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西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年05月16日のエンタメ研究所の過去記事

5月16日(日) ※5月18日以降は『いいね』を押さないでください。
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日曜日なので、役に立つようなお話はお休みして…この一周間、大変だったことと、嬉しかったことを、とくに着地点を定めずにツラツラと書きたいと思います。
ただの中年の(とくに中身もない)日記ですので、読み飛ばしていただいても何ら問題はないっす。
お時間あればお付き合いください。
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▼ 「呪い」と「祈り」
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2012年にスタートした『えんとつ町のプペル』というプロジェクトは、『映画 えんとつ町のプペル』をもって決着がつくかと思いきや、とんでもない。
その先にはミュージカルが控えていて(※コロナがなければミュージカルの方が映画よりも前に上演される予定でした)、そして今は、世界展開が着々と進んでいます。
5月26日からは韓国で映画が公開されて、
その先の海外展開も色々と決まっています。
近々、皆様にも発表できるかと。
いろんな国のいろんな大人が絡んでいるプロジェクトなので情報の扱いは慎重になっています。
ご容赦ください。
僕個人的には、新作絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』の発売を間近に控えていて、その次の作品(さらにその次の作品)の制作も進めています。
あと、
これは仕事でも何でもありませんが、僕は本広克行監督のオンラインサロン(DMM)に入っておりまして、サロンメンバーさんとの呑み会の中で「西野さん、舞台の本を書いてくださいよ〜」と言われ、酔っ払った勢いで「書きます!」と答えてしまい(西野クオリティー!)、どういうわけか、このタイミングで舞台脚本を書いちゃっています(笑)
朝起きて、Voicyを録って、サイン本の制作&梱包&配送をして、サロン記事を書いて、そこから先はアトリエに籠って、ひたすら制作活動。
要領が悪いので、ナンジャカンジャで翌日の3〜4時頃までやっています。
実は、最近、その制作活動の合間を縫って、一冊の絵本を作っています。
驚かれるかもしれませんが、その絵本というのは『えんとつ町のプペル』です。
2016年に出した『えんとつ町のプペル』と区分けする為に、別のタイトルになりますが、描くのは紛れもなく『えんとつ町のプペル』です。
面倒臭くて面倒臭くてたまらないですが、2016年に出した絵本『えんとつ町のプペル』は、あくまで「映画を観てもらう為(映画に興味を持ってもらう為)」に作った絵本であって、いろんなものをカットしているんです。
星を追いかけた少年の話はあっても、星を諦めた少年の話は絵本『えんとつ町のプペル』には入っていません。
でも、本当はもういいんです。
70万部売れたし、映画に繋いだし、映画はヒットしたし、海外にも繋がった。
2016年に出した絵本『えんとつ町のプペル』は、もう十分すぎるほど役目を果たしたんです。
だけど、そうじゃない。
やっぱり納得がいきません。
表現活動を続けていく為に、お金も問題も集客の問題も片っ端から潰していきますが、
ですが僕は、ビジネスマンではなく、表現者です。
「売れたから、大成功」で話を終わらせられるほど人間ができていません。
僕は、絶望的に頑固で、ひねくれた生き物です。
自分の中では、まだ絵本『えんとつ町のプペル』が片付いていないんです。
こんなことを言っちゃうと、出版社さんにメチャクチャ怒られるけど、次に作る絵本『えんとつ町のプペル』は、もう一冊も売れなくてもいいんです。
そのかわり、何の宣伝(チラシ)でもない、他の何の為でもない、「ああ、僕はこれを作り上げたんだな」と自分を納得させる為だけの一冊である必要がある。 
その仕事をやり遂げるまでは、気持ちよく次に進めないんです。
なので、誰からも求められていないのに、今僕は絵本『えんとつ町のプペル』を作っています。
絵本として作って、映画化した作品を、再び、絵本として再構築する作業というのは、過去の僕が出した答えを片っ端から否定していく作業でもあるので、苦行でしかありません。
しかも、その仕事をやり遂げたところで、何にもならない。
ただ、自分に決着をつける為だけの作業が、これから2〜3年ほど続きます。
自分のペースは崩れ、人生は蝕まれ、こんなに振り回された作品は初めてです。
作家としては『えんとつ町のプペル』は「呪い」でしかなくて………筆の進みは遅いし、かと言って抜け出せないし、この1週間で1万回ぐらい溜息をこぼして、5万回ぐらいハゲました。
時々、夜中にYouTubeの生配信をしているのですが……あれ、作品から逃げてるんです。
まったく、みっともない話ですが、人肌に触れたいだけなんです。
たいして喋りもせず、黙ってコメント欄を見ている理由は、それです。
あれを挟まないと、気が狂いそうになるんです。
…誰が共感できるんですか、こんな話(笑)
とにかく、呪われたら最期。
賽の河原の石積みが如く、終わらないんです。
やってもやってもやっても、終わらない。終わりがない。
まったく面倒なところに首を突っ込んじゃったもんです。
えんとつ町のプペル』が始まる前は、仕事終わりに皆と呑みに言ったり、時々、海に行ったりしていたのですが、もう戻れない。
毎夜毎夜、アトリエで「畜生め!」とボヤキながら、何の足しにもならないチョコレート(糖分)を口に放り込んでいます。
そんな中、
一昨日、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の演出助手のモエコさんから、動画が送られてきました。
ご両親と一緒に『映画 えんとつ町のプペル』のドライブインシアターに行かれた時の動画です。
映画上映前に、サプライズで「お誕生日メッセージ」をスクリーンに映し出せるサービスがあって、そこでモエコさんのお母様に向けたメッセージが流れたのですが、その時の様子が本当に最高だったんです。
「撮らなきゃ撮らなきゃ!」とお父様が慌てて、お母様は「楽しー!楽しー!」を連呼。
仕掛け人のモエコさんは、ひたすら笑っています。
とっても温かい家族の風景がそこにはあって、こういった家族の待ち合わせ場所となったのが『えんとつ町のプペル』で……その動画を観た時に、何年間もアトリエで一人で過ごす時間が少し報われました。
「ああ、無駄じゃなかったんだな」と。
モエコさんは仕事で繋がりがあったから、こうして動画で教えてくださいましたが、
僕の知らないところで、僕が知らない家族や、友達や、恋人の待ち合わせ場所に、『えんとつ町のプペル』が選ばれていることもあるでしょう。
モエコさんから送っていただいた動画を何度も何度も何度も見返して、「大変だけど、もう少しだけ『えんとつ町のプペル』という作品と付き合っていこう」と思いました。
頑張ります。
それでは素敵な日曜日をお過ごしください。
 
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