西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2022年03月28日のエンタメ研究所の過去記事

3月28日(月) ※3月30日以降は『いいね』を押さないでください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
おはようございます。
毎週キングコングの収録で「あ。これ、梶原君、炎上するな(笑)」と思いながらも、黙って続けるキングコング西野です。
さて。
今日は「つまるところ『物量』とは何か?」というテーマでお話ししたいと思います。
※少しセンシティブなテーマ(戦争のこと)を取り扱うのですが、ここでお話しするのは「仕組み」の話であって、戦争を肯定しているわけでもなく、特定の国(思想)に肩入れしれているわけでもないことを最初にお伝えしておきます。
━━━━━━━━━━━━━━
▼ 物量の源となるもの
━━━━━━━━━━━━━━
先日、知人と戦争の話になりました。
そのへんの話は疎いので(「ゼレンスキー大統領のビジュアルって、Voicy代表の緒方さんっぽい」ぐらいの意見しか持っていないので)、基本、僕は「聞く専門」です。
その席で、「なるほどなぁ」と思った話があります。
「なぜ、日本はアメリカに負けたのか?」という話です。
多くの人は「アメリカには物量で負けた」というイメージを持っていると思います。
僕もそうです。
なんか「日本は資源が少ないから、戦争が長期化すると必ず負けるんだよ」と学生時代に聞いたことがあるし、「日本は資源が少ない」は事実でしょう。
まぁ、「物量で負けた」という結論は、おおかた間違っていないと思います。
なんか、アメリカって大きいし、資源もたくさんありそうだし。
ただ、ここで見落としちゃいけないのは、「『物量=資源』なのか?」という問題です。
「うまく使えていない資源」は「資源」としてカウントされないわけですから、たぶん、『物量=資源✖️資源を使う力』という式が正しいのかなぁと思います。
その上で、アメリカは日本に“ 物量で勝った”。
さて。
当時のアメリカは日本に対して、どう戦い、物量で勝ったのでしょうか?
皆さんも一度は聞いたことがあると思うのですが、当時「世界最強」と謳われた日本の『ゼロ戦零式艦上戦闘機)』って、ものすごかったらしいです。
開発技術(技術者の能力)も、操縦技術(パイロットの能力)も、ものすごかったんですって。
そのへんはテキトーに調べていただきたいのですが、とにもかくにも、超一流の技術者が超一流の環境でこだわり抜いて作り、超一流のパイロットが鍛え抜いて操縦したそうです。
一見聞こえは良いですが、裏を返すと、「超一流の技術者」や「超一流の環境」がないと作れないし、「超一流のパイロット」がいないと飛ばせません。
つまり【量産】できない。
ゼロ戦を作ろうと思ったら、「どこどこの工場まで言って、○○さんにアドバイスをもらって、そこから牛車で運んで…」みたいなことをしなきゃいけなかったそうです。
一方、アメリカは、めちゃくちゃ雑に言うと「あんまアップデート(追及)しなくて良いってば!! そんなことしたら、皆が作れなくなるじゃん!!」です。
思考が、フランチャイズ(チェーン店)なんです。
マクドナルド的」とでも言いましょうか。
これによって、極端に言えば「どこでも戦闘機を作れたし、誰でも操縦できた」
(※実際には「どこでも」「誰でも」というわけではありませんが)
もちろん、それを可能にするだけの「資源」が日本にはなくて、アメリカにはあったからではありますが、これらを一言でまとめると「職人性の敗北」です。
「職人にしか作れない」「職人にしか扱えない」は、こと物量戦においては負けなんですね。
これが顕著に出ているのが、今現在おこなわれているロシアとウクライナの戦争で、今の切り取り方で今回の戦争を見ると「物量」で勝っているのは、明らかにウクライナです。
「ロシア軍がウクライナの民間人を攻撃している。最低な奴らだ!」という報道がされていますが、今回(現代)の戦争は僕らが学生時代に習った戦争(民間が民間である戦争)とは全然違っていて、ウクライナの普通の主婦(子育て中のお母さん!)が、イケイケのベンチャー企業が開発した「素人でも扱える武器」を使って、ロシアの戦車をガンガン破壊しているんです。
『ジャベリン』とかいう名前の、スイッチが二つぐらいしかない携帯兵器(対戦車ミサイル)です。
ヒョロヒョロの僕でも扱えるそうです。
『ジャベリン』はそこそこ高いらしいのですが(一発2000万円ぐらい?)、この費用(あるいは兵器そのもの)をゼレンスキー大統領が【クラウドファンディング】で世界中から集めているのが今回の戦争です。
支援を集めること(応援してもらうこと)がゴールなので、応援したくなるビジュアルが需要になってくるので、ゼレンスキー大統領がスーツを着ない理由は、その演出(現場で頑張ってます感・庶民感)もあるのでしょう。
今起きているのは、僕らが知っている戦争ではなくて、バーベキュー型の「戦争2.0」です。
ただ、「国民全員参加の戦争」を「戦争2.0」と呼ぶのであれば、竹やりで「エイヤー!」と言っていた戦時中の日本もそれに該当してしまいますので、そこは明確に分けなければなりません。
今回のポイントは「竹やり」が「ジャベリン」になっている点で、どちらも同じ「素人でも扱える武器」ではありますが、後者には製造段階で圧倒的な才能が介入しています。
「超一流のプロが誰でも扱える素材を作る」が現代の物量であり、これは戦争に限った話ではありません。
勘の良い人は薄々気づいているかもしれませんが、僕は今、お遊戯会『えんとつ町のプペル』のことを考えながら、この文章を書いています。
目下の課題は、「美術セット」で、「超プロがゴッリゴリに作りこんだ美術セットを、幼稚園や保育園の先生が無料でダウンロード&プリントアウトできる状況を作れないかなぁ」と思っている西野ゼレンスキーです。
現場からは以上です。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
』を付けてTwitter(本アカ)で呟いていただけると、西野がネコのようになついて、フォローさせていただく場合がありますので、感想よろ!
 
▼オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』入会はこちら ↓↓↓