西野亮廣のエンタメsalon

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2022年01月29日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
駅弁の「柿の葉寿司」に付いているお醤油は絶対的に足りないと思っているキングコング西野です。

さて。

今日は『「使い方」を提案することって大事だよね』というテーマでお話ししたいと思います。
どのお仕事にも当てはまる内容だと思うので、テキトーに参考にしてみてください。

 

「コンテンツは素晴らしいのに」という状態

昨日の「ニシノコンサル」では、『Snapchat(スナップチャット)』のスタッフさんと色々とお話しさせていただきました。
今日は、そこで勉強になったことを共有させていただこうと思うのですが、なんだか結果的に『Snapchat』のPR記事みたいになりそうなので、「#PR」と入れておきます。
#このあたりの取り扱いって難しいよね

そんなこんなで今日は『Snapchat』の話から入りたいと思います。
日本の『Snapchat』といえば、顔が犬になったり、顔が極端な丸顔になったりする「カメラフィルター機能」のイメージが強く、「なんか2〜3年前にちょっと流行ったよね」というのが正直なところだと思います。

個人的には「Facebookからの買収提案を拒んで、その後、Facebookが全力で潰し(パクリ)にかかった」と記憶しているのですが…若干、都市伝説が混ざっているかもしれません。
とはいえ、その後、FacebookがSnapchat的な機能(24時間で投稿が消える)を追加したのは事実。
当時、「Facebookさん、容赦ないですね…」と思った覚えがあります。

そんなこんなで日本だと、「変顔アプリ」としてのイメージが広がっていたり、「インスタのStoriesでイイじゃん」とか「SNOWでイイじゃん」となっていたりしますが、アメリカでは10代に一番人気のSNSで、【コミュニケーションツール】としてガンガン使われているそう。
CHIMNEYTOWNの若手スタッフに聞いても、「“アメリカにいた時は”、かなり使ってましたね」と返ってきます。

そこで、あらためて『Snapchat』に興味を持った西野氏。
『Snapchat』のスタッフさんから機能の説明を受けたり、実際に触ってみたりすると、「面白い」もそうですが、そもそも「使い勝手がイイ」。

あとは、電話とかLINEみたく、まわりの人が使えば使うほど、メリットが増える(便利になる)『ネットワーク外部性』だけ。
向こう三軒両隣の人が『Snapchat』を使っていれば、僕も普通に使うだろうなぁと思いました。

西野ごときが偉そうに言うと「モノ自体はイイ」んです。
#だからアメリカでは若者人気ナンバー1

『Snapchat』のスタッフさんからは「どうすれば、日本のユーザーが増えますかね?」と相談され、「自分の両脇にいる人が使っていたら、ダウンロードするなぁ」と思った西野氏は、

「観光地の顔ハメパネルのノリで、『2人か、3人いないと成立しない【フィルター】』を作ればイイんじゃないですか? そうすれば、Snapchatをダウンロードしていない人が、オフライン空間でSnapchatに触れますよ」

とテキトーなことを言います。

しかし、まぁ、狙っている子や、息子や娘から(←いないけど)「スナチャの写真を撮りたいから、ちょっと(カメラの)画面に入って!」と頼まれたら、迷わず入るし、そこで撮られたヘンテコ写真は、一旦はスマホの画像フォルダーに入れておきます。

さて、ここからが本題です。

 

使い方を提案する

ぶっちゃけ、『2人か、3人いないと成立しない【フィルター】を作る』という打ち手が、新規ユーザーの獲得に効果があるかどうかは分かりません。
ただ、考え方としては合っているのかなぁと思っています。

「そもそもの素材はイイのだから、素材は変えずに、使い方を少し変える」という考え方ですね。

これまでどおり、「撮った写真を送る(あるいはSNSにアップする)」というコミュニケーションも大切にしつつ、「隣にいる人と撮る」というコミュニケーションも押し出していく。

これによって『Snapchat』の機能は変更しておらず、やっているのは「使い方を提案している」だけ。

この提案をさせていただいた直後、『Snapchat』のスタッフさんから「サントリーハイボールもそうなんですよね」というお話をいただきます。

1983年をピークに、2007年には販売量ペースが6分の1まで落ち込んでいたウイスキー市場ですが、そこからサントリーが「ハイボール」を開発し、生ビール感覚でグビグビ飲めるように「角ジョッキ」を開発し、皆さんも知るところの鬼のV字回復。

この復活劇の面白い部分は、ウイスキーを改善したわけではなくて、「ウイスキーの飲み方」を提案したところ。

こういったことは他でも当たり前のようにあって、ここは見落としちゃダメだよなぁと昨日、あらためて思いました。

つまり、

「自分の商品(サービス)が売れていない理由は…商品に原因があるのか? それとも、お客さんに、使い方を提案しきれていない(使い方を思いつかせていない)のか?」

ここを常に疑うクセはつけておいた方が良さそうです。

これは、そのまま『映画』にも置き換えれられて、映画の内容をトコトン追求することは勿論のこと、映画の「観かた」を提案することも大事だと思っています。

「『映画 えんとつ町のプペル』が好きで好きでたまらない人しかいない(肯定的な)空間で、『映画 えんとつ町のプペル』を観ませんか?」というような。

今日の話は、あなたの活動の後押しをしてくれるような話なので、頭の片隅にでも置いておいてください。
現場からは以上で〜す。