西野亮廣のエンタメsalon

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2020年10月18日のエンタメ研究所の過去記事

10月18日(日) ※10月20日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
空港の持ち物検査の時にバツの悪い表情を作って、係員に「コイツ、何か隠し持っているかも…」と思わせる不毛なイタズラを時々仕掛けているキングコング西野です。
さて。
今日は「『やきとり大吉』という最先端」というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ 現代の戦い方をあらためて整理する
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ここ1年ぐらいの僕の活動のベースとなっている考え方は、だいたいこんな感じです↓
・あらゆるサービスの品質があがった。
・品質(機能)で差別化を図りにくくなった。
・品質(機能)がコモディティー化すると「誰から買うか?」の勝負になってくる(=人検索)。
・スモールビジネスは特に『人』を売ること(人として繋がっておくこと)が大事。
・「オンライン化」は、自社製品を世界ランカーと同じ商品棚に並べる作業なので、不用意に手を出さない方が吉。
・弱者は「弱者の戦略」をキチンと取る。
・「機能」は秒速でコピーされるが(すぐに価値を失うが)、「土地」はハックされにくいので、「良い土地」があれば迷わず押さえる。
・「機能」は秒速でコピーされるが(すぐに価値を失うが)、「人間関係」はハックされにくいので、積極的に「人間関係」を築く。
・「顧客=商品を買う人。ファン=サービス提供者を応援してくれる人」と定義し、「自分の店は何人のファンがいれば回るか?」を把握しておく。
・「50人で回る店」ならば、SNSなんぞに精を出さずに、地元住民との付き合いにフルコミットするのが吉。
・ネットの発信が供給過多(タイムラインは宣伝ばっかり)になっているので、オフラインで人に会いまくっているヤツが結局一番強い。
……他にもあるかもしれませんが、パッと思いつくのが、こんなところです。
僕はこれをベースに、自分のお仕事を設計しています。
なので、僕の活動を因数分解すれば、それぞれのパーツは転用できるのですが(※一部を除く)、結果だけを見る人は「そりゃ、西野だからできるのとで、私はマネできないよぉ~」となってしまいます。
なので、今日は、今僕が一番イケてると思っている『やきとり大吉』(ダイキチシステム株式会社)の話をしたいと思います。
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▼ 人検索時代の雄
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先日、テレビ東京『クロストークラウンジ』(11月1日放送)の収録で、『やきとり大吉』を運営するダイキチシステム株式会社のスタッフさんとお話しさせていただきました。
『やきとり大吉』は全国に650店舗ほどあるので、御存知の方も多いかと思います。
赤い看板に黒字で『大吉』と書かれた、あの店です。
話を聞けば聞くほど、『やきとり大吉』のシステムが「現代マーケティングの基本」をバッチリと押さえていることを知ります。
聞けば、『やきとり大吉』の店の大きさには決まりがあって、「約10坪」だそうです。
その理由は、「どの席からも店主の顔が見ることができる広さ」です。
『やきとり大吉』は、いわゆる「チェーン店」とは違い、お客さんを店ではなく「店主」に紐付けていて、仕入れや一部のメニュー構成・焼き鳥のたれ作りなどを店主に委ねており、「『やきとり大吉』に行こう」ではなくて、「山本さん(店主の名前)の店に行こう」となるように設計しているそうです。
【顧客】ではなくて、【ファン】で、店を回すようにしているのです。
調べてみると分かるのですが、『やきとり大吉』は、あまり駅前になく、どちらかというと住宅街にあります。
その理由を聞いてみると、これがまた面白い。
理由は3つです。
①駅前だと赤色看板だらけで、赤色看板が目立たないから。
②焼き鳥という単価の安い商品の敵は「家賃」だから、家賃の高い駅前は外す。
③住宅街の人達に愛されたら、店がまわるから。
③なんて恐れ入ります。
そうなんです。10坪の店なら、SNS展開なんて要らねーんです。
100メートル圏内に住んでいる人を確実にファンにすればいいんです。
その結果、『やきとり大吉』は浮き沈みが激しい飲食業界の中で、なんと、8割の店主が10年以上店舗を運営しているそうです。
変化球など一切投げず、店のランニングコストを計算し、削れるところはキチンと削る。
店のサイズを把握し、必要ファン数を把握し、サイズに合わせた当たり前のマーケティングを当たり前にする。
『やきとり大吉』は、これによって、コロナを乗りきれたそうです。
『やきとり大吉』から100メートル圏内に住む地元住民が「山本さん(店主の名前)を応援しよう」と、支援するように、テイクアウトで焼き鳥を買いに来てくれたとのこと。
当たり前のことを当たり前にする。
逆に、どうすれば、この頑丈な『やきとり大吉』が潰れると思います?
たぶん、こんなところです↓
・斬新な料金設定。
・まったく新しいビジネスモデル「クラファン×焼き鳥」の可能性を探る。
・地元住民との交流を後回しにして、SNSの発信に精を出す。
・集客をサロンメンバーに頼る。
ここまで話すとお分かりだと思いますが、全部裏目です。
インフルエンサーでもない人間が、インフルエンサーの(思考ではなく)「答え」だけを真似ると、大体こうなります。
僕は計算オタクなので、端から見たら突飛な答えであろうと、その裏には、その答えに辿り着くまでの地味な計算式(型)が明確にありますので、僕の「答え」ではなくて、その部分を抽出&転用していただけると嬉しいです。
『やきとり大吉』の戦略は、どう考えたって、現代のスモールビジネスに合っているので(しかも西野よりも身近な例だと思うので)、要チェックです。
現場からは以上でーす!
【追伸】
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2020年12月25日公開!
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