西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年06月02日のエンタメ研究所の過去記事

6月2日(火) ※6月4日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昨日、このサロンに入っている友人から「西野のサロンの『未払い』って、金額にして、どれぐらいなの? ぶっちゃけ、そこまで大きくはないでしょ?」と、しつこく訊かれたので、「6000万円チョイだよ(真実)」と答えたキングコング西野です。
さて。
今日は『NORA美容室から学ぶ2020年代生存戦略』についてお話ししたいと思います。
(僕を含めた)すべてのサービス提供者さんに心当たりがある内容だと思います。
長くなりそうなので、今日と明日で「前編/後編」に分けてお届けします。
前編は、若干、短いですが、区切りの良いところが、そこなので、御理解ください。
それでは、どうぞ。
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▼ コロナちゃんから学ぶこと
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2020年春。
僕らは新型コロナウイルスに襲われました。
経済活動の大前提である『移動』が止められてしまうという、全てが想定外の出来事で、リーダーの手腕・知識・人間性が問われた季節でありました(まだ続いているけども)。
どうすることもできなかった店もあれば、対応を誤って潰れた店(まもなく潰れる店)もあります。
美容室にスポットをあてると、『悪手』だったのは、緊急事態宣言(※美容室は休業要請から外れていた)を受けて、自身の哲学に従って店を休業し(そこまでは良かったのですが)……営業を続けている他店を攻撃してしまった店は、軒並み潰れたor瀕死状態です。
「大々的に批判してしまった手前、『緊急事態宣言の解除=営業再開』という自分ルールに首を絞められ、営業再開が出遅れたパターン」です。
5月の売上(キャッシュ)が確保できなかったのは痛いし、それより何より、自分の店のお客さんが他店に流れてしまったのは、今後、ボディーブローのように効いてくるでしょう。
『批判』は自分を正当化できるし、身内からのポイントを稼げてしまうので、ついつい手を出しがちです。
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▼ 今から、ちょっとエグい話をしますね
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『オセロ』が強い方は、このへんを肌で理解されていると思いますが、オセロって序盤で相手を押さえ込みすぎたら(石を取りすぎたら)ダメなんです。
「打ち手が減るから」です。
オセロって、当然、自分の石は取れない(ひっくり返せない)ので、自分の石の隣には手を打てない(石を置けない)んですね。
序盤で石を取りすぎると、つまり、打ち手(石を置ける場所)が減っちゃうんです。
そんなことをしていると、「相手にとって都合の良い場所」しか残らなくなって、仕方がないから、そこに石を置くと、まもなく、ひっくり返されます。
オセロで勝つには、この逆をするといいです。
つまり、
(逆転できるポイントだけを残して)相手に石を取らせまくる」んです。
まもなく相手は打ち手がなくなるので、あとはジワジワなぶり殺しにする感じです。
これは現実世界でも同じで、競合を潰そうと思ったら簡単です。
相手に批判させまくるんです。
そして、それをリツイートします。
まもなく相手は「批判した手前、今さらできない」となり、打ち手が無くなって自滅します。
(※昔から「西野を批判しない方がいいよ」と言ってきたのですが、これは「誹謗中傷されるのがヤダ」とかじゃなくて、「キミが死ぬから止めておいた方がいいよ」という忠告です。
要するに、この穴(罠?)にハマっちゃダメなんです。
とくに、今回のような不測の事態は「打ち手をたくさん持っておくこと」が最大のリスクヘッジで、それを自分から減らしてはいけません。
これは、これから始まる2020年代(ものすごいスピードでゲームチェンジが起こる時代)に必ず持っておかなくちゃいけないマインドです。
今回のコロナは、「批判を繰り返した人が打ち手を失い自滅していく様」をドキュメンタリーでお届けし、これには多くの「お笑い芸人」もハマってしまいました。
(※個人的には、これはツラい)
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▼ 打ち手を減らすな
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繰り返しになりますが、ここからは「打ち手をたくさん持っておくこと」が最大のリスクヘッジになります。
これを踏まえて、僕らは「自分達がどのタイミングで自分達の打ち手を減らしているか?」を把握しておく必要があります。
地雷の位置を把握しておく必要があります。
それは多くの場合『Twitter』です。
あそこはもう「批判大喜利」「斬り方大喜利」の舞台になっているので、そのことを踏まえて参加しないと、「いい感じに斬ってやったぜ。ムフフ」とニマニマしている翌日に自滅します。
もう一度言いますよ。
『変化の時代』に競合を潰そうと思ったら簡単なんです。
「批判させたらいい」ので。
幸いキングコング西野は(さすがに、もう)そんなことは絶対にしませんが、そこそこ賢い人は、この罠を確実に仕掛けてきます。
ハマっちゃダメだよ(^-^)
…というところで、前半戦は終了です。
本日のポイントは「(さすがに、もう)」です。
後半戦は、「NORA美容室が今回のコロナショックをどう乗りきったか?」そして、それが「2020年代にどう影響してくるか?」について、メチャクチャ具体的な話をしたいと思います。
テーマは『ファン』です。
お楽しみに!
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
 
