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2020年11月28日のエンタメ研究所の過去記事

11月28日(土) ※11月30日以降は『いいね』を押さないでください。
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こんにちは。
最近、「名言っぽく言ってるけど名言でもないし、余計に何のことだか分かりにくくなる【迷い言葉】」を集めているキングコング西野です。
「『心臓』って、読んで字の如く、『心』と『月』を納める『蔵』だからね」とかです。
さて。
今日は『期待値と視点のコントロール』というテーマでお話ししたいと思います。
全てのサービス提供者さんの活動に転用できるお話しですので、心して読めばいいじゃんじゃない?
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▼ 宣伝は掛け算
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皆様、ご存知かとは思いますが、現在、西野は「天才広告マン」の名を欲しいままにしております。
「いかにして人を巻き込むのか?」「いかにしてモノを届けるのか?」の答えを求めて、多くのプレイヤーが西野の元を訪れ、ハイボールを奢らされ、何一つ得ることがないまま、酔っ払った西野の介抱をさせられています。
今からチョットだけ厳しいことを言っちゃいますが、本当のことを言った方がいいと思うので、(一部の方には)グサグサ刺さるかもしれませんが、どうか正面から受け止めてください。
こんな活動をしているので、僕はよく「どうすれば私の絵が売れますかね?」と相談されることがあります。
まるで、「『マーケティングの稚拙さ』が売れない原因なんです」というような口ぶりですが、そんな悩みは100年早くて、そういう方は総じてブッちぎりに絵が下手です。
筆を握っている時間が圧倒的に短い。
絵を描く時の源泉となる体験も知識も圧倒的に不足している。
どこにでも転がっているような絵を空き時間に描いて、「売れない」「売り方に問題がある」と悩んでいますが、違うんです。
ウンコなんです、それ。
「売れない」「どうやって集客すれば?」と頭を抱えている舞台人がいますが、違うんです。
貴方が作っているものがシンプルに面白くないんです。
脚本も演出もオナニーウンコすぎるんです。
西野が天才広告マンなもんだから、ものすごく勘違いされている方がいるのですが、西野ってシンプルにメチャクチャ絵が上手いんです。
『分業制』とか何とか言っていますが、実際に西野本人が筆をとって、プロの絵描きさんに「そうじゃない!こうだ!」とアカを入れる(描き直す)んです。
死ぬほどイイ曲を作るし、死ぬほどイイ脚本を書くんです。
「才能」という言葉が安く聞こえるほど、努力をしているからです。
僕よりエンタメに時間を割いている地球人はいません。
どのジャンルでもいいです。
仮に西野が「苦手」と言っている『お笑い』でもいい。
僕と一対一で平場の舞台に出て「どっちが笑いをとるか?」で勝負してみますか?
絶対に(絶対に!)間違っちゃいけないのは『宣伝』は足し算じゃなくて、掛け算だということ。
ウンコ(クオリティーの低い商品)を宣伝すればするほど、あなたの選手生命が短くなっちゃう。
なので、「どうすれば私の絵は売れますかね?」と相談してくる方に僕はいつも訊きます。
「やる気が出る言葉が欲しいですか? それとも本当の言葉が欲しいですか?」
後者を選ばれた方へお返しする言葉はこれです。
「こんなものを売るな。これを売ったら死ぬぞ。いいから、狂うぐらい絵を描け」
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▼ 「満足度」-「期待値」=?
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何年か前にサロン内で「期待値コントロール」の話をしました。
「満足度を超える期待値は集客減に繋がるから、気をつけようね」的な内容です。
「『奇跡の一枚』を旅行パンフレットに載せてしまう旅館は「満足度-期待値=」がマイナスになっちゃう為、リピーターを生まないので、長続きしないよね」と尾原和啓さん。
演劇の世界で横行している『チケットノルマ制度』は構造上の欠陥を抱えています。
「面白くない作品」のチケットを強引に売りさばいたところで、客席が埋まるのはその一回で、ひきかえに、その舞台に関わった人間全員の集客力(信用)が落ちます。
友人の役者には以下のことを伝えています。
「お客さんは、セットや衣装のクオリティーに関しては、作品の規模感を鑑みて、あらかじめ予想できている。
そこに関しての期待値が跳ね上がっていることはない。
だから、舞台は『脚本』で選べ。
脚本を選ばずに出演することを役者の使命だと思うな。
仕事を選んだ以上、告知をするんだろう?
面白くない作品の魅力を語って集客をする行為は、詐欺だ。
食うものに困っても、詐欺師にはなるな。
エンターテイナーになれ」
全ての仕事は50年戦争です。
決して、一回の試合で終わるものではありません。
集客ができても、集客力を落としてしまっては本末転倒です。
なので、「満足度」-「期待値」がマイナスになってしまうようなアクションは御法度。
一言でまとめると「ウンコは売るな」です。
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▼ 「楽しみ方」のズレで不満が生まれる
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ここまでは、『期待値コントロール』の話。
そして、ここからは『視点(楽しみ方)コントロール』の話です。
お台場にある人気施設『チームラボボーダレス』が完成した時、一般公開前に仲良いスタッフにモニターとして体験してもらったところ、いまいち反応が良くなかったそうです。
あがった不満は「巡回ルートがよく分からない」。
もちろん、チームラボさんは、あえて「巡回ルートを設けない設計」にしたのですが、お客さんは本能的に「巡回ルート」を求めています。
そこで、チームラボさんは入場ゲートのキャッチコピー『探索』という言葉を入れたそうです。
「ここは、皆が迷う場所、自ら探す場所だ」というリードです。
この一言を挟んだおかげで、『チームラボボーダレス』の満足度が跳ね上がります。
皆、楽しみ方が分かったんですね。
少し踏み込んだ言い方をすると、「期待する方向が定まった」。
同じサービスを提供していても、案内の言葉ひとつで、満足度が変わります。
ここは甘く見積もらない方がいいと思います。
今日から東急プラザ渋谷でスタートする『えんとつ町のプペル展』の内容を聞いた時、大事故に繋がると思いました。
今日は(shibuya-san一ヶ所だけでの)プレオープンで、東急プラザ渋谷全体を巻き込んだ本チャンは12月4日なのですが、そのことを知らない人がいます。
えんとつ町のプペル展』と聞いて、「光る絵」がたくさん展示されていると思って、足を運んでしまう人がいます。
【入場無料】ですが、期待値は上がってしまっていて、満足度がそれを超えないと、ガッカリを生んでしまいます。
集客力を落としてしまいます。
とはいえ、ここでは「光る絵」は展示できません。
今ある素材だけで、期待値を超えなければいけないのです。
昨夜、そのことについて考えて、すぐに「世界のどこよりも早くエンディング主題歌が聴ける場所」というキャッチコピーを出させていただきました。
BGMで映画『えんとつ町のプペル』が流れることは最初から決まっていたのですが、キャッチコピーを一枚挟むことによって、それ(曲)をメインディッシュにしたわけですね。
これにより、皆、「主題歌がどこよりも早く聴ける場所」を目指して、shibuya-sanに来るので、期待値を割ることはありません。
これは、未然に防げた事故なので(被害が出ないので)、伝わりづらいかもしれませんが、こうして、たったキャッチコピー一つでコンテンツの満足度が変わってくることがあるので、「お客さんの視点(期待)がどこにかかっているか?」を把握して、少しでもズレていたら、案内の文言でコントロールすることをオススメします。
そんなこんなで、僕は今、ちょうどshibuya-sanに到着しました。
お客さんに媚びへつらってきます。
今日は、『期待値と視点のコントロール』というテーマでお話しさせていただきました。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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