西野亮廣のエンタメsalon

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2021年11月23日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。

さて。
今日は「ミュージカルと歌舞伎の『演出家』の違い」というテーマでお話ししたいと思います。

ゴッリゴリのクリエイティブの話です。

 

「演出家」にも、いろいろある

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』では、僕は、原作・脚本・演出として参加させてもらっています。

僕の場合は原作者の許可を取らなくていいので、好きなように演出させてもらっているのですが、基本、ミュージカルは「演出家」が全てを決めます。

もちろん、キャストさんやスタッフさんの方からもたくさんアイデアをいただくのですが、最終ジャッジは「演出家」なんです。

演出家の最終判断のもと、芝居を作って、音楽を作って、振り付けを作って、衣装を作って、美術セットを作って、照明を作るので、作品が面白くなかったら、完全に演出家のせいです。

僕の場合は絵も描くので、「こんなセットを作ってください」「こんな衣装を作ってください」といった感じで、描いた絵を制作にスタッフに共有します。

ときどき、「オープニングシーンの心臓とゴミ『人間』で表現したいので、心臓とゴミのダンスを作ってもらっていいですか?」というムチャ振りをさせていただくこともあり、ダンスの先生を困らせます。

☆心臓とゴミのダンス↓
https://youtu.be/D9EU5OtQM3o
 

とにかく、演出家の「あれやりたい!」「これやりたい!」を、キャスト&スタッフが全員で実現させにいく…というのが基本的なミュージカルの作り方です。

ところかわって、「歌舞伎の演出家」はどうでしょう?

今回の新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』の僕のお仕事は「原作・脚本(&プペルのビジュアルデザイン)」で、演出は藤間勘十郎さんです。

基本的には、脚本を納品した時点で、僕の仕事は終わりなのですが、僕の名前で来てくださるお客様もいらっしゃるので、半端なことはできません。

そんなこんなで、脚本納品後も、海老蔵さんも参加しているLINEグループに残って、お手伝いできる隙を探っているのですが……勘十郎さんからの「あれをしたい」「これを用意して」が、あまり無いんですね。

昨日の海老蔵さんと僕の対談をご覧になられた方はお気づきかと思いますが、どちらかというと海老蔵さんの方から「ここは、こういう演出で…」という話があったりします。

聞けば、歌舞伎というのは、基本的には、そういう作りで、看板役者の「あれをしたい」「これをしたい」を、演出家がまとめていく…という役割分担だそう。

くれぐれも、これは「演出家の勘十郎さんが仕事をしていない」ということではなくて(メチャクチャ頑張ってくださっています!!)、「ミュージカルと歌舞伎では、演出家の仕事が違う」ということです。

ということは、新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』で、演出家の指示を待っていたら、基本的には、海老蔵さんの意見がたぶんに反映されたものになって、それはそれで最高なのですが、たぶんそれだと、海老蔵さんが西野と組んだ意味はありませんし、海老蔵さんも、それを求めていない。

最近、このあたりの距離感が分かってきて、今日、「オープニングの演出プランは勝算があるので、僕の方から出します」という旨をチームの皆に伝えさせていただきました。

ルール違反(領域侵害)のようで、「船頭多くして船山に登る」とやらのようで、映画やミュージカルの現場で、こんなことをすると確実に空中崩壊してしまうのですが、歌舞伎では、これでよくて(※だから歌舞伎の演出家さんって大変!)、今後もゴリゴリいっちゃおうと思っています。

添付した画像(一枚目)は海老蔵さんと僕がオープニングの演出プランを立てているところで、ここで決まったことを、後々、演出家の勘十郎さんに投げています。

すんごい作り方でしょ(笑)?
歌舞伎制作は、毎日、勉強の連続です。

面白い作品を作ります。

現場からは以上でーす。

【追伸】
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https://l-tike.com/play/mevent/?mid=610331

 

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