西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2022年01月30日のエンタメ研究所の過去記事

日曜日の今日は仕事のゴリゴリ話を少しお休みして、今、ボンヤリと思っていることを書いてみたいと思います。

オンラインサロンでは、毎日せっせと記事を書いては、毎日、皆様からいただいたコメントを全てに読ませていただいています。
勉強になったり、励まされたり…コメントを読む時間は本当に楽しいです。
いつもありがとうございます。

そんな中、昨日の記事(「商品の使い方提案する」)のコメント欄に、こんなコメントがありました。

「今日の野菜直売会もなかなか厳しい現実と向き合ってます(涙)
食べる、差し入れする意外の使われ方を考えます。
というか、見つけてもらえるように頑張ります!!

#いつもありがとうございます
#応援してます」
 

野菜農家の方でしょうか。
コメントと共に添付されていた写真には、売れ残った野菜(すっごく美味しそう!)。

この想いと、この景色には、心当たりがあリました。

えんとつ町のプペル』が世に出る前の話です。

テレビの世界から軸足を抜いて、「モノづくり」の世界に飛び込んだものの、結果は散々で、劇場は空席だらけだし、絵本の直売会では暇することも珍しくありませんでした。

そんなに下手なもの(ウンコ作品)を作っているつもりはないのですが、とにかく売れない。
お客さんが集まらない。

キングコング西野は「何をやっても上手くいく」というイメージで見られがちですが、どっこい、絵本は10年近く売れませんでした。

そして、当たり前のように舞台のチケットは毎日手売りしていました。
毎日毎日、チケットが入った小さな鞄を首からブラ下げて。
#よくイジられました

作品が売れている人が輝いて見えて、
劇場にお客さんを集められる人が輝いて見えて、
「どうやれば、自分もあそこに行けるんだろう?」と考え、試行錯誤を繰り返し、昨日も負けて、今日も負けて。

もう本当に、呆れるぐらい売れなかったんです(笑)

「メディアに出ている」ということでマウントをとってくる芸人やタレントや、そのファンの方々には、それなりに苛立っていました。
「あんたらが10年以上かけてやっていることは、こちとら最初の1年で済ませて、今は次の挑戦を始めてんだよ」
と思ったものの、口に出すほどの結果が出ていない。
口に出そうものなら「負け惜しみ」もいいとこです。

空席だらけの舞台を作ってしまった時というのは、本当に「みじめ」です。
開演前も、終演後も、ずっと「みじめ」。

ついて来てくれている後輩には、その思いは隠していましたが……泣いても笑っても、なんとか話題をそらしても、目の前に広がるのは空席だらけの客席。
さすがに、西野が抱えている「みじめさ」に気がつかないワケがないでしょう。

意気込んで“絵本の直売会(自分で販売ブースを買ってやってたんです)”に出たはいいものの、見つけてもらえずに終わる日も珍しくありませんでした。

売るはずだった絵本の山を、再びダンボールに詰め込んで、車に運ぶ時間は、本当に「みじめ」でした。
手伝いに来てくれた後輩が胸を張れるような結果を出せなかったことが申し訳なくて。。

僕のその姿って、あんまり知らないですよね?
それもそのハズ。だって、人がいなかったんだもん(笑)
そもそも誰からも見られていない。

劇場に何千人も何万人も呼べるようになったのは、この数年の話で、200キャパの劇場で、お客さんが10人~20人しかいない単独ライブ(独演会)をすることなんて、頻繁にあったんです。

そんな日が、本当に何年も何年も続きました。

その時代に、僕がやっていたことは二つ。

一つ目は、「腐らずに前を向き続けること」
そして二つ目は、「コンテンツを磨き続けること」

愚痴に走らず、
誰かのアンチ活動なんぞに走らず、
とにかく前を向き、
とにかく自分に時間を使う。

そして、どこに持っていっても勝てる作品を作り、どのステージに出て行っても、その場を掌握できるスキル(話術)を磨く。
ここを徹底しました。

ちなみに、「今から3秒後に武道館のステージに出て、笑いに来たお客さんを2時間笑わせ続けて」と言われてもできますし、
「今から3秒後に武道館のステージに出て、ビジネスマンを2時間感心させ続けて」と言われてもできます。
それだけの修羅場をくぐってきたので(余裕ぎる)。

売れない時代は本当に長かったのですが、その間も「打席に立てたら、いつでもホームランを打てる準備」は続けていました。
ことエンタメに関しては、誰よりも努力しました。

売れない時代が長かったので、CHIMNEYTOWNの若手スタッフには「今の(お客様が来てくださる)環境は当たり前じゃないぞ」と伝えています。

ミュージカルでは演出助手を務めてくれたMOEKOさんが「オリジナル作品の自主公演で2000人を呼ぶ」と言った時は、「2000人は難しいと思います。潰れますよ。1000人ぐらいにしておいた方が(それでも難しい)」とお伝えしました。

コンテンツを磨き続けてきたので、一発逆転の裏技に逃げようとするサロンメンバーさんの首根っこを掴まえては「そんなので、上手くいくハズがないだろう」と言っています。

「やってみなくちゃ分からないじゃないか(by ルビッチ)」と返ってきた時は、

「やってみたんだよ」

と返しています。

そして、「クオリティーを上げることから逃げるな! お前の作品はまだまだウンコだ!」というパワハラを発動させます。

そんな言葉を吐いている間は、ずっと過去の自分を重ねています。
くれぐれも挑戦することを阻んでいるわけではありません。
「身の程を知り、勝つ準備を徹底的にやって、誰よりも挑戦しろ」と言っています。

自分に言い聞かせている部分もあるかもしれませんね。ごめんね。
とことん努力して努力して努力して、それでもチャンスがまわってこないことがザラにある世界です。
#あのイチローも2軍だったんだぜ

「っざけんな!」と思うことだらけだし、その後には、みじめさが襲ってくる。
それでも、腐ったら終わり。
それでも、やるしかない。

昨日のコメントを見た時に、「それでもやるしかないよ」以外の言葉(エール)が見つからなかったのですが、これは僕の語彙力の問題ではなくて、ここが、そういう世界なのだと思います。

野菜農家さんだけじゃなく、今、いろんな人が、同じような状況に立たされていると思います。
ご安心ください。
僕もそこにいましたし、そして、新しいジャンルに挑む度に、毎度そこに行っています。

お互い、めげずに頑張りましょう。
今度、野菜の直売会に立ち会った時は、大量に買います。
僕、野菜好きなんです。
いつも、美味しい野菜を作ってくださってありがとうございます。

それでは素敵な日曜日をお過ごしください。

西野亮廣キングコング

 

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