西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2022年04月04日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
新しいパスを覚えたので是非皆さんに見ていただきたいキングコング西野こと「やる気のあるサッカー部」です。
#どんだけハマっとんねん
 
さて。
今日は「想像しあえるチームをどう作るか?」というテーマでお話ししたいと思います。
 
チームビルディングの話です。
 
 

多くの労働者は自分のアドバンテージを読み取れない
 
昨日、自分の気持ちを正直に白状したところ、大変な反響がありました。
(※昨日の記事をまだ読まれていない方は先にそちらをお読みください)
 
昨日のコメント欄に届いたコメントをまとめると、大体こんな感じ↓

① ほぼ全ての経営者&上司が、部下に対して「この環境は当たり前じゃないんだよ」と思っている(悩んでいる)。
 
② ほぼ全ての経営者&上司が、「私の頑張りのおかげなんだよ。もっと私に感謝して」と曲解されてしまうリスクから、「具体的にどの部分が“当たり前”じゃないのか?」を部下に言えない。(言えばいうほど自分の頑張りアピールと捉えられる)
 
③ ほぼ全ての経営者&上司も、自分が従業員(部下)だった時は、今の環境が「当たり前」だと思っていた。
 
雇う人と雇われる人、あるいは上司と部下の間で何が起きているのか?
 
それがとても分かりやすかった「堀久恵さん」のコメントを抜粋させていただきます。
 
 
〓〓〓
 
【堀 久恵】
 
「まさにわたしも日々同じことで悩んでいるので、激しく共感し、また励まされました
そのことで悩んだら、思い出すことがあります。
 
わたしも雇われている時『当たり前じゃないんだよ!』
と上司に言われて、
『いや、当たり前だなんて思ってないのに、何その恩着せがましい言い方…。わたしは感謝もしてるつもりだし、自分なりには一生懸命やっているつもりだけど…(以下略)』
と思ったことがありました。
 
その後、独立して自分で0から集客しなければならない状況になってはじめて、集客の難しさを知り、やっと当時上司の言っていた意味がわかりました。」
 
〓〓〓
 
 
経営者や上司は自らの経験から「今の環境を当たり前だと思わない人(=自分のアドバンテージを正しく判断できる人)」が伸びることを知っているので、そのことを部下に伝えるものの……部下には刺さらない。
 
少し話はズレますが、かく言う僕も小学校建設で「ラオス」(※後開発途上国)に行くまでは、「アスファルト」の有り難みに気づけませんでした。
舗装されていない道を行く車のスピードって、歩くのと変わらないんです。
 
その後、ラオスに行った弊社スタッフの瀬戸口も「アスファルトって当たり前じゃないんですねぇ〜、ありがたいっすねぇ〜」と僕と同じ感想を持って帰ってきました(笑)。
 
最初からあるものの価値を正しく判断するのって、とっても難しいです。
 
僕が知る限り「上司」は2パターン存在しています。
「自分と同じ苦労をさせたい上司」と
「自分がした苦労はしなくていいから、次に進んで欲しいと願う上司」です。
 
僕はどちらかというと後者です。
僕がした苦労を後輩にさせてしまったら、チームとしては都度都度リセットされてしまう(僕がした苦労・土台作りが無になる)ので、「僕がした苦労はしなくていいから、とっとと次に進んで、僕ができなかった苦労(より大きな挑戦)をしてください」と思っています。
 
ただ、
 
「僕がした苦労はしなくていい」ということと、「僕がした苦労は知らなくていい」ということは全く別です。
僕がした苦労を知っておいた方が「強みを活かす」という方向に正しく舵を切れるので、知っておいた方がいい。
 
僕と同じように考えている経営者(上司)は少なくないのではないでしょうか?
だけれど、どれだけ言っても伝わらない。
あるいは、(恩着せがましいと思われるから)伝えられない。
 
 

どうやって伝えるか?
 
これに関して僕自身が明確な答えを持っていないから昨日のような記事を書いたわけですが……一つあるとするのであれば、「『当たり前じゃない環境』を作った本人に言わせない」ということだと思っています。
 
つまり、経営者と従業員、上司と部下…の間にいる人間が、「この環境は当たり前じゃなくて、今、キミが受け取っているアドバンテージは○○なんだよ」ということを、俯瞰の立場(セカンドオピニオン)から伝える。
 
もちろん、それで全て伝わりきることはないと思いますが、少なくとも(本人が言っているわけではないので)「恩着せがましさ(誤解)」ぐらいは消すことができます。
本人の言葉よりも、耳に入って来るでしょう。
 
チームを作る段階で、この役目を担う人をキチンと決めておいた方がいいんでしょうね。
 
…そういえば、面白い話がありました。
 
ミュージカル『えんとつ町のプペル』を作っていた頃、製作費(キャスト&スタッフのギャランティー)を捻出する為に、公演終わりに西野と数人のメンバーでおこなう「アフターイベント」を入れたんです。
 
製作費を捻出することが目的なので、ステージ上にギター一本だけおいて、あとは僕のトークです。
そうすればアフターイベントの費用がかからず、アフターイベントの売上を、本公演の製作費にまわすことができます。
 
ところが蓋を開けてみると、アフターイベントにほぼ全てのスタッフが残って(ただ見守るだけ)、そのスタッフの「残業代(謎の見守り代)」が発生し、挙句、キャストさんからは「やっぱ、西野もステージに出たくなっちゃった?」と言われる始末。
 
スタッフさんが残らなくていいように(お金が余分に発生しないように)イベントを構成したのに、これでは意味がありません。
 
そして、キャストさんには「ステージに出たかったから、ミュージカルのステージを利用して、自分が主役のイベントを企画した」と伝わっていました。
#とほほ
 
この時のミス(僕のミスでもある)は、「何の為にアフターイベントをやるのか?」をチーム全員に伝える「伝達役」を設けなかったということ。
僕も含めて、「西野以外の誰かがチームの皆に伝えているんでしょ」と思っていた。
あるいはチームの皆に伝えることを甘く見ていた。
 
これは誰か一人のミスではなく、伝達役を決めておくことをしなかったチーム全体のミスです。
僕自身、「何の為にアフターイベントをやるのか?をチームの皆に伝える役を誰にする?」という提案をチームにするべきでした。
 
チームというのはこういう細かいところから作っていかなきゃいけないんだなぁと思いました。
 
 
最後に。
 
このサロンに所属している従業員さんや、部下の立場にある方に、僕の方からは、
 
「あなたが向き合っているお客さんや、あなたが扱っている商品、あるいはあなたが座っているデスクは『当たり前』じゃなくて、独立すれば全て無くなります。
 
銀行はまとまったお金を貸してくれませんし、
借金をして店を出したところで、お客さんは来ないので、借金は増え続けます。
大きな企業に企画を持ち込んだところで、取り合ってもらえません。
 
今、手足を動かせばお金が貰えるのは、『手足を動かせばお金を貰える環境』があるからで、それは当たり前ではありません。
 
そして、そのことを、あなたの会社の社長さんや、上司は、あなたに言えません」
 
とお伝えしておきます。
 
互いが生んでいる価値を理解しあい、感謝しあって、一緒に前に進めると最高っすね。
 
現場からは以上です。
 
【追伸】
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