西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年01月02日のエンタメ研究所の過去記事

1月2日(土) ※1月4日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
連日の舞台挨拶(『映画 えんとつ町のプペル』30分トークショー付き上映)で、トークのキレが、M-1の決勝戦前並みの仕上がりを見せているキングコング西野です。
さて。
今日は『プライドとリアルファンタジー』というテーマでお話ししたいと思います。
前半は全サービス提供者に関係のある話だと思うよ。
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▼ 「シェアの時代」に邪魔なもの
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今では笑い種ですが、M-1グランプリキングコングが最終決戦に残った時に、同期芸人の皆は「キングコング以外が優勝しろ」と本気で願ったそうです。
その翌年にNONSTYLEが最終決戦に残った時に、やはり同期芸人(特に梶原君とダイアン津田)は、「NONSTYLE以外が優勝しろ」と願ったそう。
僕は、これがイマイチ理解できなくて……誰かが優勝することは決まっていて(=「優勝者ナシ!」はあり得なくて)、その時、「誰が優勝したら自分が得をするか?」を考えたら、どう考えたって、普段絡んでいる「同期芸人」です。
同期芸人とは同じ劇場に出ています。
同期芸人が優勝すれば劇場の集客も増えて、自分達の漫才を観てもらえる機会も増える。
同期芸人とはテレビで共演する機会も多いです。
その時、「M-1で勝った/負けた」の事実があれば、「嫉妬ボケ」「ひがみボケ」などで、やりとりも増えて、笑いも増えます。
キングコングではなくて、サンドウィッチマンさんが優勝しても、
NONSTYLEではなくて、オードリーさんが優勝しても、同期芸人には何の恩恵もありません。
という説明をした上で、「自分達以外の誰かならば、同期芸人が優勝した方が絶対に得じゃん?」と問いかけたところ、「それはそうなんだけど…同期が活躍するのは、なんかイヤなんだよ!」と返ってきました。
要するに、「自分が損をしてでも、身近な人間の成功だけは防ぎたい」です。
人間って本当に面白いです。
ただ、今の時代を鑑みた時に、このあたりの感情(勘定?)問題は「面白い」で済ませずに、いよいよ見直した方がいいなぁと思っています。
少し踏み込んだ話をすると、今は、『所有する人』ではなく『共有する人』が勝ち始めています。
サービスの品質がコモディティー化して、サービスを「品質」ではなく「人」で選ぶようになった今、『共有する人』に人とお金が集まってきています。
そうなってくると、「身近な人間には勝って欲しくない」がベースにある人は圧倒的に不利です。
身近な人間の支持を集められないのだから、そりゃそうですよね。
1月6日にダイノジ大谷さんが『新しい芸人論 ~西野亮廣について語る~』というトークイベントを開催されるのですが、チケットは即完したそうです。
(※オンライン視聴のチケットはあるよ。こちら→https://djdnj.thebase.in/items/37772799
)
即完した理由はダイノジ大谷さんのトークの面白さも勿論あるでしょうが、それに加えて、僕が僕のオンラインサロン内でイベント情報をシェアしたのもかなり大きいと思います。
僕は、僕の話をしてもらえるのはありがたいし、何より、この企画で、「西野には興味を持っているけど、ダイノジ大谷さんの面白さについてはまだ知らない人」にダイノジ大谷さんの才能が見つかるのは本当に最高です。
ただ、これができる芸人がどれだけいるかは甚だ疑問です。
レディー・ガガを語る」というイベントは抵抗なくできると思うのですが、身近な芸人の株を上げてしまいかねないようなイベントができる芸人は、なかなかいません。
プライドが邪魔をするからです。
ただ、レディー・ガガを語るイベントをしたって仕方がないんです。
レディー・ガガが、そのイベントをシェアするわけではないので、結局、自分の宣伝力の範囲内で集客することになり、新規ファンが増えることはない。
…という話は、以前させてもらいました。
実は、いろんなところで、この話をしているのですが、どっこい、人はなかなか動きません。
「遠くの人間」にあやかるよりも、「近くの人間」にあやかった方が取り分が大きいのですが、『プライド』が邪魔をするみたいです。
このことを踏まえて、今日の本題に入ります。
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▼ 絶対に勝てる仕事
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以前、「『えんとつ町』を油絵で描く画家さんは勝てる」という記事を投稿したのはご記憶にありますでしょうか?
最近、このサロンに入会された方はすみません。以前そんな記事を投稿したんです。
『映画 えんとつ町のプペル』の中に出てくるスナック『CANDY』(※おしゃべりモグラが夢物語を聞かせる酒場)は、現実世界に存在します。
僕の絵本次回作『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』に出てくる『天才万博』も、現実世界に存在します。
僕は、映画や絵本の物語を追体験できる空間を、テーマパーク内ではなくて、現実世界(町の中)に織り込んで、現実とファンタジーの境界線を曖昧にすることに興奮を覚える変態です。
(ちょっと複雑な話になるけど…)その時、現実世界と、ファンタジー世界の両方に堂々と存在できるのは「建物」や「美術品」です。
【ルビッチ】は絵本や映画の中(ファンタジーの中)にしか存在しませんが、【ルビッチの肖像画】は、絵本や映画の中は勿論のこと、現実世界に落とし込んだ「CANDY」や「天才万博」の中にあっても辻褄が合うんですね。
むしろ、「CANDY」や「天才万博」という空間を、より魅力的にする美術品としての需要がある。
『えんとつ町の油絵』を描く人は、『えんとつ町』の中に確実にいるので、『えんとつ町の油絵』は、僕ら(株式会社NISHINO)は買うんですね。
買って、CANDYや天才万博や、その後できる「えんとつ町の施設」の壁に展示する。
施設の集客は僕らがやるわけで、それは、その油絵(その画家さん)の宣伝を僕らがさせてもらうということになります。
『パリの街並み』を描かれても宣伝の協力はできませんが、『えんとつ町』を描いていただけると、僕らの活動が自動的に宣伝の協力になるです。
という説明をして、以前、サロン内の画家さんに「えんとつ町の絵」を描くことをオススメしたところ、絵本『えんとつ町のプペル』の一ページの油絵バージョンを描かれた方がいて、「そういうことじゃないよ」となりました。
『えんとつ町』には、えんとつ町の風景を描く画家はいても、絵本『えんとつ町のプペル』の一ページの油絵バージョンを描く画家は存在しないんです。
(……上手く伝わっているか不安ですが…あの……頑張ってください!)
僕たちは、その絵は買えないんです。
その絵をCANDYや天才万博に展示してしまうと、CANDYや天才万博が100%作り物の空間になってしまうからです。
僕らが目指しているのは、「つい数年前まで、絵本や映画のキャラクターがここ(CANDYや天才万博)に存在した」とお客さんに勘違いさせることで、「テーマパーク」というよりも、「大阪城」や「坂本龍馬ゆかりの宿」に近い概念です。
その時、ファンタジーと現実の両方に存在できる『絵』は強くて、そのポイントを的確に捉えた画家さんは、少なくとも僕らが元気に活動しているうちは食いっぱぐれることはありません。
そんなことをコツコツと言っていた矢先、望月さんという鉛筆画家さんが「ルビッチの実写版」をお描きになられていたので、すぐに会社から御連絡させていただき、仕事のオファーを出させていただきました。
YouTubeのリンクを貼っておきますので、御確認ください。
現実とファンタジーの境界線を曖昧にしたリアルファンタジーの世界で需要があるのは、こういう仕事っす。
現場からは以上でーす!
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
https://youtu.be/X-OGaRWZG8I
 
 
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