西野亮廣のエンタメsalon

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2021年12月30日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
帰国の飛行機の中で映画『東京卍リベンジャーズ』を観て、すっかり、北村匠海さん、山田裕貴さん、吉沢亮さんのファンになってしまったキングコング西野です。
#イケメンが好き

さて。
今日は「『途中で軌道修正する』なんて、幻想だ」というテーマでお話ししたいと思います。

 

天才万博は最初から天才に優しかった
 
基本的に、いつも酔っ払っているので、記憶があやふやなのですが…

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のプロデューサーをやっている瀬戸口が、学生インターンでウチに来た時(彼がエッフェル塔の個展をやり遂げた直後あたり)に、

「今度、ウチでミュージカルをやるから、その仕事をグイッと獲りにいけよ」

と耳打ちしたことがあります。

同じようなことは時々あって、年末に(5日間も!)やっている『天才万博』というフェス(忘年会?)を立ち上げた時も、ホームレス小谷に

「このイベントは、お前が獲りにいけ」

と耳打ちをしました。

時々、西野は「これは、お前がやれ」と後輩に(問答無用で)耳打ちすることがあり、後輩が言った通りにやらなかったら、すこぶる機嫌が悪くなります。
ちなみに、アドバイスを求めてきた先輩が言ったとおりやらなかったら、もっと機嫌が悪くなります。
#なんてやつだ

勿論、やれそうな人に耳打ちしているのですが、ただ、本人の気持ちの準備をガン無視でやらせるわけですから、それなりの「お膳立て」はします。
ただの酔っ払いじゃないんですヨ。

『天才万博』は、僕の友達界隈では、すっかり年末の風物詩です。

「とりあえず、年末は天才万博に行くっしょ」「今年は何日行く?」という感じになっています。
#関係者もたくさん
#大竹しのぶサンも普通に来てた

この時、ユニークなのは、「天才万博に参加するお客さん(僕も含む)のほとんどが、その日の出演者を知らない」ということです(笑)。

いわゆる「フェスにお客さんがついている」というやつです。

これにより、『全く無名だけど、すんごい才能があるアーティストをステージに立たせる(皆様に紹介する)』が可能になります。

実際、天才万博に参加されているお客さんの声で、「天才万博で、このアーティストを知った」は少なくないと思います。

僕の師匠の後藤ひろひろ(劇作家)の歌唱力とパフォーマンスが、アーティストとしてズバ抜けていることを天才万博で知った人も少なくないハズ。
#バケモノ級にカッコイイんです

「フェスにお客さんがついている(場が集客してくれる)」というのは、エンタメ屋から言わせると「この上なく理想的なカタチ」です。

場所がお客さんを呼べれば、
新しい才能を紹介することもできれば、
イケてるお爺さんアーティストを紹介することもできれば、
ここからムーブメントを作り出すことも可能です。

エンタメやアート(あるいはファッション)の歴史というのは、ラベリング(認印)の歴史でもあって、影響力のある人や媒体の【認印】が次代のスターを生み続けています。

場所(空間)自体が影響力をもっていると、場所が「この人、イケてます!」とラベリングすることができるですね。

今年で言うと、ダイノジ大谷さん扮する『DJザウルス』がそれにあたると思います。
#恐竜のお面をかぶった変なDJです

今年はお披露目回でしたが、天才万博が「『DJザウルス』ってイケてるよ」とラベリングしたので、来年以降は人気者でしょう。

ちなみに、焦ってすぐにスケジュールを埋めたがる(悪い癖!)ダイノジ大谷さんには、「余計な仕事は入れなくていいので、年末は『天才万博』用に5日間空けてください」とお伝えしています。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

「フェスにお客さんがついている」という、イベントとしてはこの上ない形にある『天才万博』ですが、何も、たまたまこうなったわけではありません。

「頑張って続けていたら、いつの間にやら今の形になりました」というわけじゃないんです。

『天才万博』を立ち上げる時に、ホームレス小谷には、「アーティストの集客力に依存したフェス(場所)を作るな。それをやると、『集客力があるアーティストをブッキングできないと継続できないフェス』になってしまって、最終的には、『集客力はあるけど、実力がないアーティスト』に依存することになる。チケットは、アーティストに売ってもらうのではなくて、天才万博(場)が売れ。僕も手伝う」と伝えました。

同じことを、ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のプロデューサーチームにも言いました。
「役者の『集客力』でキャスティングを決めるな。作品にファンをつけろ」と。

実は、先月、日本武道館でやった『サーカス』もそうです。
#サーカスも誰が出てもチケット完売

当然、それは簡単な道じゃありません。

天才万博の初年度なんて、1日こっきりの開催だったのですが、チケットをハケさすのが大変で大変で……1年間かけてチケットを手売りしたのですが、チケットが全部ハケたのは、なんと公演当日の朝。
本当に、カツカツでやっていたんです(笑)

ただ、ここが今日のパンチラインです。

僕の経験上、「プロジェクトのコンセプトが、途中から上方修正される」といったことが、かつて一度も無いんです。

つまり、「最初は認知度が無いから『集客力のあるアーティスト』をキャスティングして、フェスの認知度が上がってきたら、『集客力のあるアーティスト』ではなくて、集客力は度外視で『才能のあるアーティスト』をキャスティングしていこう」という計画が、実行されたところを見たことがない。

「集客力のあるアーティスト」を集めて立ち上げたフェスは、その後、「もっと集客力のあるアーティスト」に声をかけることで、フェスの規模を大きくしていっていることが、ほとんど。

おそらく「戦い方」が染み付いてしまっていて、染み付いたが最後、途中から軌道修正することは無理なんですね。

しかしながら、多くの人は「途中で軌道修正ができる前提」で、様々な企画をスタートさせます。

ただ、実際のところは、プロジェクトの根幹(コンセプト)に関わるような軌道修正は、なかなか難しくて、一番最初のルールブック作りの段階で、そのプロジェクトが最終的に辿り着ける場所が決まっています。

これはイベントに限らず、あらゆるサービスで言えることだなぁと思ったので、サロンメンバーの皆様に共有させていただきました。

基本的に、一番最初の段階で、皆が避けるような「圧倒的な面倒」を選ぶと、そこそこ良いポジションが取れることが多いです。
参考までに。

現場からは以上でーす。

【追伸】
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