2022年03月08日のエンタメ研究所の過去記事
おはようございます。
「コンニャクって蟹みたいな味だよね」という言い分が共感されたことが一度もないキングコング西野です。
#蟹みたいな味するじゃん
さて。
今日は『物語を織り込むことを忘れちゃダメだよね』というテーマでお話ししたいと思います。
武道館ライブのオンライン配信チケット
『毎週キングコングin日本武道館』のオンライン配信チケットが、昨日の時点で「1万8728枚」を売り上げたそうで、(テレビの企画を抜いた)お笑いのコンビの単独公演としては、記録的な結果だそうです。
#オフラインの売り上げを足すと約2万5000枚
【2021年(下半期)オンライン公演ランキング】
→https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001258.000029501.html
『毎週キングコングin日本武道館』のオンライン配信チケットは3月15日まで販売するので、「2万枚」は突破しそうだす。
#だす
※配信チケットはコチラ→https://l-tike.zaiko.io/e/kingkong
要するに“バズっている”わけですが、勿論、これは「たまたまバズった」わけでなく、「どのタイミングでオンライン配信チケットの販売を開始して…どのタイミングで、どのYouTube動画をアップするか?」などの議論を繰り返した“大人の下心の賜物”であります。
#そして何より皆様の応援のおかげ
ただ、
自分は日頃からオンライン配信チケットを販売している身なので痛いほど分かるのですが、そういった「足し算」的な考えだけでは、「2万枚」には到達しません。
#いつものオンライン勉強会は1万枚程度
今回は明らかに「化学反応」が起きていて、その答え(掛け算先)を僕は『物語』だと見ています。
「内容×広告戦略×物語」という計算式です。
僕らは下手に技術を身につけてしまうと、そこばかりに目を向けてしまいますが、しかしながら、僕らが相手にしているお客さん(人間)は、「感情が動いた時に買う生き物」だということを忘れてはいけません。
お買い物の際の判断基準の一つである「お買い得」も、相対的な数字によって生み出された「感情」に他なりません。
大切なのは「お客さんの感情を動かすこと」であり、『毎週キングコングin日本武道館』は「キングコングの物語」が、お客さんの感情を動かしたことは間違いありません。
それを後押ししたのは(物語の輪郭を明確にしたのは)、今回の舞台セットとなった『川西の夜景』で、あの夜景(夜景スポット)は、知る人ぞ知るキングコング結成の地であります。
今回の武道館公演は、
川西の夜景を眺めながら19歳のキングコングがかわした
「これだけの人を笑わせようと思ったら大変やな」
「俺たちだったらできるよ」
という“臭み極まりない約束”が、回収された回であったわけです。
ポイントは、「背景(舞台セット)に川西の夜景を背負っていなかったら、その物語を重ねるお客さんの数が格段に減っていた」という点で…嫌らしい話ではありますが、二人の物語を想起するように仕向けたのが、今回の勝因だったように思います。
武道館公演の美術セット&照明のテーマが、たとえば「ジャングル」だったら、今回のような結果は出ていなかったでしょう。
若い頃は『天然』、年齢を重ねたら『養殖』
今日の話は「お客さんの感情を動かす為に『物語』を織り込むことが大事っす!」という内容なのですが…気をつけなきゃいけない点が一つ。
それは、「若い頃は勝手に(無自覚に)『物語』が付いてくる」という点です。
右も左も分からない業界に飛び込んでいくその姿をそのまま晒すだけで物語性があり、お客さんの感情にダイレクトに訴えかけます。
しかし、年齢(経験)を重ねると、そうはいきません。
「技術」と引き換えに、「物語」は霞んでいき、お客さんの感情を動かしにくくなります。
#娘のピアノの発表会の真逆
要するに、年齢(経験)を重ねた人間の新たな宿題は、「自覚的に『物語』を創造・演出していくこと」で、「自分が辿った歴史(自分の手札)を、どうプロジェクトX(プロフェッショナル@NHK)的に魅せていくか?」が、メチャクソ重要になってくる。
「エモさ」は決して数値化することができませんが、しかしながら、安く見積もると痛い目に遭います。
集客に苦戦しているプロジェクトを見ると、大体が「面白いけど、エモくない」で片付けられます。
大切なコトなので、繰り返しますが、若い頃には自然発生していた『物語』は、年齢を重ねると養殖しなくちゃ生まれません。
そして、『物語がない商品』は、お客さんの感情を動かすのが、とても難しい。
自戒を込めて、皆様に共有しておきます。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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