』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
https://nora0427.base.shop/
 
 
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2020年06月01日のエンタメ研究所の過去記事

6月1日(月) ※6月3日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
英会話レッスンで一番最初に学んだ言葉が「I am ファンタスティック!」だったキングコング西野こと「どう考えたって性格が明るいヤツ」です。
さて。
昨日は『挑戦(応援)を続けるフレームワーク』について、お話しさせていただきました。
A○=やりたいコト
B○=できること
C○=相手の取り分
D○=自分の取り分
…というやつです。
(※詳しくは昨日の記事を御覧ください)
たとえば、僕が『雪だるまを作りたいヤツ』で雪だるまを作ったら、そのアクションはAとDの円が重なっている場所に位置します。
この場合の『自分の取り分』は、「作りたいものが作れて満足した」程度でしょう。
僕らが日常生活でやっていることは、大体、ココだと思います。
もし僕が『イイ感じの雪だるまを作る能力があって、雪だるまを作りたいヤツ』で雪だるまを作ったら、そのアクションはAとBとDの三つの円が重なっている場所に位置します。
この辺から若干「仕事」っぽくなってきますね。
SNSYouTubeで「クオリティーが高すぎる雪だるまを作ってみた」でバズらせることができるかもしれません。
そこでフォロワー(信用)が増えれば、本業の売り上げに繋げることができたりします。
(※楽器が上手すぎるばっかりに店の宣伝になってしまっている会社員の永田さん↓)
そんな中、雪まつりの主催者が「ハイクオリティーの雪ダルマが欲しい」と言い出したり、雪国の店主が「冬の間の店の看板となるハイクオリティーの雪ダルマが欲しい」と言い出したら、これまでのアクションが「仕事」として回り出します。
AとBとCとDの円が重なっている部分ですね。
挑戦(応援)を続ける為には、この位置でアクションを起こすことが必要だよね、という話です。
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▼ 「自分の取り分」を設計しやすくする
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昨日の復習みたいな内容で申し訳ないですが、C(相手の取り分)とD(自分の取り分)を一まとめにして『求められているコト』とすることも可能なのですが、そうしてしまうと、ついつい「自分の取り分」を外してしまいます。
D(自分の取り分)のフレームを設けておくことで、「自分の取り分」を設計に組み込む心理的ハードルを下げることが重要で、とくに、「永続的な支援活動」を企画する場合は、ここがメチャクソ大事です。
ずっと続けていく活動は、このフレームワークに当てはめて企画することいいと思うのですが、最後に、「ここは気をつけておいた方がいいよ!」というポイントについてお話します。
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▼与えすぎることで「相手の取り分」を奪うことがあるよ
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昨日、サロンメンバーの撫佐さんに英会話レッスンをお願いしてみました。
その際、レッスン料をお支払いしようかと思ったのですが、ギリギリでやめました。
友達の店に行った時に「友達だから、お代は要らないよ」と言われると、次から行きにくくなりません?
そのつもりは無いのに、次から店に行く自分が『無料につけこんでるヤツ』になってしまうからです。
要するに、『相手が受けとるサービスの適量』というものがあって、それを超えて与えてしまうと、相手の負担になってしまう。
もっと言うと「西野を店を利用して、西野の応援をした」という『相手のドヤ(取り分)』を奪ってしまうことになる。
「与えすぎると奪うことになる」というのも変な話ですが、SNS時代は「ドヤ」が大事で、「いいね」がポイントになっているので、相手が自分に対して与えようとしているものを拒む行為は、相手の為にならないんですね。
(…これ、伝わってますかね?要するに現代は「いいね」がお金になっているのだから、それを奪っちゃダメだよって話です)
おそらく英会話レッスンに関しては「西野がサロンメンバーに宣伝する」で十分満たされていて、プラスαで料金を支払ってしまうと、相手のポイントにならない。
ここの線引きを超大事で、自分が奪いすぎないように「ごちそう様です」をして、相手を勝たせること(しかし勝たせすぎないコト)が、長続きする挑戦や応援に求められていると思います。
もはや心理戦に近いです(笑)
「1回目のクラウドファンディングでは支援が集まったのに、2回目のクラウドファンディングではまったく集まらない」という人は、だいたい、ここの設計が雑です。
メチャクチャ考えてください(#丸投げ)。
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
 
』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
 
1人、、「zoom エホン 西野のZoomミーティ ーティング 583 83人が視聴中 12 0 チャット 共有 西野亮廣エンタメ研究所ラ 研究所ラ.. 登録済み チャンネル登録者数 26.3万人」というテキストの画像のようです

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昨日の英会話の先生「撫佐さん」のツイッターのフォローはコチラ ↓ https://twitter.com/MusaHitomi/status/1267216596331790339...

