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2021年07月11日のエンタメ研究所の過去記事

7月11日(日) ※7月13日以降は『いいね』を押さないでください。
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今日は日曜日なので、今、僕がボンヤリと考えていることを、着地ポイントを設けずに、思いつくまま一筆書きでツラツラと書いてみようと思います。
もしも変なところに着地した時は、本人は気づいておりますので、そっとしておいてください。
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▼ 「共感」に潰される日本と、泣きそうになるエンターテイメント
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しばらくロサンゼルス(サンタモニカ)に滞在していたのですが、一昨日、ラスベガスに来ました。
コロナでお休みしていたシルク・ド・ソレイユの『O(オー)』が再開したというので、どうしても今(コロナ終息のタイミングで)観ておきたくて。
ついでに他のショーも観て帰ろうと思います。
ロサンゼルスもそうでしたが、ラスベガスも凄い人で(ホテルの人に聞くと、年末年始と同じぐらいの人出らしい!)、どこも満員御礼です。
「コロナの反動」というよりも、どちらかというと、「すっかり当たり前になっていた『オフラインの魅力』をコロナが改めて教えてくれた」という側面が強いように思います。
街の人達は皆、マスクを外して、オフラインに酔いしれています。
僕らの国に、この景色が戻るのは、もう少し先になるのでしょうか?
日本の政治家さんには頑張っていただきたいなぁと思います。
くれぐれもご自身の健康を優先で。
街に出てみると、日本の飲食店の名前をチラホラと見かけます。
牛角』はサンタモニカにもありました。
今回の旅で見かけた日本は、『N A R U T O』と『鬼滅の刃』、そして、大坂なおみサンと、スティーブ・アオキさんの看板広告。
それぐらいでしょうか。
ジャンルは様々ですが、一つ確かなことは、「『コンテンツ』しか海外に進出していない」ということです。
何をもって「コンテンツ」と呼ぶのかは難しいところではありますが、少なくとも、「日本のインフルエンサー」は一度も見かけないし、「日本のS N Sで『いいね』をたくさん集めた人」もコチラでは見かけません。
コンテンツホルダーインフルエンサーは辿り着く場所が違う」ということを僕らは強く意識しておく必要があるのかもしれません。
当然、「日本国内で生きる幸せ」も認められるわけで、インフルエンサーだからといって否定される筋合いは無いのですが、しかしながら、今よりももう少しだけ、コンテンツホルダーが応援される国になるといいなぁと思います。
コンテンツホルダー」は、人から羨まれる立場にあり、人から妬まれる立場にあり、それでいて「圧倒的に少数派」です。
となると、少数派のコンテンツホルダーを叩いた方が「共感」を得やすいのは当然の話です。
『いいね』もたくさん貰えて、小遣い稼ぎになるでしょう。
賛同者も増えて、優越感に浸れるかもしれませんし、劣等感を拭えるかもしれません。
ただ、
嫉妬に狂い、近場のコンテンツホルダーを潰したところで、問題は何も解決しません。
日本にとって一番恐ろしい未来は、「日本人が嫉妬の対象にすらしていないプレイヤー(コンテンツ)に、イスを取られてしまうこと」です。
日本人を潰して、外国人に「おもてなし」で席を譲っているのが今の日本人です。
当たり前ですが、生存確率は下がります。
日本版のシルク・ド・ソレイユを作ったら、日本の体操選手のセカンドキャリアや、日本のパフォーマーの雇用を創出できるかもしれません。
日本人は、自国のプレイヤーを応援した方がイイに決まってんじゃん。まったく、もう。
先日、実に頭の悪いニュースを見ました。
映画『100日間生きたワニ』の荒らし行為についてのニュースです。
作品には全ての批評を受ける責任がありますが、
公開前に(見てもいないのに)低評価のレビューを書き込んだり、
映画館の座席を悪戯で予約……となってくると話は別です。
『100日間生きたワニ』に命をかけたクリエイターの時間や願いを踏み躙るような行為は決して許されることではありませんが、その話は今度にしましょう。
ここではもっと合理的な話をします。
日本人が日本人のコンテンツを潰して、誰が得をするというのでしょうか?
あるいは、誰が損をするのでしょうか?
お金を稼いだ人間はそのまま消費者になるわけですから、“日本にお金を落としてくれる可能性が高い日本人”に成功してもらった方が、日本人は得です。
「共感」は、こんな簡単な判断も麻痺させてしまうほどの力を持っています。
正論合戦や、共感集めに終始し、輸出可能なコンテンツの創造(後押し)を後回しにする日本に、そこそこ危機感を抱いています。
なんだか、暗くなってきちゃったので、前向きな話をします。
冒頭で申し上げましたが、昨夜、シルク・ド・ソレイユの『O(オー)』を観ました。
劇場の前は長蛇の列で、開演前から凄い熱気です。
シルク・ド・ソレイユのラスベガスの定期公演の再開は実に1年3ヶ月ぶり。
パフォーマーも、スタッフも、ファンも、皆、この日を待っていました。
隣に田村Pがいたから、必死で隠したのですが、実は開演前からヤバくて(込み上げてくるものがあって)、公演が始まると、本当に何でもないシーンで、ただただ楽しいだけのシーンで、泣けてきちゃいました。
年末の『天才万博』でも、この感じをよく味わうのですが、そこにいる全員(お客さんを含む)が「この時間を最高の時間にするぞ」で走っているエンターテイメントに立ち会うと、僕はいつも泣きそうになります。
徹底的に準備をして、丁寧に作り込めば、罵り合ったり、マウントを取り合ったりする世界から外に出ることができて、こうして皆と一緒に同じ報告を向ける…という希望を、そこに見ています。
知ってました?
シルク・ド・ソレイユって、チョイチョイ、技を失敗するんです。
その都度、観客は、目の前のパフォーマー達がギリギリの挑戦をしていること知り、「次は頑張れ〜!」と応援し、失敗したパフォーマーにも惜しみない拍手を送ります。
笑う人など一人もいません。
帰り道、田村Pが「いやぁ、なんでもないとこで泣きそうになったわ」とブツブツ言ってて、「ああ、僕は、こんな世界を作りたいなぁ」と思いました。
部屋に戻って、すぐにパソコンを開きました。
観劇後の興奮が消えないうちに、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の台本を手直ししたかったのです。
今はただ、1日も早く、この作品を皆様にお届けしたいです。
イジワルな人など一人もいない。
戦争から一番遠い場所に皆様をお招きして、
「ああ、こういう時間(空間)っていいな」
「僕も作ってみたいな」と思ってもらえたら最高です。
明日の投稿では、また西野先生の鬼モード(ミュージカル編)をお届けしますが、その前に、僕がこんな気持ちでミュージカルを作っていることを知っておいて欲しくて、今日は、こんな投稿をしてみました。
はやく11月になるといいな。
映画同様、子供から爺ちゃん婆ちゃんまで圧倒してみせますので、期待して待っていてください。
それでは素敵な日曜日を。
西野亮廣キングコング)  ラスベガスより。
 
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