくれるプラットフォーム」に需要があることは事実です。
ふむふむ。こいつは面白いぞ。
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▼ さて、これを、どう転用するか?
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先日、ニシノコンサルで「書くことで食っていきたいのですが、そのマネタイズ方法が…」という相談を受けました。
サロンメンバーの「櫛野(くしの)さん」という方です。
情報がコモディティー化した今、他人が書いた記事にお金を払うのって、なかなかハードルが高いじゃないですか?
「毎日、数万人に読まれる」という状況に持っていけば、書くことで食っていけるのかもしれませんが、そんなのほぼ無理ですよね。
毎日、数万人に読まれるネタを提供しようと思ったら、とんでもない量のインプットを続けなきゃいけない。
「書くことで食っていく」ってメチャクチャ難しいんです。
櫛野さんから御相談を受けて、あれやこれやと思考を巡らせているうちに、さっきのラジオの話を思い出しました。
「合理的に発信したい 〈 ラジオブースに入りたい」という構図になっているママさん達の話です。
あの話を、執筆業に転用した時に、
・たくさんの人に読まれる=お金になる
・あんまり読まれない=お金にならない
というのは固定概念で、「あんまり読まれないけど、お金になる」というパターンもあるな、と。
そこで、「記事における【コスプレ】は何か?」と考えた時に、『インタビュー』があると思いました。
つまり、「お金を払ってでも、インタビューされる側(特集記事を組まれる側)にまわりたい」という需要があるのではないか?と。
てなわけで、
「『あなたをインタビューして、あなたの特集記事を書きます』というサービスをスタートしてみてください。これならば、たくさんの人に読まれなくても、マネタイズができると思います」
と櫛野さんに提案したところ、すぐに動いてくださり、櫛野さんが出された『あなたの人生を記事にします(5000円)』は秒速で全て完売しました。
「たくさん売るぞー!」「バズらせるぞー!」というオラオラ資本主義が限界にきている今、「自分を掘り下げてくれるサービス(※上質な自己満足をさせてくれるくれるサービス)」は、たぶん可能性があって、これはいろんなシーンで転用できると思います。
僕は『えんとつ町のプペル美術館』の中に有料のラジオブースを作ろうと思いました。
一度、ご自身のサービス内で考えてみてください。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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