西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年03月10日のエンタメ研究所の過去記事

3月10日(水) ※3月12日以降は『いいね』を押さないでください。
━━━━━━━━━━━━
おはようございます。
学生時代、友達の斎藤君が「3月10日はサイトーの日だー!」と叫んでいましたが、絶対に「佐藤の日」だと思っているキングコング西野です。
さて。
昨日はお酒を呑んでいないので、今日は朝から頭がキレキレです。
おかげで、少しエグめの、少しエッジの効いた話をしちゃうので、お時間あれば是非、『salon.jp/nishino
』を付けてTwitter(本アカ)で感想を呟いてください。
全部、読ませていただきます。
そんなこんなんで今日のテーマは……
「『お金』『茶器』『プロセス』という共同幻想
です。
価値創造の話です。
途中、言葉が荒れるかもしれませんが、どうか勘弁してください。
━━━━━━━━━━━━━━━
▼ プロセスエコノミーの夜明け
━━━━━━━━━━━━━━━
自分で自分の功績をたたえるようで極めて気持ちが悪いのですが……キングコング西野亮廣がこの約8年間でやったことを一言でまとめると「プロセスを売り物にした」ということだと思います。
調べてみると、クラウドファンディングで資金を募り、現地ニューヨークでボランティアを募って、初の海外個展を成功させたのが2013年1月。
毎晩、営業時間終了後にボランティアスタッフと飲みに行っては、御礼を伝えたり、明日以降の宣伝の打ち手を議論したり…学生時代の文化祭の用に「一緒にモノを作る」ということが、こんなにも面白いことを知り、「これはサービスになる」と確信しました。
アメリカから帰国後、最初に仕掛けたのは日比谷公会堂でおこなうソロトークイベント『西野亮廣独演会』です。
キャパは2000席だったのですが、「2000席を埋める」をエンタメにする為に、『チケットぴあ』を使わずに、2000枚のチケットを全て「手売り」で販売することにしました。
ツイッターで西野の現在地を発信し続け、毎日チケットを持ち歩いて、お客さんと待ち合わせて、手売り手売り手売り。。
しばらくすると手売りを手伝ってくださるお客さんも出てきて、チケットが完売したことで涙するお客さんもいました。
これまで「客席が埋まっている」は、ライブの制作陣だけの感動だったのですが、それを共有してみたのが日比谷公会堂での独演会でした。
以降、
ありとあらゆる「レストラン型(プロが作って、お客さんに与えるタイプ)」のエンタメを、「バーベキュー型」に置き換えて、「作る」というエンタメを提供し続けました。
最初は、クラウドファンディングに対する理解もありませんでしたし、「西野が何故、チケットを手売りしているのか?」も、「西野が何故、お客さんと呑みに行っているのか?」も、まったく理解されませんでした。
キンコン西野が迷走している」という構成の番組企画も少なくなかったと思います。
それでも、しつこく続けているうちに、「いやいや、作るのって面白くね?」という人が、ポツリポツリと増えてきて……挙句、エッフェル塔の個展の運営スタッフの競争率たるや。
メイキングの価値は二つに分解できると思っています。
一つ目は、作り手が受け取る「承認欲求が満たされる」という価値。
『役割』は、「この世界に自分がいてもいいんだ」と、自分の存在を肯定してくれます。
揚げ足取り(横ヤリ)のインフラが整って否定されやすくなった時代は、相対的に、ここの価値は上がります。
二つ目は、希少価値。
「完成品よりも、プロセスの方が、世の中に存在している時間が少ない」という話です。
『映画 えんとつ町のプペル』は5年後の人も観ることができますが、『映画 えんとつ町のプペル』を作るまでの苦悩や感動は、あの時点で『西野亮廣エンタメ研究所』に入っていなかった人が100億円払っても共有することができません。
もう、あの時間は買えないんです。
ここに気がついた人が、プロセスを買い始めたわけですが………ここからが今日の本題です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼価値を生み出しているのは何か?
