西野亮廣のエンタメsalon

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2022年02月12日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
「雪道でスリップしたくなければ、雪が深いところを選らんで歩け」という 結局何を伝えたいのか分からない『ことわざ』を思いついたキングコング西野です。
#急がば回れ的なやつ

さて。
今日は『飛行機ホテル』について、今、僕の頭の中でもボンヤリとまとめていることを共有したいと思います。

「この方向で進めます」という決定事項ではなくて、「このへんを押さえておいた方がいいのかなぁ。まだ分からないけど…」という話なのですが、今日は、その『前編』で、「そもそも、なぜ、『飛行機ホテル』をやるのか?」という根本の部分について、お話ししたいと思います。
#具体的な話は明日

世に共有されるのは、結果やノウハウばかりで、この「なぜ、やるのか?」という部分は、あまり出回りません。

ですが、僕らが生きる“秒速で変化を求められる時代”は、「自分達は何故それをやるのか?」が最も重要なコンテキストだと僕は考えます。
#コンテキストってナニ?

その目に見えない部分(理念・理由)を確立&共有しておくことこそが、そのチームや、そのチームを支える文化に柔軟性(対応力)を生み出し、さらには、“品質で差別化が図れなくなった時代”の集客力になるからです。

「芸人とは何か?」をキチンと定義することと似ているかもしれません。

僕は「芸人=姿勢・問題提議」と定義しましたが、その当時、「芸人=雛壇に出る人」とした人もいたわけで、「芸人やったら雛壇に出ろや!」と叫んでいた人達は総じて時代の対応に遅れました。

「なんで絵本を作るの?」
「なんで映画を作るの?」
「なんでミュージカルを作るの?」
「なんで歌舞伎を作るの?」
「なんで町を作るの?」
という質問に対しては、「芸人だから」の一言で片付くのですが、そもそもこれをやるには、「芸人とは何か?」をキチンと定義にしておく必要があります。

「キミは何故それをやっているんだ?」という質問に対しては、「面白いからやっています」だけでは、解像度が粗く、その分、応援の仕方も分からない。

「何故、それが面白いのか?」を自分の中で、もっと整理して、チームメンバーは勿論のこと、お客さんにも共有しておく必要があるでしょう。

そんなこんなで、今日(前編)は、「なぜ、『飛行機ホテル』をやるのか?」について、お話ししたいと思います。

 

人生の資産とは何だろう?

このサロンには経営者の方も多いですし、「経営者脳」で色々と考える方も少なくないと思うので、共感いただけるかもしれませんが……「解き方が確立されている問題」を解くように生きると、ある地点で、仕事の規模と満足度(幸福度)の比例関係が消滅する…という問題に直面します。

仕事が順調に(右肩上がりで)大きくなっていくのに対して、満足度は曲線を描いて、丘に乗り上げてしまう。

結局、「できること」を繰り返しているだけの生き方だと、結果は出ているんだけど、同時に、『数字の奴隷感(俺って何のために生きているんだっけ?)』も生まれてしまうわけですね。

そして次第に『今現在、挑戦し、応援されている人』が羨ましく見えてくる。
#ゴミの身体のその奥にはあの日の匂いがあるぅぅ🎵

そんな経営者をこれまで何人も見ていました。

「いやいや、そこまで分かっているんだったら、挑戦すりゃいいじゃん!」という話なのですが、それは、一人で生きている人の言い分です。

成功した経営者は「守らなければいけないもの」をたくさん背負っていて、自分のデタラメすぎる挑戦の責任をなかなか取れません。

「会社を売って一人になればいいじゃないか」というツッコミもあるかもしれませんが、「会社を売る」というのも、「従業員と、そのご家族の生活を他人にお任せする」ということなので、「お金だけくれたら、誰かれ構わず売りまーす」なんてできないんですね。
#できる人もいるけど

この問題を回避するには、『挑戦し続けるキャラクター』を早いうちから確立するしかなくて、「できるようになったこと」を積極的に後続(若手)に渡して、自分は『解き方を知らない問題』を積極的に選び続けるしかない。

その意識がない頃は、『今の自分じゃ扱いきれない代物』は負債でしかなかったのですが、
ある地点から、『今の自分だと扱えてしまう代物』が負債となり、
『今の自分じゃ扱いきれない代物』こそが人生の資産(活力)として輝き始めます。

「…ちょっと何言ってるか分からないんですけど」と思っているそこの貴方、御安心ください。
僕も何を言っているか分かっていません。
#感覚で話しています

イメージしやすいように具体的な話をすると…

20歳の時に始まった『はねるのトびら』が31歳の時に幕を閉じたのは個人的には良かったと思っていて……あの番組があと10年続いていたら(今日まで続いていたら)、きっと僕はいろんな挑戦や感動を取りこぼしていたことでしょう。

資産であったハズの仕事が、条件次第で、負債に変わることがある…という話です。

この話と、「まったくの素人が講師を招いて、1000人~2000人の講演会を主催する」という“勇者モード”を同じ棚には並べてないようにしてください。

責任を背負いきれない(誰かを傷つけてしまう)アクションを僕は「挑戦」とは呼んでいません。

それは、友達や家族を後部座席に乗せて、「無免許で、お酒も呑んでるけど、無事に目的地まで運転してみせる!」と言っているようなもので、「挑戦」ではなく、「犯罪」です。

さて。

友人から「飛行機(YS11)がヤフオクで出ているんけど、即決価格で買わない?」と提案された時、僕は、実に面白い人生のテーマだと思いました。

(※)YS11=第二次世界大戦後に初めて日本のメーカーが開発した旅客機

地球上にYS11がほとんど残って無いことから分かるとおり、「まもなく飛ばなくなる飛行機(飛ばなくなった飛行機)」なんて“金食い虫”もいいところで、負債中の負債なんです。

だから誰も持ちたがらないのですが……逆に言うと、これを上手く扱えるようになりさえすれば、世界で唯一の景色を作ることができる。

20代の僕が、こんなものを抱えてしまうと破産していたでしょうが、今なら(死ぬほど頑張れば)ワンチャンある気がしたんです。

「『飛行機を有効活用するには?』という難題こそが、現時点でのキンコン西野の資産である」ということを皆さんに共有した上で、そこに生まれる試行錯誤も皆さんに共有していきたいと思います。

明日は、「『飛行機ホテル』プロジェクトの現状」について、お伝えします。

お楽しみに!

現場からは以上でーす。

 

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