西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年11月11日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
元グランドキャバレーである『東京キネマ倶楽部』でミュージカルを作らせたら右に出るものはいないキングコング西野です。
#お前しか作らねーよ

さて。
今日は「動画時代の向こう側で気づいたこと」というテーマでお話ししようと思います。

ちょっと面白いことに気がついたので、備忘録的に。

 

ショボさが際立つ演出

先日、梶原君と話していた時に、梶原君の方から「キングコングの武道館のライブ、『毎週キングコング』のテーマ曲を生バンド&生演奏とかでやったら面白いんちゃうん?」と提案されて、笑顔でかわしてやりました(笑)

梶原君の公開処刑みたいになって申し訳ないですが、「生演奏やったらオモロイやん!」は大箱(大きな会場)での経験が浅い人が一番最初に思いつくアイデアであり(※僕らもその道を通った)、まったく効果的ではないアイデアだったりします。

『サーカス! ~世界で一番楽しい学校~』でいうと、アンフィーシアター(2170席)あたりから、僕らの中でも、よく議題にあがっていたのですが、大きい空間になればなるほど「視界(見える面積)」から逆算しなければいけません。

中途半端に美術セットを建て込んでしまうと、視界から逆算した時に「セットが建て込まれていない部分」が大半を占めるので、セットがショボく見えちゃうんです。

なので、美術セットはお客さんが焦点を絞った先にギュッと固めて、あとは照明(光はどこまででも伸びる)との合わせ技です。

僕たちのチームは「『大きい』は正しい」というバカみたいなスローガンを掲げるぐらい大きいもの(巨大な何か)を愛しているのですが、
「大きな空間に、(予算内で)中途半端に大きいものを作ってしまうと、小さく見える」という地雷にも気を使っていて、美術セットと、照明演出の割合や、予算をかけるポイントなどを、そこそこ丁寧に話し合っています。

「生バンド」も同じで、武道館クラスの会場になってくると、豪華にしようと思って入れた「生バンド」が、「生バンドがいないスペース」を際立ててしまい、結果的にショボく見える…という事故を起こしてしまいます。

これを言うと、劇団四季の人達にしこたま怒られるのですが、浅利慶太さんが演出した長野五輪のオープニングなどは、この地雷を踏んでいます。
大きな競技場に、大きな身体のお相撲さんを出して、「お相撲さん小っさ!」を生み出していました。

それでも、視覚的な派手さを目的として「生バンド」を入れるのであれば、数百名ほどのビッグバンドを入れるといいのかもしれません。
いずれにせよ大箱は「視界の面積」で空間を設計することが求められます。

さて。
話はここからです。

 

動画時代2.0に稀少なもの

モノの価値は「求めている人多さ」と「希少性」で決まります。
収入の上げ方は至ってシンプルで、「希少人材になること」です。(by 藤原和博先生)

んでもって、今日の記事で、何が言いたいかというと、端的にまとめると「コロナで、これまで以上に、人が体験を求めているのに、空間を作れる人ってあんまりいないよね」です。

動画時代にてっとり早くお金を稼ぐには「動画編集」のスキルを身につけることが一番だったのですが、ここにきて、動画編集のスキルがコモディティー化している(=プレイヤーが増えて、価値が下がっている)。

今、コロナで、わりとワリを食った「空間職人」が、ここにきて“コロナの反動”で求められているのですが、一つ弱点があって、「空間作り」は「動画作り」に比べて費用がかかりすぎてしまう。
空間ビジネスって、死ぬほどコスパが悪いんです。
#だから動画編集に人が集まる

となると、空間を使っている人は「空間を“オンライン販売”する」という打ち手で採算をとっていかなきゃいけなくなるわけですが、『権利』を握っていなければ、オンライン販売はできないんです。

逆に言うと、皆が求めている「空間」を作る能力と、その『権利』さえ持っておけば、コモディティー化甚だしい「動画販売」よりも、大きな利益を生むことができる。

なので、ちょっと込み入った話になりますが、「権利が握れるように空間を作る」ということが大事で、たとえば、「配信は絶対に認めません」というキャストさんをブッキングしてしまうと、大幅に売上が落ちること覚悟して、「それでも、このキャストさんをブッキングするのか?」という判断が求められる。
#空間に流れる楽曲も同様

スタッフや文化を守っていく為には、『空間』と『権利』が、これまで以上にしっかりと握っておくことが大事だなぁと思った次第です。
こんな話、興味ある(笑)?

現場からは以上でーす。

 

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