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2021年03月31日のエンタメ研究所の過去記事

3月31日(水) ※4月2日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
11月8日の夜はアレがあるのでスケジュールは空けておいて欲しい、11月8日の夜はアレがあるのでスケジュールは空けておいて欲しい、11月8日の夜はアレがあるのでスケジュールは空けておいて欲しいキングコング西野です。
さて。
今日は『改善と指標と落とし穴』というテーマでお話ししたいと思います。
新人教育の話でもあり、僕たち一人一人の話でもあります。
たぶん、結構、大事な話です。
それでは、Let's サロン!
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ミュージカル『えんとつ町のプペル』の制作は波乱に満ちています。
もともとは、サロンメンバーの小野さん(元・劇団四季)が、サロンのコメント欄で「プペルのミュージカルを作ってブロードウェイに持っていきたい」と呟いたことが始まりです。
小野さんの不安定感、声のボリューム調節機能がブッ壊れている感に魅力を感じて、サポートさせていただこうと思い、「それ、具体的に進めませんか?」と呑みに誘ってみました。
エッフェル塔の個展を成功させたばかりのセトちゃん(新入社員)が次の刺激を求めていたので、(株)CHIMNEY TOWNからは彼を責任者(プロデューサー)としてつけて、プロジェクトがスタートします。
無事に、オフオフブロードウェイの劇場も押さえ、「そろそろオーディション&稽古を始めなきゃ」というタイミングで、新型コロナウイルスが襲来。
ブロードウェイが街ごと止まってしまい、公演は延期&延期。。
そこで「オンライン公演」という選択肢が生まれ、セトちゃんを中心に(2日限りの)オンライン公演プロジェクトがスタート。
クラウドファンディングで制作費を募り(主に視聴券を売り)、無事にオンライン公演を開催する運びとなったわけですが、内容がとにかくお粗末(笑)
昨日今日覚えたような編集テクニックを前面に出して、俳優さんの才能を隠してしまう始末。
「あちゃー、こりゃ、やっちゃったなー」と思いながら観ていたら、お客さんからは称賛の嵐。
クラファンでチケットを買ってくださったお客さんからすると「我が子のピアノの発表会」のような感覚で、「頑張ったね」が強かったのと思います。
しかしながら、プロの世界では結果が全て。
「頑張ったか、どうか?」など関係ありません。
世界戦ともなると尚更。
このまま進めるとセトちゃんがクリエイターとして死んでしまうと思ったので、公演1日目の夜に呑みに誘って、「今回の仕事は0点だったよ」と告げます。
「チームの皆は悪くない。すべてリーダーとして決断をくだしたセトちゃんの責任だよ」とも。
その夜、今回の事故が起きた原因を二人で整理して、「ならば、どうすればいいのか?」を話し合い、そこからジタバタとあがいて、今はまぁ、そこそこたくましくなったと思います。
(株)CHIMNEY TOWNには、いつもいろんな個性を持った若手がやってきます。
右も左もお箸の持ち方も分からない彼らは、とにかくズッコケまくるのですが、僕が「そっちじゃない」と彼らの首根っこを引っ張るのは、セトちゃんのオンライン公演の時のような「死ぬ寸前」だけです。
制作から資金繰りから集客まで、僕が指揮をとって、彼らが僕の指示通りに動けば、傷一つつけずにプロジェクトを成功させることは可能ですが、この世界は「怪我をしないと身に付かないこと」だらけ。
学校で学んできたことが1ミリも通用しないことを、
自分の考えが甘すぎたことを、
自分の考えのどの部分が、どの程度間違っていたことを教えてくれるのは、「自分が判断をして動いた結果」なので、プロジェクトの判断は彼らに任せ、「あぁ、こりゃ、怪我をするなぁ」と思っても、怪我で済むのなら見過ごしています。
彼らには、「そもそもバカなんだから最初から上手くいくわけがないよ(すっごいパワハラ!)。キミ達に失敗があるとしたら『爆速で改善することを放棄すること』だ」と伝えています。
学校では「正解の導き方」を学びますが、ご覧のとおり現代では「正解」などありません。
集客を学んだ翌日に100年に一度のウイルスがやってくる時代です。
今、求められているのは「正解を導き出す力」ではなくて、「正解を作る力」で……トライ&エラーのスピードとチャーミングさこそが現代の剣となります。
これを持たずに戦場に出たら1000%死にます。
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▼ 改善の落とし穴
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「ならほど!とにかく、猛スピードで改善を繰り返したらいいのね!」と結論するのは、少しお待ちください。
改善には明確な「落とし穴」があり、そこに落ちてしまっては意味がありません。
僕らはその穴の場所を把握しておかなくちゃいけない。
プロジェクトを改善する際に、指標として持ち出されるのは「数字」です。
数字は事実なので、指標にするには分かりやす過ぎるんです。
「売り上げが落ちてるから頑張ろう」とか、「集客に成功した。やったぜ!」とか。
ただ、この時、「皆と同じ指標を使って、改善を繰り返したら、皆と同じ形になって、成功の価値を失う」ということを僕らは知っておかなければなりません。
イメージしやすいところでいうとYouTuberです。
YouTubeは「データ解析」までプレイヤーに提供してくれるので、再生回数やチャンネル登録者数の伸ばし方のヒントだらけ。
「なるほど。コラボをやれば伸びるんだ」
「なるほと。こういうサムネイルにすれば観てもらえるんだ」
「なるほど。こういう企画が今、ウケるんだ」
などなど。
それにより「数字」は伸びるのですが、皆が同じ指標を使用しているので、アプローチが画一化されます。
まもなく多くのYouTuberはアルゴリズムを追いすぎたシッペ返しを受けることになるでしょう。
「二年前は、これで、再生回数が稼げていたのに…」という。
気がつけば自分はオンリーワンでは無くなっていて、無常にも、過ぎた時間は戻ってはきません。
そして、少しナナメ後ろを見ると、「まったく別の指標を元に活動を積み重ねてきた変な形のヤツ」がその存在感を増していて、一度追い抜かれると、もう手が届かない。
改善を爆速で繰り返すことはとっても大事です。
しかし、その時、忘れちゃいけないのが、「自分が使っている指標を、どれぐらいの人が使用しているか?」で、皆が使っているのであれば気をつけた方がいいと思います。
昔、梶原君が「全ての芸人が競技場で競っているのに、西野だけは競技場の近くの釣り堀で釣りをしている」と言っていて、なるほどなぁと思いました。
たぶん、そういうことだと思います。
昨日、台湾で『映画 えんとつ町のプペル』の先行上映がありました。
皆が「ひな段」に出たり、YouTubeの再生回数を追っている裏で、チマチマと作った作品です。
制作時に指標としたものは、番組の出演回数でも、再生回数でもなく、「世界に出られるか否か」でした。
現場からは以上でーす。
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