西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年08月13日のエンタメ研究所の過去記事

8月13日(金) ※8月15日以降は『いいね』を押さないでください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
おはようございます。
昨夜、東野幸治さんにタコ殴りにされる公開処刑イベントがあったのですが、タコ殴りにされている西野を笑っていたのは、会場にいたお客さんよりも誰よりも、田村Pであったことは生涯忘れないキングコング西野です。
さて。
今日は『希少価値から考えるビジネス』という、たぶん結構大事な話をしたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ グラビアアイドルのセカンドキャリア問題
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
SHOWROOM前田さんと呑んでいると、「自分が【窮地に追いやられているAさん】だったら、どう立ち回るか?」という思考実験が酒の肴になることが少なくありません。
Aさんに憑依して、まわりを見渡した時に、たさかに八方塞がりなのですが、それでも、その状況下で打開策を捻り出す。
そして、ときどきAさん本人に提案する。
端から見ればボランティア精神溢れる二人なのですが、たぶん「自分の為」にやっていて、クロスワードパズルや知恵の輪のように頭の体操になるし、なにより、そこでの打開策が自分の活動に転用できる可能性もある。
なので、仕事の相談を受けて、(まわりが思っている以上に)相談に本腰を入れるのは好きだったりします。
『イイお題』であれば、お金を払いたいぐらい。
今朝、僕の中で少し盛り上がったのが『グラビアアイドルのセカンドキャリア問題』です。
もちろん僕にはグラビアアイドルをやっていた過去などないので、僕の人生には直接関係のない問題なのかもしれませんが、先に挙げた理由から、「う~ん、どうしよう…」と本気で悩む西野氏。
(本人目線に立ってみた時に)受け入れたくない問題として、『若さ』が価値の一つになっているお仕事でもあるので、「年齢を重ねる度に、価値が目減りしていく」という問題がある。
そして、もう1つ。
自分を応援してくれているファンの中には、自分の存在を「性の対象」としている人が含まれていることには気がついているのだけれど、そこには蓋をして、30代になれば『30代の美しさを』、40代になれば『40代の美しさを』という感じで、まるで「性の対象」としての需要がゼロだったかのように、『美しさを100%』で自己プロデュースをしてしまう……という(自尊心が引き起こす)問題。
…どうやら厄介です。
「年齢を重ねる度にグラビアアイドルとしての価値が目減りしていく」とは言うものの、ある日、突然、ガチャン!と価値が『ゼロ』になるわけではありません。
オフ会などをすると、コアファンは集まってくれます。
そして、自分がファンから支持されている理由から「性の対象」ということをスッポリ落として(蓋をして)、「私は最初から『美』で勝負していましたよ」というパフォーマンスに切り替えてしまうと、自分の中で、自分の今の活動に正統性が生まれてしまう。
いずれにしても、「ズルズル続けちゃう」という構造になっていました。
まだ味がするもんだから、ついつい“しがんでしまって”ズルズルと続けた結果、「気がついたら自分を支えてくれていたファンがいなくなってた」に陥り、そこからセカンドキャリアをスタートさせるにも、後押しとなるものがない。
プロスペクト理論(心理の意思決定モデルを表した理論)』では、「借金を重ねている人ほど博打に積極的になる」ということが説明されていて、人は、追い込まれれば追い込まれるほど、『一か八か』に走ります。
『一か八か』というのは「十中八九ハズレ」なので、「”追い込まれてからのセカンドキャリア形成”は、ほぼ失敗する」と見ていいと思います。
大切なのは、『余裕があるうちに、ファーストキャリアを終わらせる』で、僕がグラビアアイドルの西野アキ子なら、まだ「性の対象」として見られているうちに引退します。
※実際にテレビの需要がベラボーにある時にテレビ業界から軸足を抜くことを決めた西野です。
ただ、これ、ほとんどの人ができないと思います。
いつかはグラビアアイドルとしての寿命を迎えるとはいえ、やっぱり、まだまだ稼げちゃうので。
後ろ髪を引かれて、すぐには辞められない。
あるいは、事務所が辞めさせない。
ただ、もし、「稼ぎ」が(辞める)ブレーキを踏ませているのであれば、「グラビアアイドルとしての生涯年収」を計算し、天秤にかけた方がいいと思うんです。