1人、、「エホン西野 エホン 西野のZoomミーティン 536 人が視聴中 دલ 12 0 チャット 共有 西野亮廣エンタメ研究所ラ 登録済み チャンネル登録者数26.3万人 26.3万人」というテキストの画像のようです

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、「A D B C」というテキストの画像のようです

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2020年05月31日のエンタメ研究所の過去記事

5月31日(日) ※6月2日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
サロンメンバーのクラウドファンディングのダメ出しをしながら、サロンメンバーのクラウドファンディングの宣伝をするキングコング西野こと「ステマ職人」です。
クラウドファンディングのリターンで『○○さん専用リターン』というのを時々見かけますが、(本人との関係性が築けていないのなら)止めた方がいいと思います。
いきなり支援者として指名されてしまった人が(事情があって)支援しなかった場合、「支援しなかったヤツ」というレッテルが貼られてしまいます。
相手が西野のような有名人だと更にタチが悪くて、西野の信用を落としてしまうことに繋がります。
これって『暴力』なんですね。
くわえて、西野が「西野専用リターン」に支援しなかった場合、そのプロジェクトは『西野に応援されていないプロジェクト』となり、ビックリするほど誰一人として得をしません。
クラウドファンディングのプロジェクーナーは支援先のこと、そして支援者のこと、そして自分のことを徹底的に考えなければなりません。
その辺、西野は全方位に配慮が行き届いているので、記録的にモテます。
是非、見習ってみてください。
僕は、おそらく今後も、サロンメンバーさんのプロジェクトを取り上げては「これは、やっちゃダメ」「こうした方がいいと思うよ」と言う場合がありますが、(マジで!)1ミリも怒っていなくて、シンプルにメチャクチャ応援しているということが伝わると嬉しいです。
あと、西野本人から指摘されたメンバーさんは少し凹んでいると思うので、残りの皆で全力で励ましてください。
サロンメンバーさん全員の挑戦を応援しています。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
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▼ 自分がやる仕事を決める際のフレームワーク
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たとえば今回のようなケースは「プロジェクトを企画する際に気をつけるポイント」を、あらかじめ認識しておけば良かっただけの話です。
ここはフレームに落とし込んで構造化した方がいいなぁと思ったので、今日は『挑戦や応援が続いていくフレーム』について、お話しした後に、ちょびっとだけ実践したいと思います。
有名なところでいうと、自分がやる仕事を決定する時に「will・can・must」のフレームがあります。
○will=やりたいコト
○can=できるコト
○must=求められているコト
…の3つの円が重なる部分に手をつけるとイイ感じの結果が出るよー、というやつです(#説明が長島監督的にザックリしている西野氏)。
そりゃそうなんです。
「自分がやりたいことで、自分ができることで、周りから求められていること」をやったら、イイ感じになるに決まっています。
自分がやる仕事を決める時に、このフレームにあてはめて考えるとスッキリするので、このフレームは持っておいた方がいいと思うのですが、個人的は『○must=求められているコト』の解像度をもう少し上げてもいいのかなぁと思っております。
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▼ 自分の体力が切れたら、応援できない
