西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年08月09日のエンタメ研究所の過去記事

8月9日(月) ※8月11日以降は『いいね』を押さないでください。
━━━━━━━━━━━━━━
おはようございます。
ZOOM呑み会にハマっている最後の日本人ことキングコング西野です。
さて。
今日は『格差と人口から考えるサービス』というテーマで、これからサービスを提供する人が絶対に無視できないザックリとした時代の方向性と、僕が日本に抱いている僅かな希望についてお話ししたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ ラグジュアリーマーケティング
━━━━━━━━━━━━━━━━━
このサロンでも再三(しつこいぐらい!)お伝えしているのが、サービスにおける「VIP席」の設計です。
僕は時々、サロンメンバーさんのコンサルをさせていただくことがあって、そこでも「VIPを取り込まなきゃダメだよ」という話をさせていただくのですが、「う~ん…」となっちゃう人が少なくありません。
理由は……
① 高い商品を出すと、まわりに叩かれる。
② どこから手をつけたらいいか分からない。
の二つです。
幸福度は相対的なものですから、「お金を払える人がイイ思いをしているのを、(お金を払えない自分は)許せない」というスイッチが入っちゃって、それが攻撃に繋がる人が少なからず、いるんですね。
(少し乱暴ですが)税金におきかえて考えると、いかにヘンテコリンな攻撃をしているかが分かると思うのですが……僕らの税金が「累進課税(お金持ちがたくさん払う)」じゃなくて、「定額税(お金持ちも、そうじゃない人も、全員一律料金)」だったら、国民のほとんどが公共サービスを利用できません。
「お金持ちからたくさんお金をいただいて、お金持ちじゃない人の負担を減らしてあげる」というのが累進課税で、これは、サービス(ビジネス)の世界でも同じです。
ちなみに、ちょっと変則的ですが、絵本『えんとつ町のプペル』が全ページ無料で公開できているのは、「絵本を買ってくださるお客さん」や、「西野が仕掛けている他のサービスを買ってくださっているお客さん」のおかげです。
現在、「2000円or無料」で提供させてもらっている絵本『えんとつ町のプペル』を一律料金にしてしまうと、絵本『えんとつ町のプペル』を読めない人達が増えちゃうんです。
なので、「高額商品(VIP席)を作るなんて、銭ゲバだ!」という批判は、(何度もお伝えしていますが)まるで合理的じゃありません。
「高額商品を出さない」という戦い方ができるのは、「客数」を大幅に確保できている超強者だけで、当たり前ですが、少ないお客さんに、全員一律の低価格で商品を提供してしまうと、サービスは立ち行かなくなります。
僕が「稼ぐことを目的にするのであれば、オンラインサロン運営だけはやめておけ」と一般の方に言う理由がそれです。
こんな話や、あとは『格差が広がっている』という話は、ここ数日、集中して話していますが…これは、“僕が今、モロに痛感していること”でもあります。
サロンなので包み隠さずお話ししますが、僕は普段、『数百円の商品』から『数百万円の商品』まで取り扱っているのですが、ここ1~2年、本当に(本当に!)強く感じるのは、「安い商品が売れにくくなってきていて、高い商品が売れやすくなっている」ということです。
このポイントを押さえておかないと、かなりのサービス提供者さんがツライ思いをすると思うので、もう少しだけ深掘りすると(何度も何度もごめんね!)…
「3000円の商品を買うお客さんは3000円が払えなくなってきていて、1万円の商品を買うお客さんは1万円を払いやすくなっている」
です。
説明するまでもありませんが、『格差の拡大』に由来しているのでしょう。
最近、少し面白い実験をしてみました。
elu(デジタルデータをサクッと販売できるサービス)で、『5万円の作品』と『500円の作品』を、それぞれ100個ずつ販売してみたんです。
すると、早く完売したのが『5万円の作品』で、完売したものの時間がかかったのが『500円の作品』でした。
当然、作品の内容が違うので、“値段だけで比べる”のはあまりにも乱暴ですが、やってみて思ったのが、
「『5万円の商品』は5万円を払うお客さん(5万円の商品を買うかどうか迷うお客さん)に対して価値を提示しやすくて、『500円の商品』は500円を払うお客さん(500円の商品を買うかどうか迷うお客さん)に対して価値を提示しにくい」
ということでした。
理由を考えてみたのですが、おそらく「5万円の作品を買う人」は、その値段の中に『応援(支援)』が混じっていて、「500円の作品を買う人」は、「500円でモトが取れるか否か?」を考えている。
あくまで僕の仮説の域を超えていませんし、「作品を購入してくださったお客様を、このように憶測で分類するのは道徳的にどうなんだ?」という部分がありますが(ごめんなさい!)、結構な確率で的を射ている気がしています。
『応援代』が最も利益率が高くて(原価がかかっていない)、「『応援代』が含まれていない商品だけで店を回すのは結構厳しいよね」という結論です。
「VIPを掴まえる」というと途端に見えにくくなりますが、「『応援するよ』というお客さんを掴まえる」に翻訳すると、少し打ち手が見えてくるかもしれません。
━━━━━━━━━━
▼ これからの日本
━━━━━━━━━━
今日お話ししているのは、まるで具体的な話ではなくて、「日本は今、こうなってきているから、サービスもこういう風に捉えておかないと立ち行かなくなるよね」という話です。
ちなみに昨日、『ラグジュアリー戦略』という5000円ぐらいの本を買ったので(面白いかどうか知らねーけど)、そこで学んだことがあらば、またコチラで共有させていただきます。
最後に。
僕が今、注目している「これからの日本のザックリとした動き」について、ちょっとだけお話ししておきます。
(※具体的な打ち手はまだ何も考えていません)
少子高齢化が進み、なかなか明るいニュースが少ない我が国ニッポン。
政治家はものの見事にお爺ちゃん&お婆ちゃんで、総理大臣も、メダルかじり虫も、72歳です。
当然ですが、リーダーの知識や反射神経が衰えると、チームは沈みます。
かといって、政治家の若返りには、なかなか期待できません。
日本の人口ピラミッドボリュームゾーンは、それこそ「72歳前後」と、あとは「50歳前後」です。
「若者が投票に行ったところで、数の論理で反映されないから、選挙に行っても意味がない」というのが若者の言い分です。
そんな中、「面白いなぁ」と思って、僕がヤンワリと見ているのが日本の『世代別の投票率』です。
(地域にもよりますが)60代と70代の投票率って、メチャクチャ高いんです。
メダルかじり虫世代は人口が多いだけじゃなくて、メチャクチャ積極的に選挙に参加するんです。
なので、日本は現状、「今の70代の為の国」になっています。
ところが面白いのが、時代関係なく、「80代」になると投票率がガクンと下がるんです。
理由はシンプルで、「足が悪くなるから、投票所に行けない」です。
つまり、あと数年で、日本のボリュームゾーンが選挙シーンからゴッソリといなくなる。
「若者の票が反映されやすくなる」とも言えるでしょう。
このことがこの国や、この国のサービスにどう影響するのかはまだ分かりませんが、ここには目をつけておいた方がいいと思います。
あと、7~8年もすれば、今の50代前後(キムタク世代・定年を控えている世代)の為の国になる可能性も高そうです。
彼らが何を求めるかを先回りしておくのも良いかもしれません。
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
 
』を付けてTwitter(本アカ)で呟いていただけると、西野がネコのようになついて、フォローさせていただく場合がありますので、感想よろ!
https://sacus.thebase.in/items/49636795
 
 
▼オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』入会はこちら ↓↓↓