━━━━━━━━━━━━━━━━━
たとえば、「ハンコ」ってあるじゃないですか? 印鑑です、インカン。
ハンコって、モノ凄い力を持っていますよね。
「ハンコを押した、押してない」で人生が大きく左右されたりもする。
そもそも、ハンコが何故、あれだけの力を持っているかというと……その理由はいたってシンプルで、「皆がハンコを信じているから」です。
ハンコを信じていない人が、人口の9割を占めていたら、「ここにハンコを押したじゃないかっ!」と怒鳴り込んでも、「だから?」となります。
「お金」もそうですよね。
日本人が日本円を信じているから日本円に価値が存在しているわけで、アマゾンの奥地の部族のオバサンに100万円の札束を渡したところで、火種にされるか、ウンコを拭く紙に使われて終わりです。
「価値」なんて、所詮、共同幻想で、「皆がその価値を信じた瞬間に価値が生まれる」というヨッパライみたいな話です。
ちなみに……僕の地元では、小学生の頃、珍しい牛乳キャップが『メズベン』と呼ばれ、学校の給食でゲットできる普通の牛乳キャップ20枚と交換されていました。
今、思うと、どちらもゴミです(笑)。
僕らが、そのものの価値を信じるには、『メズベン』の場合は「数が少ないから価値があるよね〜」だったり、『お金』の場合は、「国家が保証しているから価値があるよね〜」といった根拠や納得感が必要です。
逆に言うと、「根拠や納得感があれば、価値を生み出せる」という話です。
あの……サロン内なので、ちょっと口が悪くなってもいいですか?
当時(今じゃないよ、昔だよ!)、プロセスを売り始めたキングコング西野を否定している人達を見て、「この人達は本当にバカだなぁ」と思っていました。
こと日本において、「人口が減っている」ということは、当たり前の話ですが、「完成品を買う人が減っている」ということです。
ここで需要と供給を成り立たせようと思ったら、「完成品を売る人」を減らすしかないわけですが……SNSやらYouTubeやら何やらで、むしろ「完成品を売る人」は増えています。
つまり、「作り手一人あたりが売ることのできる完成品の平均数」が減っている。
「じゃあ、どうすればいいの?」と考えた時に、「完成品を買ってくれる人に、別のモノを買ってもらう」しかなくなくて、その時、作り手に残された打ち手は、“「プロセス」に価値をつけて売る”しかなくね?
織田信長が、褒美として与える「土地」が無くなった時に、「茶器」に価値を付けて、褒美としたようなノリです。
あの当時、「茶器」の価値が自然発生したかというと、そんなことはありません。
信長がヒーヒー言いながら「お茶会」を制限したり、千利休にバイトさせたりして、「茶器」の価値に、根拠や納得感を付けて、価値を生み出したわけですね。
「完成品を販売しているあなた(影響力のある人間)が、プロセスの販売を否定すればするほど、あなたのお客さんは、あなたの作品(商品)のプロセスを無価値なものとしてしまうから、人口が減った時(売り手が増えた時)に、あなたの完成品を買ってくれる人が減って…、だけど、その時には『完成品以外を売れない身体』になってしまっていて、手詰まりになるから、とりあえず今は黙っておいた方がいいよ」
……と、8年前の西野は思っていました。
土地を配りきった織田信長が「茶器なんて、ただの器だろ?」と言っているようなもので、僕が信長のマネージャーなら「価値を創造しろよ!タコかよ!お前、本能寺の前に死ぬぞ!」と言っています。
僕はプロセスの価値を信じていて、プロセスを販売することがあるので、プロセスを買うことに何の抵抗もありません。
もちろん完成品を買うことにも抵抗がない。
単純に、お金を回す機会が増えています。
ここから、「プロセスの価値を信じる層」と「プロセスの価値を信じない層」で、かなり明暗が分かれると思います。
「もう、土地は配りきってるけど、キミはどうする?」というお話でした。
現場からは以上でーす。
 
▼オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』入会はこちら ↓↓↓