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僕はよく、ウチの社員さんやインターン生に「誰かを“継続的に”応援する時は、自分の取り分を設計しなくちゃいけないよ。ボランティアにしちゃダメだよ」という話をします。
復興が済んでいないのに、ボランティアが被災地から撤退する一番の理由は「自分の生活が立ち行かなくなったから」です。
当然です。
ボランティアで、貯金を切り崩しながら人助けをしていると、いつか必ず終わりがきます。
体力の切れ目が応援の切れ目で、誰かを応援し続けようと思ったら、必ず、翌日には体力が回復する設計にしておかなくちゃいけません。
この状態が「ビジネス」ですね。
物事を部分だけ切り取って見てしまう人は「人助けをビジネスにしやがって!」と批判しますが、人助けをビジネスにしないかぎり、人を助け続けることはできません。
「挑戦」も同様です。
「お笑い芸人がビジネスをしやがって」という批判もあるのですが、ビジネス化を後回しにすると、お笑いが無くなってしまうことは、今回のコロナで痛感したことでしょう。
さっきのフレームの『○must=求められているコト』は、言い換えると『相手と自分の双方に取り分があるコト』なのですが、どうも『自分の取り分』を含んでしまうことが「悪いこと」のようになってしまっていて、今日も各地で挑戦や応援が途絶えています。
このことは、これまで言語化してきたのですが、図式化した方がいいと思うので、やってみます。
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▼ 挑戦や応援を続ける為のフレームワーク
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挑戦や応援を続けていく為のフレームワークは(描いてみるとメッチャ単純)ですが、以下のとおりです。
A○やりたいコト
B○できるコト
C○相手の取り分
D○自分の取り分 
…この4つが重なっている点を狙うと、イイ感じになると思います。
今回のクラウドファンディングのリターンの設計でいうと、CとDの詰めが甘かったかもしれません。
Cには「支援される人」と「支援する人」の2種類の人間がいるということ。
そして、そこに属している「西野」の取り分が「えんとつ町のプペルの宣伝になる」だけしか設計されていなくて、信用商売をしている「西野の信用」が設計から漏れていたこと。
これらを、Cの円の中に書き出す必要があるんです。
Dの自分の取り分も同様に。
そして、ABCDが重なっている部分を突く。
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▼ 試しに、やってみよう!
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サロン会員が6万人もいれば、英会話教室を営んでいるサロンメンバーさんもいるでしょう。
僕はそのサロンメンバーさんを応援したいので、フレームワークにあてはめてみます。
Aやりたいコト
→英語が話せるようになりたい
Bできるコト
→お金を払う
英会話教室の宣伝ができる
C相手の取り分
→たくさんの人に宣伝できる(講師)
→西野とタイマンで話せる(講師)
→英会話を観れる(サロンメンバー)
D自分の取り分
→英語が話せるようになる
→無料でできる
→仕事の合間に自宅でできる
→サロンのコンテンツになって、サロンメンバーから「あざす」と言われる
…このABCDの中心は、『西野がサロン限定公開のZOOM配信をして、サロンメンバー向けに英会話教室の宣伝をするから、30分間無料で西野に英語を教えて』だと思います。
そうすると、西野は無理なく続けられるし、英会話教室の宣伝はできるし、サロンのコンテンツになるので、延々に続けられます。
面白そうだし、今夜やってみたいと思います。
「21時頃から30分間ほど、西野に英語を教えてやってもいいよ(生配信してもいいよ)」という方がいたら、コメント欄まで御一報ください。
僕のZOOMに招待させていだきます。
挑戦&応援し続けられる企画は、こんな感じ組み立てるといいと思いまーす。
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
、「A D B C」というテキストの画像のようです

