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2020年10月17日のエンタメ研究所の過去記事

10月17日(土) ※10月19日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
Facebook広告に出てくる「ゾンビを皆殺しにするゲーム」の誘惑と毎日戦っているキングコング西野です。
さて。
今日は『あんまり上場したくない。そして…』というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ 上場するメリット
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僕は吉本興業に所属しながら、『株式会社NISHINO』という変なことをする会社で働いているのですが、会社を運営していると(※僕はしてないけど)、「上場」が一つの目標のように語られる場面に出くわします。
証券取引所が設ける基準を調べたところ、その気になれば『株式会社NISHINO』は上場に向けて話を進めることもできそうなのですが、「そもそも上場する必要ってあるっけ?」という疑問に直面しています。
というのも、上場することによって享受できるメリットは、
・大規模な資金調達ができる
知名度&信用度を獲得できる
・優秀な人材が集まりやすい
・創業者が利益を享受できる
……だと思うのですが、『株式会社NISHINO』におかれましては、
・大規模な資金調達ができる
→クラファン&オンラインサロンでいい。
知名度&信用度を獲得できる
→すでにある。
・優秀な人材が集まりやすい
→すでにメチャクチャ集まってる。
・創業者が利益を享受できる
→いらん。
……という状態。
唯一あるのは、「吉本芸人の個人会社が上場したら面白い」というネタだけ。
「上場するメリット」は、すでにそこそこ持ち合わせているので、やっぱり気になるのは「上場するデメリット」で、「株主に口を挟まれる」は、どう考えたってツライっす。
株式会社NISHINOは「自社が抱える多くのメインコンテンツ」を無料で提供していて、「次は○○に挑戦するぞー!」「うまくいったー!」「失敗した!畜生、リベンジだー!」という『物語』を販売しています。
「成功」よりも「挑戦(面白い物語)」の方が重要度が高く、それは「意識」の問題などではなくて、リアルに「会社の売上」の問題です。
会社の物語が面白ければ面白いほど会社の売上が伸びるので、僕らは挑戦した結果、コケてしまうことことを大いに歓迎し、安定を徹底的に嫌います。
ところが、株主さんは会社がコケることを嫌います。
嫌うどころか、「何してんだ!しっかりしろ!」と怒鳴り込んでくる人もいます。
映画『えんとつ町のプペル』の一ネタとして「自腹で1億4000万円」という地獄キャンペーンをおこなったのですが、あんなのは絶対に許されないんですね。
一般的な株主さんは安定を求めますが、「安定してしまうと売上が落ちる」というパラドックスを抱えているのが「物語を販売する会社」の運命です。
つまるところ、「物語を販売する会社」と「上場」は極めて相性が悪い。
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▼ そんなことを踏まえまして……
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僕が今、強い興味を持っているのは「予算が絶対に回収できない企画」です。
たとえば、映画なんかは大きな大きな挑戦ではありますが、ヒットすれば予算が回収できてしまうので、「挑戦する理由」は誰でも理解できます。
一方で、『ピラミッド』なんかは、そもそも、制作費を回収する前提で企画されていない。
エジプトや中南米の鬼インフルエンサーが、「なんか、三角のデカイやつを造りたい!」と言って造っています。
ドイツにあるノイシュヴァンシュタイン城(※シンデレラ城のモデル)も、必要に迫られて造られたのではなく、ルードヴィヒ2世が「ただ造りたいから」という理由で造りました。
ピラミッドやノイシュヴァンシュタイン城は、その何十年、何百年後に観光地となり、結果的に大きな利益をもたらしていますが、大前提として、予算の回収を考えて造られたものではありません。
世間の皆様が求めていたものではありません。
でも、だから残ったと思うんです。
必要とされているモノ(予算の回収が見込めるモノ)は、時代のルールが変わり、必要とされなくなった瞬間に、「利用」できなくなった瞬間に、その価値を一気に失います。
ところが、そもそも誰もが求めていなかったのに造られて、当たり前の顔をして長年居座り続けた創作物は、「利用できないから捨てる」という議論に参加していないので、時間だけが経過し、「経過した時間」が資産となります。
「300年前に造られた○○」というアレです。
映画が一段落すれば、20億円ぐらいかけて『えんとつ町のプペル美術館』を作ろうと思うのですが、そもそも入場料で回収しようと思っていません。
入場料で建築費を回収できないことが決定しているわけですが、「入場料で建築費を回収できないことが決定している施設」なんて、誰も作りません。
株主さんは、こういった「赤字が2000%確定している打ち手」に対して、あまり良い顔はしないので、上場したくないなぁというのが僕の本音です。
サロンの売上を僕個人の懐に入れず、エンタメ投資や、被災地やら貧困国の支援にブチ込んでいるので、結果的にオンラインサロンは上場した会社のような形になっています。
ただ、この場合の株主(サロンメンバー)さんが求めている見返りは「お金」ではなく、「物語」で、僕はこの形が一番気持ち良いです。
今日は、「機能で差別化が図りにくくなり、物語を売り始めた今、『上場』を目標にするのも考えものだよね」という話をさせていただきました。
新しい組織の形を提案し、それがサロンメンバーさんの活動のヒントになると幸いです。
とり急ぎ、「入場料で建築費を回収できないことが決定している施設」の建設を進めます。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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