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西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年07月02日のエンタメ研究所の過去記事

7月2日(金) ※7月4日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
毎週キングコングで「『背筋がピーンと伸びている熊』の画像を見つけて笑っちゃった」という話をした直後から、
「西野さん!この熊も背筋がピーンと伸びてます!」
「西野さーん!この熊なんて、親子で背筋がピーンと伸びています!」
といった調子で『背筋がピーンと伸びている熊』の画像が次から次へと送られてくるけど、べつに『背筋がピーンと伸びている熊』が好きで好きでたまらないヤツじゃないんだけど……でお馴染みのキングコング西野です。
さて。
今日は『数字を支配し、物語を味方につけ、表現に狂え』というテーマでお話ししたいと思います。
「表現」というのは僕らのチームの場合だと「エンターテイメント」になりますが、ここは、ご自身のサービスに当てはめて(置き換えて)もらえると助かります。
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▼ 正解を追うと、あるタイミングで不正解になるよね
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「何百個売れた」「何百人動員した」といった調子で、僕らのアプローチには、必ず数字がついてまわります。
そして、数字が出た後に僕らがやるのは「さらに50個売るためにはどうすれば?」「さらに50人動員する為にはどうすれば?」という足し算です。
そこから、“より効率的な足し算”を探し始めます。
分かりやすくYouTubeで例えるなら、「サムネイルを◯◯にした方がいい」や「動画の時間は◯◯にした方がいい」といった、あの感じ。
“その時の正解”を追いかける競争です。
そして、その創意工夫がその刹那、一定の成果を出してくれるもんだから、僕らは目の前の数字を神様のように崇めてしまいます。
しかし、
結果的にYouTubeで勝ち残ったのは「サムネイル」も「動画の時間」もガン無視で、「切り抜きされた方がよくないっすか?」の、ひろゆきサンでした。
正解を追い求める競争の先に待っているのは「同質化(みんな同じ形になる)」で、どこかのタイミングで、まったく違う文脈でフラフラと乗り込んできた変な形の黒船に全てひっくり返されます。
これはインターネット元年から続く伝統芸で、僕らは(いいかげん!)歴史から学ばねばなりません。
さて。
キングコング西野こと「五月山の天狗」の口癖といえば、「あれぐらい小指でできるよ」です。
実に腹立たしいとは思いませんか?
五月山=兵庫県川西市にある小さな山
五月山の天狗は「数字を稼ぐことぐらいワケないよ。でも、それに何の意味があるんだ?」と鼻クソをほじって、田村Pに「キモっ!」と言われています。
一応、僕にも後輩がいるので、後輩には数字の重要性について結構丁寧に伝えています。
その時、彼らに言っているのは(いろんな言い方をしていますが)「数字の奴隷になるな。数字を支配しろ」です。
言葉を分解すると……
①数字を取りに行ける能力を手に入れろ
②その上で、取りに行く数字を取捨選択しろ
といったところです。
「取りにいけるから」といって、取りにいった先に「同質化」が待っているのであれば、その数字は取るべきではありません。
「活動を続けていく為に必要な数字」を割り出して、そこを押さえたら、あとは表現に狂う。
これが僕らのチームの基本です。
ところが。
「活動を続けていく為に必要な数字」を取るのも、最近じゃ難しくなってきていて(※べつに難しくないけど by天狗)、「品質以外のバリューを提供しなきゃいけないよね」ということで、昨日の記事では「CHIMNEY TOWNは目先の売り上げよりも『物語』を取りに行きます」という話をさせていただきました。
今日は、それに関する続報です。
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▼ Chimney Town USA Inc.
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現在、11月の“日本公演”に向けてミュージカル『えんとつ町のプペル』をせっせと作っています。
「日本公演」と表現したのは理由があって、もともとはニューヨークのオフオフブロードウェイで産声を上げる予定の舞台だったんです。
ところが、そのタイミングでコロナがやってきて、ブロードウェイが街ごと閉じてしまい、ブロードウェイ公演は泣く泣く延期。
「劇場の再開がいつになるのか分からない」という状況の中、誰かが言い出した「先に日本公演をやっちゃいません?」という提案に全員が乗っかり、スッタモンダがありまして、今年の11月に日本公演です。
そうこうしている間に、(ニューヨークの)コロナの状況も落ち着いてきて、ブロードウェイが再開されることが発表されました。
当然、僕らもブロードウェイ公演を再び目指すことになるわけで、それに合わせて、ニューヨークで『Chimney Town USA Inc.』という会社を作っていました。
ブロードウェイを中心に、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を運営する会社です。
そんな中、ミュージカル『えんとつ町のプペル』のプロデューサーを務める新入社員のセトちゃん(「瀬戸口」という名字らしい)から、先日、「独立して、『Chimney Town USA Inc.』の社長になりたいです」と言われたので、1秒でOKしました。
というわけで、CHIMNEY TOWNの新入社員の瀬戸口が2021年7月1日(昨日)付けで『Chimney Town USA Inc.』の代表取締役社長に就任したことを皆様に御報告いたします。
きっと、最初は全然上手くいかないと思います。
CHIMNEY TOWNとしても、足場を固めなきゃいけない時期に、生え抜きの社員を送り出すことには、それなりのリスクがあります。
ただ、そこで降りかかってくる苦労なんて、若手にチャンスを与えられることを考えると安いもんで、しかも、苦労すればするほど物語が生まれるわけですから、お釣りが出ます。
ホント言うと、ミュージカルは“僕が”ずっとやりたかったんです(笑)
昔から舞台が好きで好きでたまらなくて、「映画をヒットさせたら、ミュージカルができるチャンスが巡ってくる」と信じて、ずっと走ってきました。
だけど、50年スパン、100年スパンで見た時に「西野が全ての実権を握っている」というのは絶対にマイナスで、CHIMNEY TOWNとしては次代の才能ホイホイになっておいた方がいい。
なので、お任せすることにしました😁
というわけで、『Chimney Town USA Inc.』代表の瀬戸口を宜しくお願いします。
8月に少しの間だけニューヨークに行くらしいので、もしこの中にニューヨークにお住まいのメンバーさんがいらっしゃったら、気軽に声をかけてやってください。
後輩にいろんな仕事をあげて暇になっちゃったので、僕はまた変なことをします。
誰もやったことのない変な挑戦です。
近々、御報告させていただきます。
現場からは以上でーす。
 
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