西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年10月14日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
近所の子供達から「プペルのオジサン」と呼ばれているキングコング西野です。
#かなり気に入っている

さて。
今日は『役者さんの労働環境の改善の副産物』というテーマでお話ししたいと思います。
「面倒な問題と本気で向き合ったら、想定外の副産物があったよ」という話です。

 

問題を後回しにしてんじゃねぇよ


僕自身、小さな劇場出身で、同じ境遇にある人達と多感な時期を過ごし、また、飲みに誘ってくださった大先輩達(志の輔師匠、鶴瓶師匠…)も「劇場」を愛している人ばかりだったので、劇場に根を張って活動する芸人(役者)の労働環境をよくよく知っています。

コロナ禍でホリエモンが仕掛ける『ホリエモン万博』というイベントが世間からヤリ玉にあげられた時に、「そこまでして稼ぎたいのか」的な批判が飛び交っていたのですが、劇場関係者からすると、なんともバカげた話だったりします。

ライブは「稼げる仕事」じゃありませんし、コロナ禍対策をすればするほど赤字です。

芸人も役者も、ほぼ「持ち出し」のような形でライブや演劇をおこなっていて、「やりがい」で自分の気持ちを納得させていたりします。

そんな仕事なんです。

ただ、僕は「そういうもんだから」で片付けるつもりはありません。

芸人や役者が守らなければいけない生活や家族を持っていることをよくよく知っていますし、体調を壊してしまったり、今回のようなパンデミックが起きると、それらが守れなくなってしまうこともよく知っています。

そして、これは劇場(演劇)業界に限った話ではないのですが、「お金があるところに才能が集まり、才能が集まるところにお客さんが集まる」ことも、よくよく知っています。

「『やりがい』で納得させる」という労働環境を解決しないかぎり、ライブ&演劇業界が先細っていくことは明らかです。

大体、この手の問題(お金が絡む問題)と向き合うと、アンチならまだしも、同業者からも批判の声があがったりするのですが、そんな時は、

「感情を持ち込むな。プロなら論理と実績でかかってこい。…ていうか黙っとけ。どうせ、お前も散々批判した後に、真似することになるから」とお返しします。

#なんて乱暴なヤツなんだ

 

稽古ギャラの副産物


さて。

そんなこんなでファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は、役者さんの労働環境の改善と本気で向き合っています。

表では言っていませんが、最終オーディションに参加してくださった役者さん(落ちた人も含む)にも「お車代」としてギャランティーをお支払いしました。

「プレイヤーファースト」というカンパニーの姿勢を見せる為です。

そして、ついには『稽古ギャラ』も支払っています。

「稽古は本番じゃないからノーギャラで」を当たり前にしたくなくて、拘束させていただいている時間は、本番であろうが、稽古であろうが、キチンとギャランティーをお支払いすることに決めました。

予算が湯水のように沸いてくるわけではないので、もちろん簡単な選択ではありませんが、これも「カンパニーの覚悟としてやろう」と。

そんなことをやった結果、面白い副産物がありました。

ザックリ言うと、「ギャランティーをいただいているので、稽古の素材(映像)は販売してもらってもいいっすよー」という流れが生まれたのです。

お金を出したので、『権利』を持てたわけですね。
 
#いくつか条件はありますが

公演終了後に「初日の本読み稽古」の様子をお金を払って見たい人も(たくさん)出てくると思うのですが、これって劇場での公演チケットと違って「売り続けられるモノ」なので、言ってしまえば、『稽古ギャラを払った方が最終的には安くつく』という話です。

勿論、そこを見越して稽古ギャラを支払っていたわけではないのですが(※シンプルに役者さんの労働環境をなんとかしたかった)、結果的に大きな副産物が生まれました。

今日の話のまとめとしては「誰も手をつけていない面倒な問題と向き合うと、誰も掘り起こせていないビジネスチャンスと出会うことがあるので、アタックしてみるといいかもね」といったところです。

これからも、キャスト、スタッフ、お客さんに優しいエンタメの創造に尽力していきたいと思います。

それでは今日も稽古に行ってきまーす。

現場からは以上でーす。

 

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