西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2019年12月04日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
スリランカに来て、朝から晩までホテルに籠り、2日連続で日本食を食べ、いよいよ「これだったら日本でよかっただろ」と思い始めているキングコング西野です。
さて。
オンラインサロンの『コメント欄』を見るのが、結構好きです。いや、かなり好きです。
反対意見があっても、「もっと、こうすればいいと思う」という“生産性のある(みんなが前に進む為の)反対意見”しかなくて、気持ちがイイです。
基本的に僕は『個性』と呼ばれるものをあまり重要視していなくて、『個性』というのは『環境』がもたらしてくれるものだと思っています。
Twitter村にドリームキラーが大量発生しているのは、他人の夢を壊したり、否定したりすると、自分に何かしらのポイント(快感)が入る構造になっているからだと見ています。
ヒューマンエラーではなく、システムエラーですね。
「その人がもともとドリームキラーだったわけではなく、Twitterというシステムがその人をドリームキラーにさせた」という整理です。
オンラインサロンのコメント欄にドリームキラーが生まれないのは、「ここでドリームキラーになっても、自分に何のポイントも入らない」というシンプルな理由だと思います。
そんな中、昨日のコメント欄の動きは、いつも以上に面白かったです。
勉強になりました。
昨日のお題は「原稿で気になった部分の手直しをして」だったのですが、次から次へと出てくる出てくる手直しの雨あられ
個人的に恥ずかしかったのは、『アフォーダンス』の使い方を微妙に間違えておいて、締めの文章で「ごらんのとおり、僕は横文字が苦手だから、この本でも横文字を使わないよ」と回収したつもりだったのですが、まるで伝わっておらず、ゲロスベリしたこと。
普通に「アフォーダンスの使い方を若干間違ってますよ!」という指摘がたくさん飛んできちゃいました。
文中でも「アフォーダンスの使い方を若干間違っていたよ」と自ら白状しているのですが、どうであれ、伝わらなかったら負けです。
伝わらないことが出版前に分かってよかったです。
一方で、意見を求めておいて何ですが、全員の意見を反映するつもりは毛頭ありません。
人は「面白さ」に惹かれて、「正しさ」には惹かれないので、「正しさ」に走ろうとする意見は無視です。
典型的なのは「ら抜き言葉」で、世の中には鬼の首をとったかのように「ら抜き言葉」を指摘してくる人がいますが、「朝早く起きられる」よりも「朝早く起きれる」の方が伝わるので、たとえ正しい表現でなくても僕は伝わる方を選びます。
「可愛すぎる」よりも「可愛いすぎる」と表現する方が童貞感が増して、目の中のハート量が多くイメージできるので、僕は「可愛いすぎる」という間違った日本語を選びます。
この僕と真逆の方向に走っている本が『教科書』です。
全員の「正しい」を反映し、全員が読みたくならない本が『教科書』です。
昨日のコメント欄では「教科書」方向に向かおうとする(正しい)意見もあれば、「教科書を書くのなら別に西野じゃなくてもいい」という意見もあって、いろんな人がいて面白かったです。
チーム運営の観点から特に勉強になったのは、コメント欄の後半の方に現れた、
「文中に『辞書で引いてください』とありますが、今はスマホが片手にあるのが当たり前だから、そこは『ネットで検索してください』にしてもらわないと“話が入ってこない”です」
というコメント。
「話が入ってこない」というのは嘘か誇大表現だと思います。
僕は絵本作家という仕事柄、小学生と遊ぶ機会がそこそこあるのですが、彼ら世代ですら、「辞書で引いて」という言葉を、「ググって」「検索して」に脳内変換する経験ぐらいは、これまで何度もしているハズで、現代人が「辞書で引いて」でブレーキがかかるとは思えません。
つまるところ「『辞書で引いて』は伝わらない」は「ためていた不満」ではなく「作り出した不満」で、『忌憚ない意見を募集すると、不満を製造し始める場合がある』ということを学びました。
くれぐれも、このコメントをくださった方を否定しているわけはなくて(※むしろメチャクチャ感謝してる!)、『ヒアリング』には「不満が聞ける」というメリットと「不満を産み出してしまう」というデメリットがあることが分かりました、という話です。
ここ数年でようやく「共創」という概念が浸透してきました。
ただ、今度の『大阪万博』を見ていても思うのですが、共創経験の少ないオジサン達が見様見真似で「皆で作ろー!」とか言い出していて、このまま進めると大失敗すると思います。
ヒアリングしまくって、もともと存在しなかった不満を大量生産するか、
皆の意見を反映して、誰からも愛されない「東京五輪のマスコットキャラクター」みたいな仕事を量産することになるでしょう。
皆で作るのは、プロだけで作るよりも何倍も大変だし、センスもいるし、なにより「皆に意見を求めるけど、べつに、全員の意見は反映しないよ」と言い切っても許される傲慢でキュートなキャラクターが必要です。
皆と一緒に作るには、どの部分を委ねて、どの部分を委ねちゃダメなのか?
皆と一緒に作るには、自分はどういうキャラクターでいなければいけないのか?
そんなことを、オンラインサロン運営で毎日学ばせてもらっています。
いつもありがとう。好きです。
昨日、皆様から御意見をいただいた『リーダーの歩き方(仮)』は必ず面白い本に仕上げますね(*^^*)
現場からは以上でーす。
 
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