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2021年10月08日のエンタメ研究所の過去記事

10月8日(金) ※10月10日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
ただいまより、田舎のお婆ちゃんの火傷の患部にはりつけられているアロエの気持ちを代弁するキングコング西野です。
「僕は、こんなことをする為に生まれてきたわけじゃないっ!」
さて。
今日は『歌舞伎のビジネスモデルの見直し方』についてお話ししたいと思います。
「見直す」ではなくて、「見直し方(見直す方法)」についての話です。
これはもう僕の覚悟みたいな話です。
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伝統芸能との向き合い方
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現在、『歌舞伎』という「ジャパニーズエンターテイメント」のド真中の、そのまたド真ん中(成田屋)と真正面から向き合っています。
300~400年の歴史を持つエンタメは、ルールも多く、その分の問題も抱えています。
エンタメの世界では「型を押さえているから、『型破り』がある。型が無いのは『形無し』だ」とよく言われ、『型』を押さえる重要性が説かれますが(※大賛成です!)、他方、その業界で影響力を持った人が『型』を押さえることに重きを置きすぎて、いつからか『型破り』を許さなくなり、業界ごと衰退していく…というケースがときどきあったりします。
時代は常に変わるので、「型破り」は必要です。
なので、「正しく『型』を破る為」に『型』を押さえておくべきで、くれぐれも、「『型』を守る為」に『型』を押さえるわけではありません。
エンタメに限らず、すべてのクリエイティブにおいて、ここは見誤ってはいけません。
ですが、「伝統芸能」というカテゴリーに入れられているエンタメでは、「『型』を守る為に『型』を押さえる」ということが、よく行われています。
歌舞伎は、「傾く(かぶく)」のがお仕事なので、守るポイントをキチンと守って、「次の時代の在り方」を提案をしていくことが必要だと僕は考えています。
その上で、歌舞伎のビジネスモデルをどう再構築するのか?
昨日の記事では、歌舞伎というエンターテイメントの「お金事情」について赤裸々に語らせていただきました。
脚色抜きの「歌舞伎の現在地」です。
ザックリとしたテーマは、「歌舞伎の予算をどう確保していくか?」というところになると思うのですが、ああいう問題提議をすると必ず「プロセスを売ればいいんじゃないですか?」といった御意見が飛んできます。
その御意見に対するお返事は「うん、知ってる。キングコング西野亮廣が、この国で一番知ってるよ」です。
その他にも、たくさん案をいただくのですが、基本、そんなことは全て分かっているんです。
そんな実験を、世界の誰よりもやって、皆さんに提案している側の人間なので。
皆様からのコメントを一件ずつ読んでいくたびに、「見直し方」も共有しておいた方が良いなぁと思いました。
「『底辺×高さ÷2』という公式を使わずに、三角形の面積を求めよう」みたいな話です。
ぶっちゃけ、手段を選ばずに歌舞伎を黒字化しようと思ったら、1秒で解決します。
囃子方(歌舞伎音楽を奏でる人)を外して、プレスコ(収録した音を流す)にすれば、人件費を超大幅に削減できて、一件落着です。
ただ、「伝統芸能の残し方」は、そういうことじゃない。
それを始めると、「生演奏は録音でいいじゃん」「舞台セットはプロジェクションマッピングでいいじゃん」「時代に合わせて変わっていくことが歌舞伎(傾く)だろ?」という話になり、最終的には、ものすごーく運用しやすいサイズの、「誰にでも再現できるモノ」が出来上がってしまいます。
違うんです。
もはや、囃子方の価値というのは、「音のクオリティー」だけじゃなくなっていて、「このスタイルを300年以上続けてきた」が価値になっています。
そこで費やされた時間は、いくらお金を出しても買えなくて、これこそが、グローバル展開時の最大の武器になる。
その問題は解決しちゃダメで、それは、ベンチャー企業の作り方とは、まったく別物なんてす。
なので、「重い体を軽くする」という解決方法じゃなくて、「重い体のまま運営し続けていく方法を開発する」が今回の打ち筋だと思います。
日本の最大の資源は、予算でもなく、ビジネスモデルでもなく、「時間(歴史)」で、ここを抱えながら、世界のエンタメを片っ端からねじ伏せるのが僕の目的です。
なんだか、ずいぶん踏み込んだ話をしていますが、たぶん、歌舞伎が落ち着くまでは、この手の話がチョコチョコ出てくると思います。
ご容赦ください。
それではミュージカルの稽古に行ってきます。
現場からは以上でーす。
 
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