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2021年08月20日のエンタメ研究所の過去記事

8月20日(金) ※8月22日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
ここ最近、『蒸し鶏のネギ生姜ソースがけ』が、西野亮廣史上不動の一位である『お蕎麦』を脅かしているキングコング西野亮廣です。
さて。
ここ最近、仕事ゴリゴリ系の話が続いちゃったので、今日は趣向を変えて『キンコン西野の苛立ちを言語してみた』というテーマでお話ししたいと思います。
いきなり話が脱線しちゃうのですが、ここ最近の世間の皆様の「お怒り」に関して(※謝罪をした有名人に対して怒り続ける人達を見て)、「【許し方】が分からなくなってるケース」がチョコチョコあるなぁと思っています。
自分の「怒り」を収める方法の一つに、「怒っている理由を丁寧に分解してみる」があると思っていて、もつれた糸をほどいていくと、「あれ? 僕は、たった、こんなことで怒ってるの?」となることが少なくありません。
なので、今日は「西野がどうして怒っているのか?」を丁寧に解剖していきたいと思います。
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▼ 怒る西野先生
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冒頭から「西野が怒っている理由」とか言っていますが、「え? そもそも、今、何かに怒ってるの?」と思われている方がほとんどでしょう。
すみません、そちらの説明を先にするべきでした。
「今」というか、ここのところずっと怒っていて…皆さんも被弾していると思うのですが(ごめんやで!)、西野が怒っているのは、例の「そんなことよりも【クオリティー】だ!」です。
『売り方(届け方)』に走るクリエイター、サービス提供者さんの首根っこを掴んで、「そんなことよりも、まずは、自分の作品(商品)のクオリティーを上げることが先だろっ!」と西野は、よく怒っています。
まぁ、たしかに西野の言い分は間違っていなくて、僕がいるクリエイティブの世界だと、クオリティーの低い作品(表現者)はゴミのように扱われます。
SNSのフォロワーがいようが、クラウドファンディングが得意だろうが、M―1グランプリの決勝に残れないレベルの芸人は食っていけませんし、優勝したところで食っていけない芸人がいるのが現実です。
映画の世界はもっと残酷で、ウン億円を費やした作品であろうと、いとも簡単に捨てられて、一度スベってしまえば、お金的にも、信用的にも、取り返しがつかない負債を抱えます。
そこは一発アウトの世界で、「スベったことをネタにして…」が存在しません。
とにもかくにも腕力がモノを言う世界なので、「お前、そんな状態でコッチに来たら死ぬぞ」というのは本当のことです。
とは言うものの、自分に対して「“執拗に”怒っているなぁ」と思うことが少なくありません。
「所詮、他人の挑戦だし、どうなっても関係ねーや」で流してしまうこともできるのに、西野はそれをしません。
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▼ 正論2割、八つ当たり8割
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すでに、お聞きおよびかもしれませんが、実は、『映画 えんとつ町のプペル』は今、世界中の映画祭からお声がけいただいています。
映画祭に招待されている「量」もさることながら、世界の映画祭に詳しい方に特に驚かれるのは、映画祭の「ジャンル」です。
表現が正しいか分かりませんが、どメジャーの映画館からも声がかかり、子供向けの映画祭からも声がかかり、オタク系の映画祭からも声がかかり、アート系の映画祭からもお声がけいただいております。
先日、発表があったスイスの映画祭はどちらかというとアート系の映画祭です。
「ジャンルをまたいで愛されている」という部分に毎度驚かれます。
そもそも『えんとつ町のプペル』という絵本が、いわゆる「子供向けの絵本」では無かったのが引き金になっているのかもしれません。
あとは、なんといってもスタッフさんの技術と、
こんなヘンテコリンな(イケメンも美女も出てきやしねぇ!)作品を後押ししてくださった皆さんの力です。
2021年は、ほぼ毎月のように世界のどこかの映画祭で『映画 えんとつ町のプペル』が上映されているのですが、ご覧のとおりコロナ禍でして、僕はずっと日本にいます。
本当なら今年は各国を飛び回って、各映画祭で拍手を浴びてチヤホヤされていた一年になるハズだったのですが…どっこい今日もアトリエに籠って作業作業作業。
今は、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の制作と、新作絵本の制作、そして、関連グッズの打ち合わせ(ここ大事!)等々。
今日はこのあと、『えんとつ町のプペル』が原作の歌舞伎の脚本の手直し。
絶対にナイショですが、市川海老蔵さんと進めているプロジェクトです。
もしかすると、『脚本』だけでなく、『演出』の方でも、ビジュアル面で参加することになるかも。
当時は「神様は何の嫌がらせで、映画祭の世界ツアーにコロナをぶつけてきたんだろう?」と思っていたのですが、ファミリーミュージカルを作っていると海外の映画祭に行っている時間なんて無いことを思い知ります。
もしも。
ファミリーミュージカルの土台作りを、
歌舞伎の土台作りを、
関連グッズの土台作りを、
他の人に任せて、
その上(西野以外の誰かが作った土台の上)に次代のクリエイター達が技術や才能をのせていったら、
おそらく、途中で崩れるでしょう。
それは、『映画 えんとつ町のプペル』の公開から8ヶ月が経った今でも、『映画 えんとつ町のプペル』の土台作り(交通整理)をしている毎日の中で、つくづく思います。
今朝はファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』に出てくるスコップ(オリラジ藤森君)のMVの編集チェックがあったのですが……そこでも、「スコップのテロップの書体はコレじゃないよ」という指示が。
“たったそんなこと”ですが、そこで、今後のスコップの方向性が決まってしまうのです。
そういったミリ単位の微調整を、今日も“まだ”続けていて……要するに、全然前に進まないんです。
映画を当てて、海外でも評価されたんだから、次に進んでも良さそうじゃないですか?
ダメなんです。
ここで、次に進んじゃうと、その後、その上に建てられた建物は必ず崩れちゃう。
その時、路頭に迷うのは僕ではなく、そこに参加したクリエイターさん達。
それだけは回避しなくちゃいけません。
端から見れば、トントン拍子に進んでいるように見えるかもしれませんが、僕のアトリエを覗けば、その費用対効果は最悪で、1日17~8時時間をかけて半センチしか進んでいません。
なので、いとも簡単に(たったの1日で)5メートル、10メートル、100メートル進もうとしているクリエイターさん達を見ると「ふざけるなっ」という感情に繋がってしまうのです。
「僕がこれだけやって、これっぽっちも進んでいないのに、なんで僕の10分の1も努力していないオマエ(※決めつけ甚だしい!)が、そのスピードで前に進めると思ってんだ!」と。
そうです。
ほぼ、八つ当たりです(笑)
2割が正論で、8割が八つ当たりなので、「自分の中にしまっておけよ」という話なのですが、どうにもこうにも、しまっておけません。
西野が「マーケティングでどうこうしようとしているクリエイターさん」に対してカリカリしている理由は、そんなところ。
そのへんの面倒臭さもひっくるめて、愛でていただけると嬉しいです。
今日はこれから歌舞伎の脚本の手直し。
上手くいけば、来年の年明けの公開となりそうです。
そうです。制作時期がミュージカルとドンかぶりしています。
エンターテイメントに死んでやります。
現場からは以上でーす。
 
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