西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年03月13日のエンタメ研究所の過去記事

3月13日(土) ※3月15日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
母ちゃんから、「テレビで観たんやけど、アンタのところのリビングの壁が大きい時計になってるでっ!」と連絡があったキングコング西野です。
さて。
ノウハウ系の記事が続いたので、今日は少しコラムっぽい内容をお届けします。
肩の力を抜いて、(そんなに期待せず)読んでいただけると嬉しいです。
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▼ エンターテイナーとして生きる
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昨日は、「アサヒ飲料労働組合」の皆様を対象としたオンライン講演会がありました。
先日も書かせていただきましたが、「進んでいることが確認できる仕事」というのは、精神的に本当に救われます。
進んでいることが確認できる仕事を「手作業」と呼び、
頭の中がウンウン考える仕事(進みが確認できない仕事)を「脳作業」と呼ぶのならば、
「脳作業」で疲れた体を「手作業」で癒しているような毎日です。
傍から見るとどちらも仕事で、1日25時間ほど働いています。
昨日は、「集客」や「これからの仕事」についての講演だったのですが、その内容は1年前の講演会とは明らかに違いました。
僕自身、この1年で様々な実験を繰り返し、成功したり、失敗したりして、多くの実験結果を取得しました。
当然、話す内容は違ってきます。
しかし、昨日、話していて感じた「違い」はソレではなく、「『映画えんとつ町のプペルをヒットさせた」という〝説得力〟が、1年前と同じ言葉を、より強くしている」というコトでした。
「何を言うか?」ではなく、「誰が言うか?」というヤツです。
その「説得力」は、クライアントさん(お客さん)には喜ばれるのですが、どっこい、エンターテイナーとしては、「説得力」が商品として成立しやすくなっている環境というのは危険だなぁと思いました。
僕の目的は、瀬戸内寂聴さんになることではなく、エンターテイメントで世界を獲るコトにあります。
売らなければいけないのは「説得力」などではなく、「作品」です。
どれだけ御託を並べても、どれだけ人間関係を築いても、「面白くなかったら終わり」「ヒットしなかったら終わり」というエンターテイメント1丁目1番地に毎日顔を出すことが僕の仕事です。
「次の挑戦は?」「最近のヒット作は?」と訊かれて、口ごもってしまうような西野に、誰が興味ありましょう?
そんな中、
海老蔵さんと歌舞伎を作るコトになったのは、本当に良いタイミングでした。
成功に酔いしれる間も無く、いきなりピンチです(笑)。
ここでコケてしまうと、積み上げた「説得力」は消え、僕は多くのものを失うでしょう。
「やる」と決めた瞬間に、また映画の時のように膝は震えましたが(ナイショだよ)、芸人を名乗るのであれば、「やらない」という選択肢はありません。
失敗すれば叩かれて、
成功すれば妬まれて、
有名税を払い、
あらゆる理不尽を背負い…
ロクでもないことを数え上げればキリがありませんが、それでも引き換えに手に入れたい僅か数秒の感動があります。
あと、ちょっとだけモテるし。
それだけ手に入れば、僕はもう何もいりません。
僕が働いて稼いだお金は、次のエンタメの予算か、被災地や途上国や、弱い人達に使ってください。
一応、役員報酬は頂いているので、僕はそれで食っていきます。
一生、コンビニの蕎麦でいいです。
二日前からずっと「江戸の歴史」と「歌舞伎の歴史」について調べています。
おそらく、この二日間は、世界中のどの受験生よりも、机と向き合っている時間が長いです。
今の僕の戦闘力では負けることが決定していて、その力不足を痛感するのが、いちいち痛快です。
芸歴も20年を超えると、なかなかできる経験じゃありません。
そういえば、映画の時もそうでした。
自分の身におきかえて想像してみてください。
ど素人の自分が、世界的な評価を受けているアニメーションスタジオ『studio4℃』のスタッフの皆さんの前で、「今日から僕が製作総指揮です」という瞬間を。
どんなメンタルを持ち合わせていれば、息ができるんですか(笑)。
それを今度は、数百年の歴史を繋いでこられた歌舞伎のスタッフさんの前でおこないます。
「そこは、そうじゃないです。こうしてください」とか言っちゃうのです。
ヤベエなww
江戸と歌舞伎の勉強をしながら、ゆるやかに戯曲(台本)の執筆を進める最中、ミュージカル『えんとつ町のプペル』のプロデューサーのセトちゃんから連絡がありました。
「アントニオ役のオーディションをYouTube上でおこないたいです」
と。
そういえば、呑んでいる時に「わざわざオーディション会場に足を運んでもらうよりも、一次審査として、YouTubeに課題曲を投稿したもらった方が良くない? 作品の宣伝にも、俳優さんの宣伝にもなるし」と言った気がします。
そこで「ハッ」としたのですが、『歌舞伎』の前に、そういえば僕は『ミュージカル』も作ったことがありません。
作ったことがない『映画』を作った後に待っていた仕事は、作ったことがない『ミュージカル』と、作ったことがない『歌舞伎』でした。
あとは、作ったことがない『旅館』も。
綱渡りにも程がありますが、ただ、20歳の素人小僧が手を挙げているわけではなく、一応、19歳の頃からエンターテイメント1丁目1番地に顔を出し続けてきた人間が「やります」と言っているわけで、ジャンルは違っても、転用しているノウハウはあるのでしょう。
サロンメンバーの皆様におかれましては、ついさっき映画をやっていたばかりなのに、息つく暇もなく次の挑戦を見せつけられるわけですが、
「ああ、めげそうだな…」となった時にでも、このサロンを読んで、
西野のジタバタ劇を見て、
栄養剤にしていただいて、
「俺も、もうちょっとだけ頑張ってみようかな」
と思っていたけたら嬉しいです。
今日の記事は、昨日の講演会で感じた「説得力」に寄りかかる自分にならないように自戒を込めて書かせていただきました。
まだまだ何者でもありませんので、今日も学び、明日も明後日も学びます。
とりあえず、ミュージカルのプロデューサーのセトちゃんが「アントニオ役オーデション」に関する記事をアップしているので、読んでやってください(※お友達に役者さんがいたら、教えてあげてください。貼付記事はシェアOKです)。
セトちゃんも手探りで頑張っている一人です。
コロナでまだまだ大変な日が続きますが、お互い頑張っていきましょう!
現場からは以上でーす
 
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