西野亮廣のエンタメsalon

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2021年11月04日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
学生時代、学校中の先生に気に入られていたので、完全に依怙贔屓されていたキングコング西野です。
#ものすごく素直な子供
#西野だから許されるパターンが多々あった

さて。
今日は『資産になるもの、ならないもの』というテーマでお話ししたいと思います。
結構、長いスパンのお話なので、10代~20代の方はピンとこないと思いますが、頑張ってください。
 


「時計の針を追うな」と言ったタモリさん

自分のことは、自分よりも他人の方がよく見えていると思うので、尊敬している人からのアドバイスは、(キチンと意図を理解した上で)そのまま鵜呑みするようにしています。

20代前半は『笑っていいとも』のレギュラーをやっていたのもあって、週1ペースでタモリさんと呑みに行っては、延々とクダラナイ話をして、時に真面目な話をさせていただきました。

酒場のタモリさんが、テレビから軸足を抜こうとしていたキングコング西野に「絵を描けよ」と言ったことは(ファンの方なら知っている)有名な話ですが、また違う日に、「時代を追うなよ」と言われたことがあります。

「時代は、時計の針のようにグルグルまわってくるから、その場にとどまって、芸を磨いておけば、遅かれ早かれオマエにピントが合う」
と。

僕は、そのアドバイスを鵜呑みにして、コツコツと“自分が描きたい絵本”を描き続けたわけですが、自分に時代の針が合ったのは、スタートから10年後のことでした。

「描き込み量の多い絵本なんて子供は読まねえよ」「ストーリーが長いっ!」と散々言われ続けたのですが、ある日突然、「これがいいんだよ!」という声に変わりました。

えんとつ町のプペル』を発表した時です。

僕は、苦労をしていない(=要領が良いヤツ)イメージを持たれることが多いのですが、こと『絵本』に関していえば、大苦労人で、常人であれば10年間も売れなかったら、とっくに辞めていると思います。

当時の自分に「それでも続けるガッツ」があったのは確かですが、それと同時に、「まぁ、タモリさんが、ああ言ってたし、いつか僕の仕事も見つかるんだろうなぁ」と楽観視していたのもあります。

いずれにせよ、絵本『えんとつ町のプペル』を発表した2016年10月21日に、時代の針がガチャン!と合いました。

さて、話はここからです。

「時代は時計の針のように回るさ」というのであれば、今、自分に合っている時代の針は、そのうち、次(2周目)に向かうことは避けられません。
きっと、そういうものなのでしょう。

ちょっと複雑な話ですが、時代の針が自分に合うずっとずっと前から、その日(時代の針が次に向かう瞬間)のことと、その時の自分の心情は、想定していました。

「富や名声を知らない時代は耐えられるけど、富や名声を手放すことは簡単じゃないだろうな…」と当時の僕は考えたのです。

つまり、「今の場所で芸を磨いて、時代の針が自分に合った後の自分は、失うことが怖くて、時代の針を追ってしまうだろうな」と。
#伝わってます ?
#頑張って

せっかく1周目を耐え忍んだのに、2周目から時代を追い始めてしまうのも勿体無い話なので、「時代の針が自分に合っていない今のうちから(俯瞰で判断できるうちに)ルールを決めておこう!」と思い、「2周目以降も時代の針を追わない」というルールを自分に課せました。

 

資産になるもの、ならないもの
 
きっと今の僕は2周目の入り口(※タレント活動をいれると3周目の入り口に)にいて、当然、今後も世間のニーズをガン無視(※お客さんになった時の自分ファースト)で創作活動を続けていくことになると思うのですが、やっぱり歳は重ねてみるもので、ここにきて面白い発見がありました。

それは、これまでの活動の中で「資産になったもの」と「資産にならなかったもの」がある…ということです。

ここから先は、自分の中でもまだ話がまとまっていないので、少しボンヤリとしちゃいますが、「とはいえ、(仕事の関係で)時代の針を追ってしまった過去のアクション」に関しては、一切資産になっていなくて、
「時代の針をガン無視で作って、案の定、相手にされなかったアクション」は、今になって光を当てられ(再評価され)、資産になっている。

僕と同世代の方なら、バンド『スピッツ』で、その経験をされたと思うのですが、「『ロビンソン』(1995年)で知ったけど、“昔のスピッツ”もメッチャいいじゃん!」です。

『ロビンソン』より前に発売された『空も飛べるはず』(1994年)は、発売当初はオリコン最高28位でしたが、1996年にフジテレビ系ドラマ『白線流し』の主題歌に起用され、その後、再出荷(再発売)、そこからビッグヒットとなりました。

僕と同世代の人達の間では、「スピッツの過去のアルバムから名曲を探す」というのが一つのムーブメントになり、その瞬間、スピッツの過去の楽曲が一気に資産化したんです。

掘り起こしたスピッツが(本当にイイ意味で!)変わっていなかったからです。
昔のスピッツが時代を追いかけ続けていたら、あのムーブメントは起きなかったでしょう。

時代の針が自分のもとから次に向かう時は、すべて失うもんだと思っていたのですが(※べつにそれでも良かった)、
どっこい、
時代の針をガン無視して続けていたアクションは、資産としてキチンと蓄積されていて、キンコン西野でいうと、過去の絵本が今になって売れ始めています。

【時代の針を追ったアクションが、資産にならない理由】も明確にしておいた方がいいでしょう。

「時代を追ったものは、いずれ古くなるから」というのもあるでしょうが、ほとんどの人が時代の針を追っているので「時代を追ったモノ(情報)は、もう、ほとんどの人が持っている」というのがあると思います。

サービスの本質は、「目標と現状のギャップを埋めること」なので、当然、皆がすでに持っているモノ(情報)は売れません。

「時代の針を追わなかった為に相手にされなかった『1周目』のアクションは、そのクオリティーが確かなものであれば、2周目以降の資産となるので、無視され続けても腐っちゃダメだよ❤️」というのが、僕の体験談からのメッセージです。
#頑張ろう

そんなこんなで、最後にお知らせになっちゃうのですが、僕の過去作をまとめた『絵本ボックス』を作りました。
クリスマスプレゼントか何かに使ってもらえると嬉しいです。

現場からは以上でーす。

 

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