西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年02月07日のエンタメ研究所の過去記事

こんにちは。

昨日、後輩の房野君から「西野さん、寝てるんですか?」と聞かれたので、「5日前ぐらいに結構寝たよ」と答えたところ、「『寝る』って、そういうことじゃないよ」と返ってきたキングコング西野です。

#毎日寝るのが大切らしい

さて。

今日は『ミュージカル「Poupelle of Chimney Town」を軸に、ミュージカル業界の課題を挙げてみる』というテーマでお話ししたいと思います。

ここ最近のホットワード「プロセスエコノミー」の理解を深める回となりそうです。

それでは、Let's サロン!

#いつ流行るねん

 

演劇・ミュージカル業界は綱渡り状態

僕自身、時間があれば演劇やミュージカルに足を運ぶようになったのは、この世界に入ってからです。

子供の頃の僕の生活圏には演劇やミュージカルといったエンタメは入っておらず、「東京や大阪といった都内のお金持ちのもの」ぐらいに捉えていました。

「僕のような田舎者が立ち入れる場所ではない」と。

劇場に入り浸るようになって早20年。。

いろんな作品、いろんな客席を観てきましたが、実際問題、演劇やミュージカルが「一部の人達のもの」になっている部分は少なからずあって、自戒を込めて言うと「同じお客さんで回している」というのが現状です。

#全ての作品がそうではないけども

あまり知られていませんが、「この前、観に来てくれたから、今度は観に行く」といった感じで、「演者同士が持ち回りで互いの作品の客席を埋める」という文化もあって、ビジネスモデルとしてはあまり健康的ではありません。

早い話、お客さんのパイを広ければいいのですが、パイを広げるには「演劇」や「ミュージカル」のチケット料金って高いんです!

兵庫県川西市の西野部屋(サラリーマン家庭の4人兄弟)には、あんな大金は支払えません。

演劇やミュージカルから目を背けて生きていくしかないんです。

舞台は、関わる人数や、セット費もろもろで、お金がかかってしまうので、どうしてもチケット料金が高くなってしまうんです。

ザックリした説明ではありますが、これが演劇・ミュージカル業界の現在地です。

これからオンラインサロンを絡めながらミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を作るにあたって、この問題はサロンメンバーの皆様と共有しておきたいです。

 

舞台×プロセスエコノミー

チケット代が高いからといって、役者やスタッフが私腹を肥やしているかというと、そうではありません。

チケットの売り上げ金の多くは(ギャランティー以外の)制作費に回されます。

なので「舞台役者を続ける為にアルバイトをする」なんてのはザラ。

今は、役者やスタッフの「舞台愛」だけでギリギリ持ちこたえていますが……シビアな話、「お金が稼げる場所」に才能は集まるので、このままだと舞台に才能は集まりません。

そして、この問題を無視する西野ではありません。

ここまで説明すると、もう皆さんもお察しだと思いますが、要するに「チケット代だけで舞台を作る」というビジネスモデルにそもそもの欠陥があって、「ならば、こうしてみては?」という提案が『プロセスエコノミー』です。

舞台の制作費を「チケット料金(ときどきスポンサー)」一本で回収するのではなく、「チケット料金+制作過程(プロセス)の販売」の二本柱で回収する。

去年、蜷川実花監督にお願いして、ブッ飛びMVを制作しましたが、あのMVの制作費は4000~5000万円。

それを無料で提供したわけですが、それが実現できたのは、オンラインサロンで制作過程を販売したからに他なりません。

あのMVは、いわば「チケット代無料」で、制作過程の売り上げだけで作ったわけです。

(これ→)https://youtu.be/StVsfO0lVok

「なるほど。ならば、舞台もこのようにプロセスを販売販売して、作ればいいじゃん!」という結論になるわけですが……ここで、大きな大きな問題が立ちはだかります。

 

メジャータイトルの権利

先ほども申し上げましたが、舞台のチケット料金って決して安くないので、シェイクスピアや『アラジン』や『ライオンキング』といった「世間的に知られている作品」じゃないと、お客さんを呼びにくいんです。

多くのお客さんは「当たるかハズレるか分からない無名な作品を観る!」というバクチをやらないんですね。

なので、シェイクスピア先生や、ディズニー様に頭を下げて、使用料を支払って、原作をお借りするのですが、シェイクスピア作品やディズニー作品は「プロセス」を見せることは絶対に禁止なんです。

これが、もう……おもっくそ禁止です。

ステージ衣装のままインスタをアップするなんてもっての他。

つまり、

メジャータイトルをお借りしないと集客はできないけども、

メジャータイトルをお借りする以上、プロセスは販売できないんです。

舞台のプロセスエコノミーは、ここで詰んじゃってるんです。

じゃあ、どうすればいいか?

答えは一つで、「自分達のオリジナル作品を作る」です。

舞台×プロセスエコノミーを実現させるには、これしかありません。

幸い、『えんとつ町のプペル』は「世間的に知られている作品」に成長し、その権利は西野が全て持っています。

そして、その西野は「プロセスを販売しちゃいましょうよ」と言って、ついには映画公開前に映画の脚本を販売する始末。

https://nishinoinc.thebase.in/items/39585713

舞台のプロセス販売を否定するハズがありません。

ここまでの話を整理すると、こんな感じです↓

①チケット代だけで舞台を作るのは限界があるよね。

②プロセスを販売しよう。

③だけど、メジャータイトルはプロセス販売が禁止されている。

④ならば自分達でメジャータイトルを作っちゃおうよ。あ、すでに、あった。

⑤プペろう。

昨日、プロデューサーのセトちゃんに「プペルのミュージカルを作るのって、ザックリ、どれぐらいかかるの?」と聞いたところ、「1億円ぐらい!」と言われました。

会場となる『東京キネマ倶楽部』のキャパは、せいぜい400ほど。

公演期間は、11月14日〜28日の2週間ほどで、客席数から計算すると、どう考えたって、チケット代だけでは1億円を回収することができません。

プロセスエコノミーを仕掛ける舞台としては、おあつらえ向きな条件。

#プロセスを販売しないと死ぬ

望むところです(^o^)

ここから、予算を回収しながら舞台を作っていきます。

「ああ、こんな感じでプロセスを販売するんだ」と見守っていただき、時々、参考にしていただけると嬉しいです。

宜しくお願い致します。

現場からは以上でーーす。

【追伸】

サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

https://youtu.be/DAnx80iPglA

 

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