2021年06月05日のエンタメ研究所の過去記事
6月5日(土)※6月7日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
今日は「クリエイターは『共感ベースの数字』に引っ張られちゃダメだよ」というテーマで、このサロンにいるクリエイターさんに注意点を伝えつつ、最後に、めいっぱいエールを贈りたいと思います。
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▼ 物事の見方
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「物事は、虫の目と、鳥の目と、魚の目で見ろ」と、よく言われます。
アレやコレやと判断する時は、その事柄について「主観(接近)」で捉え、「俯瞰(高いところ)」で捉え、「流れ」で捉えようね……という意味です。
「木を見て、森を見ず」みたいに言われたりもします。
チーム単位で動いていると、クリエイターとプロデュサーで、それぞれ「虫の目」と、「鳥の目」「魚の目」を役割分担することができますが、個人だと、それら全てを一人でやらねばなりません。
ちなみにキングコング西野は、「虫の目、鳥の目、魚の目のバランスが抜群だ」と業界人の間では評判です。
たとえば、今年1月末に一世風靡したClubhouse(クラブハウス)なんて分かりやすいです。
物事を「虫の目」で見ている人は「流行っているらしいぞ!次のYouTubeみたいになるかもー!フォロワーを稼げー!」と言って始めました。
一方で、
物事を「鳥の目」や「魚の目」で見ている人は、「全地球人全員が時間貧乏になっている中、こんなに時間を奪ってしまうサービスが成立するわけがない。まぁ、数ヶ月でポシャる」まではお見通しで……そんなことよりも、「『一人あたり2人まで招待できる』というFOMO(取り残される不安を煽って人を集めるモデル)気味のルールが、どこまで機能するのか?」という勉強として触っていました。
サービスとしては失速を前提に触っていた人達からすると、学びの大きなサービスであったことはないし、音声メディアの運営者からすると、絶好の宣伝チャンスであったことは間違いありません。
いずれにせよ「俯瞰で見る」「流れで見る」ということは、やっぱり大事で、今日は、そっち系の話です。
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▼ モノを作っている人が強くなる時代
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ここ最近、感度高めの人達がこぞって「『意見(ニュースの斬り方)』で共感を集めて、マウントを取るやり方は、もうあんまり美味しい匂いがしないよね」という話をしています。
このサロンでもよく言っていますが、僕も同じ考えです。
「時代の変わり目あるある」として、「各業界のトップランナー達が、“示し合わせたわけでもないのに”同時多発的に同じ考えを持つ」があって、まさに今だな、と思っています。
クリエイターさんにとってみれば朗報ですが、時代は徐々に「モノを作っている人」を求めています。
しかし、気をつけなければなりません。
今朝、寝起きでパンパンに腫れ上がった顔面でインスタライブをしていたところ、「名もなきクリエイター00:00(フォーゼロ)スタジオでフォロワーを稼ぐにはどうすれば?」という質問をいただきました。
「00:00スタジオ」というのは、クリエイターが作業中の様子を淡々とライブ配信するサービスのことです。
(※こちら)→https://0000.studio/
もちろん運営サイドはそれを「良し」とはしないでしょうが(=できるだけ援護射撃をしよとするでしょうが)、僕個人的に思う「00:00スタジオ」の魅力は、
「視聴者がゼロ人でも問題ない。なぜなら、仕事(作業)は進むから」
…だと思っています。
ここがYouTubeとは圧倒的に違うところです。
YouTubeの場合は「視聴者」が時間の主導権めいたモノを握っていて、再生回数が少なかったらオワコン扱いされますし、配信者が喋らなければ「喋れよ」となります。
クリエイター本人や、クリエイターをサポートしている人なら、お馴染みの光景だと思いますが、クリエイターには「エンジンがかかるのを待つ時間」という、なんとも言い訳じみたクソ時間が存在して、どうせ今回も締め切りに追われることになるのに、YouTubeで動物の対決動画とかを延々と数時間観ちゃうんです。
でも、いいんです。
動物の対決動画に無駄な時間を費やそうが、圧倒的な作品を生んで、それによってスタッフの雇用も生みされすれば、それが正義なんです。
一方で、どれだけ真面目に働こうが、どれだけお人好しだろうが、人の胸を打つ作品を作れなければボロ雑巾のように扱われるのがクリエイターです。
「YouTubeのコメントを秒速で打ち返すか否か?」はYouTuberの議題であって、クリエイターの議題じゃありません。
「00:00スタジオ」が追求すべきテーマは、「いかに、クリエイターの作業時間を奪わずに、クリエイターの活動の後押しをするか?」という部分で、
視聴者がリターンを求めすぎない空気作りが大事なのだと思います。
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▼ そんな数字を相手にするな
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今朝のインスタライブで、クリエイターの卵さんから質問をいただいた時に、最初に思ったのは「気持ちはメチャクチャわかるけど、クリエイターのキミが追わなきゃいけないのは、そこ(視聴者数)じゃなくて『作品の出来』で、『作品の出来』と『制作過程の視聴者数』は比例関係にないよ」でした。
ところで、ビニール傘の年間の消費量って知ってます?
【8000万本】です。
毎年、8000万本が売れてるんです。
毎年なので、10年で8億本です。
すごい数ですよね。
では、これだけの価値を生んでいる「ビニール傘の考案者(ビニール傘の生産者)」が誰か知ってます?
知らないですよね。
ビニール傘の考案者がYouTubeを開設しても、チャンネル登録者数は1000人いかないと思います。再生回数も回らない。
S N Sで「いいね」も集まらなければ、フォロワー数もそこまで増えない。
そんな数字どうだっていいんです。
だって、年間に8000万本も売れる製品を作ったのだから。
「数字なんてどうだっていい」という話ではありません。
「クリエイターが向き合わなきゃいけない数字は、【共感された数】じゃなくて、【作品の売り上げ】だよ」という話です。
繰り返しますが、人々からの「共感」と「生み出した価値」はイコールではありません。
全てにおいて「≠」ではありませんが、「≠」になることの方が実際は多いです。
どれだけ共感を集めようが、「価値を生まないクリエイター」なんて誰も要らないので、「共感ベースの数字」と「まわりの声」に振り回されないように気をつけてください。
周囲からヤイのヤイの言われた時のクリエイターの返し刀は一つ。
「ごめんごめん。ところで、キミは何を作ったの?」
これが言えたら問題ありません。
応援しています。