西野亮廣のエンタメsalon

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2020年12月21日のエンタメ研究所の過去記事

12月21日(月) ※12月23日以降は『いいね』を押さないでください。
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こんにちは。
声優としてお呼びしたカジサックに、「お前の声なんか求めてないねん」と言ってしまったキングコング西野です。
さて。
昨日は少し堅苦しい話をしてしまったので(マーケティング講座の後に書いたから)、今日は『散々っぱら広告を仕掛けた結果、最後は、こんなところに着地しました』という報告をしたいと思います。
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▼ 『デザフェス』で学んだ「商売の本質」
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最近は忙しくてなかなか参加できていませんが、数年前までは、毎年『デザフェス』に参加していました。
『デザフェス』というのはクリエイターのフリーマーケットで、参加者は皆、ブース代(場所代)を支払い、そこで自分達の作品を販売します。
『デザフェス』の面白いところは、「お客さんがひっきりなしに流れている」という点です。
こうなってくると僕の大好物である『実験』がし放題で……たとえば、1時間おきに作品数を増やしたり減らしたりしながら“ジャム理論”(多すぎる選択肢は決断を鈍らせる)を検証したり。
「作品数」「作品の並べ方」「在庫のチラつかせ具合」によって、お客さんの入りが如実に変わるので、データは取り放題。
この時、大切なのは、「ハズレのデータもキチンと取っておくこと」。
「これは上手くいかないだろうなぁ」というパターンも試して、お客さんの入りの悪さを確認して、「やっぱり上手くいかない」と確信に変える作業が重要です。
1日もやれば自分のブース(店)のデータが取れるので、二日目は他のブースをまわり、『上手くいっていないブース(店)の共通点』をリストアップします。
もちろん、「作品そのものの強度」がモノを言う世界です。
しかし、『届け方(売り方)』の上手い下手はあって、上手くいっていないブース(お客さんが入っていない店)の共通点は、『お客さんが入っていないのに、ブースの設計を変えない』でした。
かれこれ数時間以上お客さんが入っていないのに、作品の展示方法を変えず、レジの位置を変えず、商品数を変えず、ただただブースの奥で地蔵のように座っているのです。
ブースの設計が今の形に定まるまでに、随分な時間を割いてしまった手前、簡単には変更できないのでしょう。
この時、「始めること」よりも、「変更すること」「撤退すること」の方が遥かに難易度が高いことを痛感しました。
今僕はいろんな経営者さんと接点を持たせていただいていますが、本質は変わりません。
上手くいっていない経営者さんは「初志貫徹」と「ただ何も手を打っていないだけ」がゴッチャになっていて、総じて「変更」「撤退」に奥手です。
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▼ コロナ時代
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今年の春先。
『映画 えんとつ町のプペル』の上映延期の話も上がりましたが、僕らは、毎日のようにルール変更がおこるコロナ時代にチャレンジすることを選びました。
その時、決めたことが一つあります。
それは、
「1年間準備を進めてきた広告戦略であろうと、状況が変わって、時代にそぐわないと判断したら、1秒で切り捨てる」
ということ。
事実、全国のイオンシネマをまわって、『映画 えんとつ町のプペル』のストーリーを喋るイベント(布教活動)を全国50ヶ所で予定していましたが(スケジュールも劇場も押さえていた)、状況を鑑みて、ソッコーで中止にしました。
「座席数を減らして、なんとかやる」という手段も捨てました。
未来の見通しが悪くなり、僕自身、来週の僕が何をしているかが分かっていません。
求められたのは「時代を読む力」と「柔軟性」と「スピード」、そして「覚悟」です。
準備をしたところでパーになる可能性が極めて高い時代です。
もともと「動かないリーダー」には明るい未来は待っていない(by デザフェス)ことは分かっていました。
ところが、ここに来て「さらにフットワークを軽くしろ!」と新型コロナからのメッセージ。
映画公開が迫るにつれ、残された時間の割り振りがシビアになります。
「ここからの西野の時間をどこに割くか?」で、結果が大きく変わってきます。
吉本の現場マネージャーの口癖が「確認しときます」だったので、「今しろ」と注意をしました。
「すみません。今します」と返ってくるのだから世話がありません。
毎日あれやこれやと手を打って、残された時間も無くなってきた自分が、「どんな手を打つのか?」「何に時間を使うのか?」に興味があったのですが……最後の最後で打った手は、『えんとつ町のプペルができるまで展』と『エンドロールの公開』。
「スタッフの紹介」でした。
あれだけの広告を仕掛けておきながら、最後の最後は広告効果があるかどうかも分からない「スタッフの紹介」に時間と予算を割いています。
ここに黒西野はいなくて、ただただ純粋に、一緒に走ってくれたスタッフを紹介したくなっちゃいました。
面白いのか、詰めが甘いのか、非情さが足りないのか。
でも、考えみりゃ昔からそうで、僕は、「皆と一緒」が大好きでした。
文化祭とか超好きです。
僕は才能あるスタッフの仕事を自慢したいし、
そのスタッフが「この作品に参加したんだよ」と家族や友達に得意気に話してくれたら、これほど嬉しいことはありません。
一人で看板を背負った方が拡散することは理解しています。
メディアに出る時は、一人でも多くの方に届ける為に、いろんな気持ちを圧し殺しながら、「これは僕の作品です」と言います。
ですが、今回は最後の最後で無理でした(笑)。
今日は、その報告です。 
この分は、どこかで挽回します。
エンドロールに載った名前の分だけ挑戦があります。
スタッフ一人一人の名前を見てもらえると嬉しいです。
皆で作った映画が、まもなく公開です。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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