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2021年08月19日のエンタメ研究所の過去記事

8月19日(木) ※8月21日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
「過去の行い」が掘り起こされて叩かれる時代になりましたが、「過去の行いがいつまでも許されない世界線で、芸人の師匠方はどうやって生きていくんだろう? そこそこ逮捕歴がある人ばっかりだけども。。」と思っているキングコング西野です。
さて。
今日は、今朝の僕がガツン!ときて、背筋が伸びまくった内容を咀嚼し、僕なりに言葉を足して皆様に共有したいと思います。
20年代(クリエイティブエコノミー時代)の会社の在り方』というテーマです。
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▼ 『給料』の価値が低くなっている
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僕は時々、(おだてられて)人前でチョーシに乗って「経営」の話をすることがありますが、CHIMNEYTOWNの経営に関しては、社長のヤン君(柳澤君)に丸投げで、基本的には、アトリエに籠って新作をせっせと作る毎日です。
パスを受けとって、シュートを決めるのが僕の仕事です。
仕事内容はいたってシンプルで『傑作を生むこと』
それでも『集客』と『予算作り』は比較的得意な方なので、講演会などでは、そんなテーマを求められます。
これは、『会社経営』というジャンルではありませんね。
そんな中、今日は(専門分野ではありませんが)『会社経営(チームビルディング)』の話です。
『これまで(10年代)の会社』と、『これから(20年代)の会社』がおかれている状況は、具体的にどんな違いがあるのでしょうか?
一つ大きな違いとして、「社員が“個人で”予算を作れるようになった」があると思います。
「ダイレクト課金」ができるようになったのは今から10年前ですが、しかし当時はまだ、「クラウドファンディングに挑戦する」はビッグイベントで、社員さんがサクッと手を伸ばせる領域ではありませんでした。
しかし、今はどうでしょう?
誰でも動画を発信できるようになり、そこでは「投げ銭」も飛んできます。
昨日の記事でお気づきの方も多いかとは思いますが、『elu』は「ものすごいカジュアルなクラファン」となっています。
今、ニューヨーク(ラスベガス?)に行っているCHIMNEYTOWNの社員が先日、「アメリカ滞在中の御飯代にまわします」と言って、eluでウンコみたいな写真を販売し、サクッと御飯代を作っていました。
CHIMNEYTOWNのインターン生も気が向いた時に「知見を共有するZOOM飲み会の参加権をBASEかeluで出そう」と言って、サクッとお金を作っています。
彼らは、それらのお金を個人的(浪費)に回すこともあれば(全然オッケー!)、「せっかくだし、今、ハマってる仕事の予算にまわそうっと!」と判断することもあります。
『CHIMNEYTOWN USA』代表の瀬戸口(セトちゃん)は、CHIMNEYTOWNの新入社員の頃からオンラインサロンをやっていて、そのサロンの売り上げを自分が手掛けているプロジェクトの予算にまわしていました。
彼らは、かつて存在した「会社から(ストレスの対価として)貰った給料を、ストレスの発散(浪費)に回す」という生き方(働き方)をしておらず、
「会社から給料も貰うし、気が向いたら個人でもお金を作るし、それを浪費に回したり、会社のプロジェクトに回したり……まぁ、そこはその時の気分で!」といった感じ。
会社員が個人でお金を作れる(クリエイターエコノミー)時代になると、『個人でお金を作りやすい状態』を作った方が、打ち手としてはどう考えたって正しくて、
「それならば、自分のプロジョクトを当てて、実績(認知や人気)を獲得した方がいいじゃん」
と考える社員が出てくるのは当然です。
「(会社員の)自分が手掛けているプロジェクトをどれだけヒットさせようが、収入源が【給料】しかなかった時代」と明らかに違う世界が始まっています。
もはや、個々人がニンジンを栽培できる時代に、【給料】というニンジンだけでは走れません。
はたして、この時代の会社はどうあるべきなのか?
何が正解なのか?
僕もまだ探り探りではありますが、今朝、現代の会社の在り方のヒントとなるような「気づき」がありました。
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▼ 「置き換え可能」のリスク
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社長のヤン君がサロンメンバーさん向けに個人的に(無料で)やっているFacebookグループの記事がベラボーに面白いです。
今朝(昨夜?)投稿かれた記事の中で、『企業の形』について言及していたので、ちょこっと抜粋します。
『……大企業という仕組みが構造的に不幸を生みやすいのも同じで。誰が入社しても、誰が退社しても、だいたい変わらず回り続ける。それは資本主義としては正しく、成果を求めるという目的どおりの、組織としての機能性の極致なのですが、それによってそれを構成するみんながハッピーになるかというとそうとも限らない』
ここに至るまでの流れは、ヤン君のFacebookグループでチェックしていただくとして……要するに、これって「企業のジレンマ」の話でして…
基本、企業(チーム)は、「人」に依存せず、「最悪、その人が抜けても回るように」設計しなくてはいけません。
「社員の田中さんが辞めちゃったから、もう、この会社は売り上げを作れない」というのは勿論ダメなんですね。
なので、「人」が抜けても回るように仕組み化していくのですが、それが過ぎてしまうと、「このチームにいるのは、私じゃなくてもいいじゃん」になってしまう。
これまで謳われ続けてきた『強いチーム作り』は、その一方で、「大切な社員を『置き換え可能化』している」とも言えます。
ヤン君は文中で「自分がいなくなっても世界が変わらず回っているところを見せつけられてしまうと、シンプルに寂しくなる」と綴っていて、その昔、梶原君が全ての仕事を投げ捨てて失踪してしまった日のことを思い出しました。
仕事が全部無くなり、梶原君は音信不通。
戻ってくる保証などなく、つい最近までビックリするぐらい売れっ子だった僕は無職になり、そのまま1ヶ月が過ぎました。
その時、マネージャーと「でも、だからと言って、ここで僕がピンで活動を再開して、それがヘタに上手くいってしまうと、梶原が『俺は要らないんだな』となってしまうので、1年でも、2年でも待ちましょう」と決めました。
チームというのは本当に複雑で、人が突然抜けても回るようにしておかなくちゃいけないけれど、「お前がいなきゃ世界は回らないんだよ」と言ってくれるチームに戻りたくなります。
人に依存しすぎてもダメだし、
人が抜けても回る仕組みに寄せすぎてもダメ。
特に今の時代は、社員さんが個人でもお金を作れるようになり、時に、そこで作ったお金を「なんか面白そうだし」で会社のプロジェクトに投資する時代です。
「お前の替わりはいくらでもいる」という会社には、個人でお金を作れる能力がある社員は集まって来ないだろうなぁと思います。
ここは、20年代に入って、明らかにゲームチェンジした部分なので、チームビルディングの際に気をつけてみてください。
現場からは以上でーす。
 
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