このあたりから、今日の本題です。
たとえば、『写真集の売上』一つとっても、「価値が目減りしていく中、ズルズル写真集を出し続ける」というAパターンと、
「『あと、100点(100パターン)しかグラビア写真を発表しません』と宣言をして、グラビア写真を(たとえばelu等で20枚限定)で販売する」というBパターン。
後者は「世の中に20枚しかない写真」なので、1枚1万円でも売れると思うのですが、それが100セットなので、売り上げは2000万円です。
もちろん例外もあるとは思いますが、セカンドキャリアがチラつき始めたグラビアアイドルさんの写真集で2000万円の売り上げを出すのは、なかなか難しそうです。
要するにこれは、「希少価値が低いものをたくさん売る」と「希少価値が高いものを少なく売る」の戦いなのですが、この状況下の売り上げに関していうと、後者に軍配が上がりそう。
水を売りたいのならば、水が不足している地域で売った方がいいことは誰でも分かっていて、「サービス」と「稀少価値」というのは切っても切れない関係にあることは皆さん分かっているハズなのに、あらゆるサービス業で、「稀少価値の創造」を後回しにしているシーンが結構あるなぁと思っています。
『まわりの皆が売っているもの』を売っていて、「こっちの方が価値があるじゃん!」というモノを売っていない。
漁師さんや港町の人達がバンバン捨てちゃっている「魚の部位」とかを見て、「いやいや、それ、お金出して食べたいんですけどっ!」と思ったことありませんか?
それっす。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ 稀少価値で考えろ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
僕らのチームは「作品を生んで販売すること」で生計を立てているのですが、皆様の元に届いている作品は、最終選考に残った「Aパターン」「Bパターン」の中から勝ち抜いたものです。
Aパターンが採用されれば、Bパターンは日の目を浴びることはありません。
Aパターンは場合によっちゃ、何万部も刷られ、何万回も再生されますが、
Bパターンは関係者数人の手元にあるだけ。
「世に出た作品」と「世に出なかった作品」、どっちの方が【稀少価値】があると思いますか?
当然、後者です。
先日、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のMV(※オリラジ藤森君が歌うスコープのテーマ)の「Aパターン」と「Bパターン」が届いて、「どっちを採用しましょう?」とプロデューサーから言われたので……
「採用するのはAパターンのMVで、こちらはYouTubeで無料で公開して、たくさんの人に観てもらって……不採用のBパターンは【限定100個】で販売しましょう。“不採用のBパターンの売上”でMVの制作費は必ず回収できます」
…と、返しておきました。
採用となったAパターンのMVの再生回数が回れば回るほど、不採用となったBパターンのMVの価値は上がります。
「品質」と「価値」は比例関係にはなくて、今回と場合だと、「質が低い方が価値が高くなっている」というケースで、「ならば、質が低い方でマネタイズした方がいいよね」という判断です。
プロセスエコノミーのド真ん中ストレートみたいな打ち手ですが、きっと、皆さんの職場でも「取りこぼし」があると思うので、一度、手持ちのカードを【稀少価値ベース】で考えてみてください。
「なんで、これを売ってなかったの?」が出てくるかもしれません(笑)
ちなみに、eluに出品した「BパターンのMV」は、便宜上(説明を分かりやすくする為に)「質が低い」という表現を使わせていただきましたが、「AとBと比べたら、Aの方が良かった」というだけの話で、編集スタッフさんの仕事も、オリラジ藤森君の仕事も(マジで!)最高です。
MVの公開は来月とかだと思いますが、不採用となったBパターンのMVは100個限定で販売。
購入されたお友達を探して、コッソリと見せてもらってください。
今日は『稀少価値から考えるビジネス』について、お話しさせていただきました。
現場からは以上でーす!
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
 
』を付けてTwitter(本アカ)で呟いていただけると、西野がネコのようになついて、フォローさせていただく場合がありますので、感想よろ!
https://elu.jp/item/4nJqreTbnZfWti85jylY
 
 
▼オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』入会はこちら ↓↓↓