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2021年05月17日のエンタメ研究所の過去記事

5月17日(月) ※5月19日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
廃品回収のトラックのアナウンスが聴こえてくるのですが、あれって、どうやって呼び止めたらいいんですか?
キングコング西野です。
さて。
今日は「育て続ける為の交通整理」というテーマでお話ししたいと思います。
「役に立つ話」などではなく、ここから数ヶ月の動き(とその理由)を、皆様と共有しておきたいので、そんな話をしまーす。
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▼ そもそも、その商品の売り方は合ってるの?
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世間では語られない面白い数字があります。
「347万円3975円」
「471万800円」
「436万5400円」
「385万9800円」
「251万3600円」
……この数字は僕らの会社が運営しているサイン本専門店『キンコン西野のサイン本屋さん』の直近5ヶ月の売り上げです。
(※利益じゃないよ)
途中、ものすごく盛り上がっているのは映画公開効果です。
キンコン西野のサイン本屋さん↓】
「どれだけ宣伝するか?」にもよりますが(4月~5月はあまり宣伝していません。オンライン講演会の宣伝を厚めにしていたので)……映画がなくても『キンコン西野のサイン本屋さん』は毎月300万円ぐらいの売り上げをコンスタントに叩いております。
この店の人件費は、本の仕入れをしたり、配送のお手伝いをしてくれたり、お客様の対応(※住所の記入ミスが本当に多い(涙))をしてくれるスタッフさん一人分だけ。
実店舗じゃないので、家賃はかかりません。
生々しい話ですが、(株)CHIMNEY TOWNの収益の柱の一つになっていることは間違いなくて、それよりなにより、作品の認知が広がり続けることが、僕らのチームにとっては大きいです。
作品を認知さえしてもらえれば、その後の打ち手はいくらでもあるので。
ここで議論したいのは、「多くの作家は、サイン本屋さん(買われ続ける仕組み)を持っていない」ということです。
彼らにとっては、新作を出版した直後がセールスチャンスで、そこに(広告費などの)コストを集中します。
「本屋さんで平積みされている間に、なるべく売っちゃえ」という考えです。
もちろん一理も二理もあるのですが、ですがそれは、「肉」や「魚」といった賞味期限がある商品の届け方の基本姿勢であって、書籍(時事ネタ本を除く)には、賞味期限などありません。
星新一ショートショートは今読んでも面白いです。
考えなきゃいけないのは、「1冊の本が10年、20年、30年売れ続ける仕組み」で、その為に、どういったバリューをのせて、どういった形態で販売すればいいのか?を模索しなければなりません。
キンコン西野のサイン本屋さん』にしたって、永遠ではありません。
僕の影響力が落ちたり、僕が死んだら終わってしまうわけですから、次の打ち手を考えなければなりません。
ちなみに…
僕が寿命を迎える直前に、頑張って100冊の絵本にサインを入れて、1週間に1冊限定で販売して、1冊売れるほどに、本の単価を(複利3%で)上げていくようにスタッフに伝えようと思っています。
『最後の100冊キャンペーン』です。
売り上げは全額絵本の寄付に使ってください。
モノ作りの現場にいると、『作品を作る』というところに力を注いでいる人はよく見ますが、
『作品を育てる』というところに力を注いでいる人はあまり見かけません。
『新作』が過剰評価され、『育てる』が「怠慢」や「いつまでも、過去作に“しがんでいる”」といった感じでネガティブに捉えられているようにも思います。
ですが、
エンタメの歴史を見ると、「王者」となっている作品(チーム)の戦い方は、刹那的なヒットではなく、ロングテール(長く届ける)です。
参考までに、ミュージカル『キャッツ』の初演は1981年。
とっくに猫の寿命を超えています。
狙うはエンタメの頂です。
「流行り」なんてどうでもいいので、考えなきゃいけないのは、「数十年間(数百年間)届け続ける為にはどうすれば?」です。
『映画 えんとつ町のプペル』は最初からそのことを考えています。
「10年後も映画館で観られる映画にする為には、どうすればいいんだろう?」です。
その一つの答えが、「毎年、ハロウィンの時期に上演して、『映画』から『行事イベント』に意味変する」です。
これは、まだ表では言っていないので、内緒にしておいてください。
そして、もう一つ。
最近スタートした『ドライブ・イン・シアター』に、僕は大きな期待を抱いています。
映画館で観る映画と、ドライブ・イン・シアターで観る映画は、それぞれ提供しているものが違います。
純粋に作品を楽しみたいのであれば、映画館に勝る場所はありません。
ドライブ・イン・シアターが提供しているのは、昨日の記事の添付動画にもあったとおり、「コミュニケーション」です。
変な話ですが、「知っている作品(最後のオチまで分かっている作品)」の方が、車内の会話は増えるので、理論上、コミュニケーションツールとしてのドライブ・イン・シアターでは、新作よりも、旧作の方が強い。
『映画 えんとつ町のプペル』をテレビで放映したところで、ドライブ・イン・シアターの『映画 えんとつ町のプペル』の集客が落ちることはないでしょう。
もちろん、テレビ放送されても、毎年ハロウィンの行事イベント化した『映画 えんとつ町のプペル』(10月末に10日間だけ公開)の集客が落ちることもないでしょう。
こんなことを書くのもアレですが(サロンなので書きますが)、ここから考えなきゃいけないのは、行事イベント化に協力してくださる【東宝さん】と、ドライブ・イン・シアターに協力してくださる【イオンさん】のバランスです。
【都内】と【郊外】という棲み分けはできているのですが、開催時期も棲み分けした方がいいと思っています。
行事イベント化の初年度となる今年は特に。
「『えんとつ町のプペル』がハロウィンの時期に返ってきた(蘇ってきた)」と打ち出すのであれば、その直前では、映画は公開していない方がイイ。
先にお伝えしておきますが、ドライブ・イン・シアターがどれだけ好評でも(今、メチャクチャ好評です)、夏になると一旦、お休みさせていただきます。
10月に復活祭として盛り上げるには、一旦、死んでもらう必要があるので(笑)
まもなく「西野が、あれだけドライブ・イン・シアターのことを言っていたのに、最近、あんまり聞かないなぁ」という時期がやってきますが、そういうことだと思ってください。
本音を言うと、ハロウィンイベントとしての『映画 えんとつ町のプペル』と、
ドライブ・イン・シアターの『映画 えんとつ町のプペル』は、
まったく別物なので、お客さんを食い合うようなことはないとは思っています。
が、初年度は「時期を区切る」という整理をさせてください。
2〜3年後には、ハロウィンの時期にドライブ・イン・シアターができていれば最高だと思います。
このように、関わってくださる人や、企業さんを全員勝たせる為に、いろんな交通整理をしながら進めております。
その辺も踏まえてお楽しみください。
はやく、コロナが明けるといいですね。
ドライブ・イン・シアターの装置を持っていって、バーベキュー場で屋外シネマをやりたいです。
現場からは以上で〜す。
 
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