西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2022年01月27日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
ピーターパンを制作している夢を見て、目が覚めた瞬間に「ピーターパンを作るって、こんなにも刺激的で楽しいのか!」と嫉妬したキングコング西野です。
#変な角度からの嫉妬

さて。
今日は『ヒーロー経済』というテーマでお話ししたいと思います。

経営者や個人事業主(クリエイター)は、この感覚を掴んでおいた方がいいんだろうなぁーという話です。

よろしく、どうぞ。

 

「安いから買う」と「応援したいから買う」
 
昨日は、電気事業(※電気の自由化によって誰でも電気を販売できるようになった)のお話をさせていただきました。

昨日お伝えしたとおり、電気事業は『発電』『送電』『販売』の3つに分かれていて、たとえば僕が『販売』事業(だけ)をスタートさせた場合、『発電』と『送電』は、関東電力さんだったりします。

なので、停電トラブルなので何かあった場合に駆けつけてくれるのは、西野ではなくて、関東電力さんです。
#昨日はこのあたりの説明が不足してましたね
#ごめんやで

つまり、今お使いの「電気」を、西野から買おうが、関東電力さんから買おうが、ソフトバンクさんから買おうが、「電気の質」自体は何も変わりません。

「電気は『ファングッズ』として超優秀」と言っているのは、まさにここで、電気こそ、『機能(品質)検索』ではなくて、『人検索商品』で、「誰から買うか?」という世界線です。

ですが、実際のところは「ほんの僅かな安さ勝負(ポイント勝負)」に出ている企業がほとんど。
その競争には未来はなさそうです。

電気とは少し性質が異なりますが、商品や作品やサービスやイベントにおいて、「『安さ』で釣る」というのは、そもそも今の時代に合ってねーなーと思っています。

時間に追われていて(時間が不足していて)、さらにはモノで溢れた現代人は、
お金を払って時間を買い、
お金を払ってダイエットをして、
お金を払って『片付けの魔法(byこんまり)』を手に入れています。

そんな中、僕らは…

お金を払って時間を奪われ、
お金を払って贅肉を増やされて、
お金を払ってモノを増やされてしまうものを「サービス」と呼んでいます。

ここに大いなる矛盾が発生しています。

少し極端な話ですが、本来であれば、
時間に追われている現代人の時間を奪ったり、
ダイエットに励んでいる現代人の贅肉を増やしたり、
頑張ってモノを捨てている現代人にモノを与えているサービス提供者側がお金を払うのがスジです。

なので、「安くしますから、買って!」というのは、とんでもない勘違い発言で、時代錯誤も甚だしいぞテメエ!
#言いすぎだろ
#お前も時々やってるだろ

……今のは少し言いすぎましたが、ただ、
『時間が余っていて、モノが不足していた時代(昔)』と、『時間が不足していて、モノが溢れている時代(今)』とでは、『安さ(安くする)』の効果が全然違っていることを僕らは自覚しなくちゃいけません。

安くしたところで、昔ほど効果がない(集客に繋がらない)のに、「安くすればお客さんが来てくれる」信仰にバキバキに洗脳されて、そこから抜け出せない経営者をよく見かけます。

昔も今も、お客さんが「安さ」を求めているのは間違いありません。
ただ、今は『時間』や『スペース』の重要度が高くなっているので、昔に比べて「安さ」のパンチ力は下がっている。

3000円を貰ったとしても『当たり障りのない1時間半の芝居』なんか観たくなくて、1万円を払ったとしても『メチャクチャ面白い一時間半芝居』を観たいのが現代人で、サービス提供者に求められているのは、ブッチギリのコンテンツ力と、お客さんのスペース(時間や場所)を想像する力です。

お客さん側に立って考えてみると「時間はない」「モノで溢れている」という状況において、欲しいのは、『物質的な豊かさ』ではなくて、『精神的な豊かさ』で、ギフト(=モノが不足している人にモノを与えることにお金を使う)の需要はこれから徐々に高まるでしょう。

具体的な話をします。

昨日、Voicyのスポンサーでお馴染みの『平野幸一乃牛専門店【焼肉薩摩】』(https://yakinikusatsuma.com/)さんのコンサルをしていて、代表の方から「今後、どうしたらいいですか?」というザックリした相談を受けたんです(笑)。
#お店は超順調です

そこで僕がお願いしたのは(#コンサルでも何でもねーな)、以下のとおり↓

「焼肉のオンラインギフトに力を入れてください。

『尊敬されるセット』みたいな打ち出し方で、○人前の焼肉セットをポチれる状態を作っていただければ、ウチの若手スタッフが、スタッフのLINEグループで、『すみません。西野さん。今度、若手スタッフ(&その友達)で肉会やりたいんすけど、この【尊敬されるセット】をポチってもらっていいっすか? 僕ら、マジで西野さんのこと尊敬したいんす!』と言ってリンクを送ってくるノリが生まれて、その時、僕は『ふざけるなww』とか言いながら、確実にポチります。

翌月に、また『すみません。西野さん。今月も若手スタッフ(&その友達)で肉会やりたいんすけど、この【尊敬されるセット】をポチってもらっていいっすか? 僕ら、マジで西野さんのこと尊敬したいんす!』とLINEがきて、『前回の【尊敬されるセット】では尊敬できなかったのかよ!ていうか、このLINE、先月のコピペだろ!』というノリが生まれ、僕はまたポチります」

……あくまで僕の立場の人間が買いたいのは、「スタッフとのコミュニケーション」で、「あいつら、楽しい夜を過ごせたかな?」と想いを馳せることができれば満足です。

奇妙な言い回しですが、「想いを馳せさせる」や「気持ちよく応援させてあげる」というのが、“時間が不足して、モノに溢れている現代”のサービス(コンテンツ)の一つで、経営者(クリエイター)は、このサービスの創造からは目を背けない方がいいと思います。

お客さんに役割(=あなたがいてくれて、皆が助かってます)を与えるということですね。

一言でまとめると現代サービスは「お客さんをヒーローにしてあげる」ということだと思います。
#だったら最初から一言でまとめろ

現場からは以上です。

 

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