西野亮廣のエンタメsalon

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2021年06月18日のエンタメ研究所の過去記事

6月18日(金) ※6月20日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昨日、「お酒を辞める」と宣言したところ、一部のサロンメンバーさんから「本当にお酒を辞めちゃうんですか?」という心配の声をいただきました。
サロンメンバーさんを心配させてしまうことは、僕の本意ではありませんので、お酒の引退宣言を撤回して、今後もお酒を呑み続けていきたいと思います。キングコング西野です。
さて。
今日は『クリエイティブの未来は『二次創作』『制作過程の共有』、以上!!』というお話をしたいと思います。
時代の流れをもろともせずに進んでいける「問答無用で強い人」は、今回の話の対象には含まれません。くれぐれも。
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▼ 「才能」だけでは乗り越えられない壁
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まず初めに共有しておきたいことがあります。
それは、あらゆる挑戦を肯定する西野亮廣は、何でもかんでも「やろう!」という男ではないということです。
お金に困っている友達が「FXで一発逆転を狙う!!」と言っていたら、「やめとけ」と止めます。
「やってみなくちゃ分からない」とは言いません。
0.1%でも可能性があるのであれば、「やってみなくちゃ分からない」と言いますが、100%死ぬことが決定している場面で「やってみなくちゃ分からない!」とは言いません。
それは「挑戦」じゃなくて、「自殺」なので。
んでもって、「成功確度が低い挑戦」と「自殺」を見極めるには「知識」が必要です。
過去のデータだけではなく、「今、何が求められているか?」「今、何が捨てられているか?」を知らねばなりません。
さて。
こんな仕事をしてるもんですから、「私もオリジナル絵本を作ろうと思ってます」という報告を受けることが少なくないのですが、基本的には「個人で楽しむわけじゃなくて、生業にしようと思っているのならば、やめといた方がイイ」と思っています。
アドバイスを求められたら、ほとんどの場合で「やめときな」と言っています。
このサロンでも散々言っていますが、「絵本」は「土地」に近くて、先に売場面積をおさえた者が圧倒的に有利です。
お母さんは自分が子供の頃に読んでもらった本を、自分の子供に買い与えるので、他のメディアのような新陳代謝が起きていないんです。
ここに割って入るのは至難の技で、毎年、新人絵本作家(ときどき大御所タレント)が死屍累々の山を築いています。
「絵が上手い」「物語が面白い」だけでは、乗り越えられない構造上の問題があることを受け止めなきゃいけない。
今日の話は、この「構造上の問題を受け止めようね」が柱になってきます。
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▼ 物語(時間)をまとってないキャラクターは厳しい
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今、ビジネスの世界では、「解決すべき問題が減っているのに(安心・安全が確保された桃源郷に辿り着いたのに)、問題を解決してくれる商品・サービスの開発に会社のリソース(資源)を全部ブチ込んで……売れない」という問題が起きています。
分かりやすく喩えると「皆、美味しいものをたらすく食べてお腹いっぱいなのに、まだ『安い・美味い・量が多い』を高い技術で競っている」みたいな感じです。
そんな中、「いや、むしろ、お腹が減る機会を作った方がよくないっすか?」と提案したのが、「ときめかないモノは捨てましょう!」でおなじみの『こんまりサン』です。
クリエイティブの世界でも同じことが起きていて、技術がコピーしやすくなり、皆の技術が上がり、技術のコモディティー化(数が増えて価値が下がっちゃう化)が起きています。
多くのクリエイターが、この事実を受け入れられずにいますが、現実問題、80点ほどの技術には、もう何の価値もありません。
「美味しいだけの料理」「上手いだけの絵」の価値がグイグイ下がっているのが今です。
5年ほど前に石川涼さんが「今どき、オシャレな服なんて誰でも作れるんだから、これからは、何か紐付けたないと難しいだろね」とお話しされていました。
その直後に「#FR2」を大ヒットさせているので、説得力が半端ねぇです先輩!
「超一流」は除いて、今、「上手い絵」はそこら中に転がってるじゃないですか?
「萌えキャラ」に関しては、もう、AIが描いてくれちゃう始末。
「上手いだけ」の絵を見ても、「上手いねぇ」という感想しか持ちませんし、
「かわいいだけのキャラクター」を見ても、「かやいいねぇ」という感想しか持ちません。
そこから、購入までは手が伸びないんです。
なので、「オリジナルキャラクターを作りましたー!」と言ったところで、「とこかで見たことのあ るような、かわいいキャラクターだねぇ」という感想を持たれて終わりで、そこからビジネスを横展開することはできないんです。
見誤ってはいけないのは、『初音ミク』や『キズナアイ』の価値は「ビジュアル」にあるわけではなくて、「エンタメ史の転換点」という『物語(語りシロ)』にあって、技術的価値ではなくて、意味的価値(アート的価値)だということです。
AIで作られてしまう萌えキャラのビジュアルには、もはや何の価値もなくて、「その萌えキャラが、どんな物語をまとっているか?」というのが重要になってくるわけですね。
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▼ 僕らは初めて経験している
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ポイントは「エンタメの技術がコモディティー化した世界を僕たち人類は初めて経験している」ということです。
10年前とは、明らかに世界の形が変わったのです。
古い感覚(年齢じゃないよ)で生きているエンタメ人(およびエンタメファン)は、二次創作に対して苦い顔をしがちですが、「すでに物語をまとっている作品・キャラクターに、相乗りすることで生きていく」を受け入れないと、結構なクリエイターが食いっぱぐれると思います。
厳しい言い方をすると「二次創作もしない? 制作過程も共有しない? じゃあ、どこで差別化を図るつもりなんだよ? まさか『技術』じゃあるまいな」というところです。
僕はかなり絵が上手いのですが、「西野亮廣が描く絵」や「そこそこの技術で描く『えんとつ町のプペル』」に価値があるわけで、僕の画力自体には、もうほとんど価値はありません。
ところで。
今、けんすうサンが、描いた絵の画像をサクッと販売できる『elu』という変なサービスを作っていて、昨日、触らせてもらったんですけど、これがメチャクチャ良かったです。
「描いた絵を梱包して、配送……」じゃなくて、「描いた絵を販売」なので、描いた絵をスマホで撮って、商品棚に出すだけです。
サクサクしてて(※なんだその感想!)、すごく良かったので、サービスがスタートしたらあらためてご案内させていただきますが……テストで触っている時にふと思ったのは「出品のハードルがこれだけ低いと、田村Pとかでも出品しちゃうかもなぁ」ということでした。
田村Pの画力は地獄の沙汰なのですが(※その画力で西野のマネージャーを名乗るな!)、ですが、きっと僕は、上手いだけの絵よりも、田村Pの絵を買うと思います。
僕に息子がいて、息子がeluに出品していたら、息子の絵を買います。
「上手いだけのプロ」からすると忸怩たる思いでしょう。
自分よりも下手な絵が売れるんですもの。
「これまで自分が追及してきたものは何だったんだ?」と思う人もいるかもしれません。
ただ、時代は「待ったなし」です。
ここを受け入れられるかどうか?が、大きく明暗を分けそうです。
現場からは以上でーす。
 
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