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西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年11月29日のエンタメ研究所の過去記事

11月29日(月) ※11月31日以降は『いいね』を押さないでください。
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更新が遅くなってごめんなさい。
耳鼻科の先生から「鼻の中のカサブタが気になっても、取ろうとしちゃダメですよ」と言われたので、「でも、先生。そのカサブタに鼻水が付いて、巨大化し、鼻の穴を塞ぐほどのカサブタ鼻クソに育ったら、どうするんですか?」と質問したところ、「その時は諦めてください」という謎のアドバイスをいただいたキングコング西野です。
さて。
今日は『どっこい今日も生きている』という話をしたいと思います。
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▼ 代表作ができた
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昨日、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の幕が閉じました。
病人・怪我を出すことなく完走することができてホッと一安心したところ、ドンッと疲れがやってきました。
どうやら、自分が思っていた以上に、いろいろと張りつめていたようです。
今日のVoicy(https://voicy.jp/channel/941/242298
)でも喋りましたが、苦労の一切を帳消ししてくれる出来で、世界のどこに出しても恥ずかしくない作品が生まれました。
不毛な口論があったかもしれないし、
コミュニケーション不足で誤解を生んだこともあったかもしれないし、
その他にも、様々な寄り道をしたかもしれませんが、
ステージの上での圧倒的なパフォーマンスや、
それを支えるスタッフワーク、
そして、
カーテンコールで鳴り止まない拍手が全てで、やはりプロフェッショナルの仕事は結果のみで語られるべきなんだと思います。
ちょっと、思い出話をします。
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は、僕発信の企画ではありません。
いつものようにサロン記事を投稿をしていたら、コメント欄に突然、「『えんとつ町のプペル』のミュージカルを作って、世界に仕掛けたいです!」という怪しすぎるコメントが入ってきたんです。
その人が、後のファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』アシスタントプロデューサーの小野功司さん。
コメントが来たのは、たしか2年前ぐらいだったと思います。
コメント欄から唾が飛んでくるような文章で、「暑苦しい人だなぁ」と思ったのですが、僕は暑苦しい人が嫌いじゃないので、「とりあえず呑みに行きませんか?」とナンパをして、五反田の酒場に行きました。
お会いしてみると、想像のナナメ上をいく暑苦しさで、なんか声のボリュームはバグっているし(※四人席なのに腹から声を出すタイプ)、瞳孔が開きまくってるし、なんかテンパってる。
ただ、たしかな熱量はあって、
悪く言うと熱量しかない(笑)
大きく失敗する人って、こういう人だと思いましたが、一方で、大きく成功する人もこういう人です。
小野さんは「プペルのミュージカル化」を、人生のラストチャンスのように捉えておられて、その本気汁が、あらゆるところから溢れていたので、面白半分で承諾しました。
ちょうど、エッフェル塔の個展を終えてチョーシに乗っている瀬戸(※CHIMNEYTOWN USA代表作)が空いていたので、「この企画、ゴリッと獲りにいけよ」と、そそのかしてみました。
そのあと二人で話し合ったそうで、小野さんがアシスタントプロデューサーとなり、瀬戸がプロデューサーとしてスタートしました。
当初は、最初からアメリカ(オフオフブロードウェイ)での公演を企画していたのですが(※劇場も押さえていた)、コロナが襲来。
進めていた企画が全て白紙になります。
しかしながら、脚本も楽曲もできていたので、「せっかくだし、オンライン公演をやろう!」という話で盛り上がったみたいで、オンライン公演を実施。
その出来がヒドイのなんの(笑)
この出来で「オンライン公演成功!ウェーイ!」とかやっちゃったら、小野さんと瀬戸の信用をゴッソリ失っちゃう(クリエイターとしては再起不能になる)と思ったので、皆さんが見ている前で「クソすぎる」「0点」という雷を落としました。
オンライン公演終わりに「このチーム編成だと、きっと上手くいかない」という話し合いがおこなわれたらしく、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の初期チームは開催。
一時は、小野さんと瀬戸の二人になりました。
「気がつきゃ船底、穴ボコだらけ。漕ぐ手を止めると沈んでしまう、浮くのがやっとのオンボロ船。ずいぶん前から進んじゃいない」とは、まさにファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のカンパニーのことで、とにもかくにも、やることなすこと、上手くいっていませんでした。
素人プロデューサーが二人で関係者のところに行き、「来年、ミュージカルを作りたいんです。力を貸してください」と頭を下げたところで、当然、門前払い。
去年の12月の段階で、まだ演出家が決まっていませんでした。
そして、「そろそろヤバイかな?」と思っていた時に、「西野さんが演出をやってください」とお願いされました。
あの時の気持ちはもう思い出せませんが、でも、きっと「ここで僕が断ったら、もうこのチームは終わる」と考えたと思います。
それぐらい切羽詰まっていたので。
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の客席には、立川志の輔師匠や、戸田恵子さんや、萬田久子さんや、鈴木おさむさんや、市川海老蔵さんなど、各界のスターが連日お見えになられていて、「本当に素晴らしいっ!感動した!!キミ達はなんてものを作ったんだ!!」と、興奮気味に感想を残してくださいました。
「プロの仕事は結果が全て」とは言いましたが、あの、夢と感動と多幸感に溢れたエンターテイメントの裏では、
何度も躓いて、振り出しに戻って、仲間を失って、それでもめげずに頭を下げ続けた小野さんと瀬戸の姿があったことを、
そして、
山のものとも海のものとも分からない(連戦連敗の)素人プロデューサーの味方になることを選んで、共に頭を下げ続け、共に門前払いを食らい続けたプロダクションマネージャーのアカネさんと、演出助手のMOEKOさんの姿があったことを、覚えておいて欲しいなぁと思います。
彼らの活動からは、いつもこんなメッセージが聞こえてきます。
「今日、仕事が上手くいかなかったからって、それが何なんだよ。
たったの一回だろ?
こちとらウン百回上手くいってないけど、それでも、しぶとく生きてるぞ」
いいチームだな。
彼らが、しぶとく生きたこの2年間が、誰かの励みになりますように。
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』を応援してくださったサロンメンバーの皆様、本当にどうもありがとうございました。
また、どこかでお会いしましょう。
次は歌舞伎だ。
やるぞ。
 
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