西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年02月04日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。

昨日、会社のLINEグループに僕の絵の写真を投げたところ、新入社員から「西野さんって、絵、上手いんですね」と言われたキングコング西野です。

#知っとけや

今日は『非経済モデルを否定した先に何がある?』というテーマでお話ししたいと思います。

日本中が目を背け続けている話題に切り込んでみます。よろ。

 

どっちかを選べ!

結構有名な記事ですが、今から6〜7年前にチームラボの猪子さんが書かれた、こちらの記事って、読まれましたか?

https://www.gqjapan.jp/culture/column/20140805/trotting-arround-asia-134

(※時間がない方の為に、後で要約しますので読み飛ばしていただいてもOK!)

 

 

要するに…世界から選ばれるものは世界中からお金が集めるので圧倒的な資本でもって開発&運営されていくけど、

「ローカル(たとえば日本)を相手したそこそこハイクオリティーなもの」は、ローカルからしかお金を集められないので、シンプルにクオリティー勝負で絶対に負けちゃう(グローバルハイクオリティに飲み込まれちゃう)から、『ローカルハイクオリティ』には未来がないよね…という話です。

ここで猪子さんは「ならば、グローバルハイクオリティーに挑む能力がない者はどう生き残るか?」というところに切り込んでいて、結論は「コミュニティーの力」だと言っています。

これは、このサロンでも何年も前から議論していることですね。

『人検索』(「あの人から買う」もしくは「あのコミュニティーから買う」)の文化をキチンと作りにいかないと、後に残る選択肢はシリコンバレーの企業との喧嘩です。

勝てますか?

未来は「グローバルハイクオリティー」を選ぶか、「コミュニティー」を選ぶか?の2択しかないぞ!……という話です。

猪子さんは、コミュニティー内部で起きている経済活動について「サービスあるいは労働力を提供すること自体がコミュニティーの参加になるので、場合によっては、市場価格よりも極端に安くなったり、無料になったりすることがありえる」と語っています。

そして、それを【非経済モデル】と呼んでいます。

【非経済モデル】は、市場価格を無視してしまっているし、「お金=労働の対価」というルールすら無視することがあります。

このことを先日、テレビ番組で説明したところ、(同席していた先輩は勿論ギャグで言っていましたが)多くの視聴者から返ってきた反応は「ボッタクリ」「詐欺」「怪しい宗教」という言葉でした。

……ため息が溢れましたが、しかしながら、お金の流れや価格だけ見ると、「そう言えてしまう」という部分は確かにあると思います。

区別するポイントは「欺いているか、否か?」で、僕はよくホームレス小谷からスナックCANDYでボッタくられましが、欺かれてはいません。

「ふざけるな、小谷(笑)」で終わりです。

ボッタくられたお金はスナックCANDYの支援になればいいなぁと思いながらボッタくられています。

もちろん、他のお店だと、そんなことはしません。

経済のルール&市場価格に従って、サービス内容相応の値段をお支払いします。

今回、議論したいことは、「これだけグローバル化が進んだ世界で、真正面から【経済モデル】に挑むのって、ちょっと厳しくないっすか?」という話です。

だって、相手が相手ですよ。

記憶が曖昧なのですが……お金の歴史を遡ると面白いのが、その昔、中国なんかは、「中国でしか使えないお金(銅銭だっけな?)」を通貨にして、外からのアタックをシャットアウトしているんです。

どこぞの金持ちにブイブイ言わせないようにしている。

中国は今、インターネットでその歴史を繰り返していますね。

インターネットを規制して、シリコンバレーにつけ込ませない。

そういった「守り方」は、自国で完結できるだけの人口がいるから可能なわけで、日本では真似できません。
 

『えんとつ町』というファイアーウォール

じゃあ、日本に住む僕たちは、僕たちの身をどう守っていくのか?

僕らに必要なのは「外部のネットワークから内部のネットワークを守る盾」です。

これを「ファイアーウォール」と呼んだりします。

僕の結論としては、猪子さんと全く同意見で「非経済モデルを確立する」が一つの道だと考えます。

「市場価格は500円だけど、ホームレス小谷から買うと700円。だけど、ホームレス小谷から買いたい」という世界観です。

もう少し身近な例でいうと……(昔のご近所コミュニティーに見られたような)お隣さんがいきなりインターホンを鳴らして「肉じゃが作りすぎちゃったので、どうぞ」と〝おすそわけ〟してくださる、あのノリです。

材料費から、労働力まで、「まるごと無償提供」がまかり通っているあの世界(コミュニティー)には、さすがのグローバル企業も割って入れません。

そういったコミュニティーを形成する上で『えんとつ町』というのは非常に良いコンテンツだなぁと、あらためて思っています。

理念もそうですが、物理的な空間としても、日本家屋をリノベーションすれば再現できるようになっている。

世界観構築の際に発生する0→1のコストをカットできる。

#これは超デカイです

もしかしたら、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、岡山県の「奉還町」というところには『映画 えんとつ町のプペル』に出てくるスナック『CANDY』があって、その周辺の商店街には赤提灯がズラリと吊られ、まるで「えんとつ町」のよう。

そこに集まり、そこにお金を落としている人は、「安いから」という理由で行っているわけでもなく、グローバルハイクオリティーのサービスを求めて行っているわけでもありません。

「その世界観」に会いたくて、

「その世界観が好きな人」に会いたくて、

その場所に集まっています。

もしかすると、コーヒー一杯の値段は他より50円ほど高いかもしれません。

「それでも構わない」と。

幻冬社の箕輪さんが最近(前からだけど)超イケてるのは、『サウナ』を軸に、コミュニティーを作られていて、そこもまた『非経済モデル』です。

このコミュニティー形成を「宗教!」「詐欺!」と批判してしまうと、もう本当に未来がないので、世界の状況と今の日本の状況を照らし合わせて、いよいよ本気で考えた方がいいと思います。

これ、逃げ切れない流れっすよ。

現場からは以上でーす。

【追伸】

サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

【追伸②】

2月6日15時20分からTOHOシネマズ六本木ヒルズで『映画 えんとつ町のプペル』を観ます。

お時間ある方は是非、一緒に観ましょう。

渾身の会釈をブチかまします。

(※チケットはコチラ)→https://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/009/TNPI2000J01.do

 

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