西野亮廣のエンタメsalon

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2022年03月04日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
スマホのメモ帳に「怪獣 DJ 森を作る!」と書いているのを先ほど発見して、昨夜は酷く酔っ払ていたことを確認したキングコング西野です。

さて。
今日は『現代の「ハレ」と「ケ」、その度合いを整理する』というテーマでお話ししたいと思います。
昨日の記事の続きのような内容です。

 

「祭」は集落の生存戦略
 
祭(まつり)の重要性に関しては、過去、このサロン内でも何度かお話ししたことがありますが、あらためて。

人類史を遡ると、地球上のあらゆる地域で「祭」がおこなわれています。
現代のようにインターネットで世界が繋がっている時代じゃないので、“しめし合わせたわけでもないのに”各地で「祭」が起きています。

これは何も世界中にバランス良くパーティー野郎がいたわけではありません。

いろいろ調べてみると、「祭」というものが、“集落を残す為に必要な手段”だということが分かってきました。
理由は大きく2つ。

一つ目は『「ハレ(非日常)」を設けることで、「ケ(日常)」の苦しさを乗り切れる』というメンタル的な理由です。

「残業続きでシンドイけど、来週はキングコングの武道館ライブがあるから、そこまで頑張ろう!」といった。

僕でいうと年末の『天才万博』が、それに該当します。

「ケ」しかない人生は、メンタルがやられちゃうそうです。
メンタルがやられると、もれなく体調を崩してしまうので、集落の労働力が落ちてしまう。
なので、「祭」が必要なんですね。

もう1つの理由は『子宝に恵まれないと集落が終わってしまうので、祭を設けて、男女を出会わせる』です。
子供は次の時代の労働力なので、そもそもの「恋仲になる」「カップルを増やす」ということが、集落にとっては非常に重要なんですね。

一説には、祭に「仮面」や「お面」が付いてくるのは、「立場を隠したい人が祭に参加できるように」という理由があるそう。
#なるほど

いずれにせよ、集落(コミュニティー)を存続させる為には「祭」というものが必要になってきます。

さて。
本題はここから。

 

僕らの非日常はどこだ?
 
今日は午後から、とある企業さんとメタバース(仮想空間)の打ち合わせが入っています。
昨日の記事に書いたようなことです。

細田守監督が『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』で描いた世界観はとっくに始まっていて、いよいよ無視できないぐらいに盛り上がってまいりました。

しかし、まぁ、そんなものは今に始まったわけではなく、考えてみりゃ、とっくの昔から、僕らは『街を歩く時間』よりも、『ネット内を回遊する時間』の方が増えています。

今、この瞬間もそうですね。

何をもって「日常」と呼ぶのか、その定義は少しフニャフニャしていますが、「投下した時間が最も長いもの」を日常と呼ぶのならば、僕らの日常はネットの中にあります。

生身の「けんすうサン」を見ても、「けんすうサン」とは判断できないけれど、けんすうサンのプロフィール画像(変なロケットみたいなヤツ)で「けんすうサンだ!」と判断できる人もいるのではないでしょうか。

僕自身、「アバターしか知らない」という人は結構います。

『竜とそばかすの姫』のような世界が来るのは少し先だとしても、ジワジワとその世界に向かっていることは間違いありません。

乱暴に整理すると…

昔はこんな感じ↓

オフライン→日常
オフラインイベント→非日常

そんで、今はこんな感じ↓

オンライン→日常
オフライン→半日常
オフラインイベント→非日常

何が言いたいかというと、「オフラインイベントが、昔よりも日常から遠くなっている(ハレ感が増し増しになっている)」ということです。

これは、先日の武道館イベントで確信したのですが、「生身の人間が(物理的にも好み的にも)同じ方向を向いている」ということ(ただそれだけ)の異常さは、昔に比べて格段に上がっていて、明らかにお客さんの興奮を感じました。

コロナもあり、今は特にオフラインイベント開催の難易度が上がっています。
実際に、オフラインイベントから撤退したチームもたくさんいます。

ただ、人類史を見ると「非日常の創造」こそが集落の生存戦略で、非日常の創造を放棄した集落は、かなりハードな運命を辿ります。

ネットの中に「日常」を移した(お引っ越しした)人々は今、安心安全に開催されるオフラインイベントを求めています。
安心安全に開催するには、それだけの費用がかかります。
ソーシャルディスタンスをとるとチケットの売上げは激減するので。

だけど、そこをなんとかしなくちゃいけない。
#キングコングの武道館ライブは上手くやれました

オンライン(仮想空間)の開発を進めながら、同時に、非日常(ハレの目)の開発をこれまで以上に丁寧にやる必要があると考えています。
別の言い方をすると、「オフラインイベントが設けられていないオンラインの街は弱い」です。

スマホのメモに残っていた「怪獣 DJ 森を作る!」というダイイングメッセージは、おそらく、そんなところなのだと思います。

今日はこれから仮想空間の打ち合わせ。
また、進捗を共有しますね。

現場からは以上でーす。

 

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