 

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2020年05月30日のエンタメ研究所の過去記事

5月30日(土) 6月1日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようまんじゅう。
「おはよう」と打ったら、その後に何故か予測入力で「まんじゅう」という単語が出てきたので、流れ乗って「おはようまんじゅう」と打ってみたキングコング西野です。
さて。
昨日、一昨日と、ゴリッと踏み込んだ作業にお付き合いいただいたので、今日は少しトーンダウンして、今の状況や、そもそも自分達が面白がっているものを整理・共有する回にしたいと思います。
(※週に一度やってくるハズレ回ですが、もしかすると「チームリーダー」を務めておられる方の参考にはなるかもです)
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▼ 「メイキング」に恋してる
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僕が「メイキング」と呼ばれるものに初めて反応したのは映画『タイタニック』だと記憶しています。
タイタニック号の後ろの海が合成だと知った時の衝撃は凄まじく、「世界にはデタラメな規模でエンタメを作っている人がいるんだなぁ」と興奮し、今に至ります(#途中を大幅に飛ばす男)。
浦沢直樹さんがプレゼンターを務め、漫画家さんの作品制作過程に密着する番組『漫勉』(NHK)にも、ずいぶん興奮させられました。
Gペン一本で物語を生み出す漫画家さんが魔法使いのようでもあり、哲学者のようでもあり、数学者のようでもあり……「ほぉー、なるほどー、漫画って、こうやって作られるのかー!」とウキョウキョ言っとりました。
Gペンを走らせる時の「紙を引っ掻くような音」が、また最高にイイんです!
「メイキング」繋がりでいうと、森ビルが『六本木ヒルズ』を作るときの裏話だったり、オリエンタルランドが『東京ディズニーランド』を作るときの裏話なんかも好きで、そういった書籍は片っ端から読み漁りました。
…そこで仕入れた情報の「全て」が実生活に反映されたか?というと、勿論そんなわけがなくて、
六本木ヒルズ』や『東京ディズニーランド』建設の際の「地元住民の皆様への配慮」は参考にさせていただきましたが、
一方で、「海を合成しなきゃいけない場面」には今のところ出くわしていません。
タイタニック』の「メイキング」は、まったく役に立っていないのです(笑)
でも、それでいい。
メイキングを観ていると、時々、「あ。この手法は自分の活動に転用できるな」というのがあったりしますが、僕は「役に立てよう」と思って観ているわけではなくて、大前提として「エンタメ」としてメイキングを観ているので、「すげー頑張ってる人がいるなぁ。僕も頑張ろう!」と思えたら、そのメイキングは僕の中で十分に役目を果たしてくれています。
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▼ 「メイキング」というエンターテイメント
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僕がこれまで恋をした数々の「メイキング」は、どれも本当に素晴らしいものだったのですが、どこまでいっても「サブ的」な扱いでした。
特典として扱われ、しかも、決まって「事後報告」です。
メイキングオタク(メイキング贔屓)の僕はそれが嫌で、「もっとメイキングがエンタメの真ん中に来てもいいじゃん!」とか何とか言い出して、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』を立ち上げました。
昨日、一昨日のような「編集作業」は、エンタメの一つとしてカウントしても恥ずかしくないものだったと自負しております。
たとえば、映画『タイタニック』のCG制作現場をライブ配信で覗けたり、『プーさんのハニーハント』や『ビッグサンダーマウンテン』の建設現場の見学ができたりしたら、僕はその体験を「エンターテイメント」と呼ぶでしょう。
多くのオンラインサロンが「学べる」「役に立つ」を前面に出されているので、皆、役に立つ情報を期待します。
僕自身、「役に立つ記事」を書いてしまうことがあって、そういった記事が続くと、サロンメンバーの皆様から「もっと、もっと」と求められていることを感じます。
そして間もなく、そのリクエストに応えようとする自分が見え隠れします。
そんな時は、グッと踏みとどまり、自分に言い聞かせます。
「あー、面白かった」「あー、興奮した」だけで終わる回があっていいのだ、と。
このことは自分にも言い聞かせますし、こうして皆さんとも共有しておかないと、この船は沈むでしょう。
さすがに、サロンを何年も運営していると、船のバランスに敏感になり、「ちょっとバランスが崩れてきてるかなぁ」と思ったら、すぐに整えるようになりました。
チームが間違った方向に進むときは、誰か一人の仕業なんかではなくて、「空気」の仕業で、こうして「僕たちは○○を大事にするんだよね? そうだよね?」と定期的に確認作業をすることが、どうやら大事っぽいです。
声を掛け合って、ちゃんとバランスを整えて、そして、前に進む。
これに尽きます。
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▼ さぁ、やるよ
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昨日、クラウドファンディングのリターンを追加しました。
『映画台本&ペアチケット』です。
一日で850個が売れて、これで、1700名の方が映画『えんとつ町のプペル』に足を運んでくださいます。
一晩で、すごい人数です。
ところが、製作費から割り出した映画『えんとつ町のプペル』の観客動員数の合格ラインは「120万人」
「1700名」が霞んで見えてしまうほど、高い高い山です。
ですが、登り始めないと、山頂には行けません。
様々な登山コースからアタックを繰り返して、「過程」と「成功」と「失敗」の全てをここで共有します。
今のところの「失敗」は、『船』で喩えた後に、『山』で喩えてしまっている点です。
船が沈むのか、登山に失敗するのか、ハッキリして欲しいです。
僕らの挑戦はどうやら持久戦なので、その辺もひっくるめて、ときどき立ち止まって、こまめにコミュニケーションをとっていきたいです。
引き続き、宜しくお願いします。
現場からは以上でーす。
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2020年05月29日のエンタメ研究所の過去記事

5月29日(金) ※5月31日以降は「いいね」を押さないでください。
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おはようございます。
二日酔いで文章が投稿できない時の言い訳として『スマホの調子が悪くて…』を開発したキングコング西野です。
さて。
昨日は『夢幻鉄道』の編集作業にお付き合いいただいてありがとうございました。
(※昨日の記事を読まれていない方は、先に、そっちを読んでね💓)
昨日の編集作業を受けて、いくつか整理・共有しておきたいことがあるので、今日は、そんな話をしたいと思います。
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▼ みんなでやる方が大変(笑)
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今朝のブログ(https://ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12600277733.html)でも書かせてもらいましたが、ぶっちゃけて話すと、編集作業は僕と担当編集の袖山さんの二人でやった方が早かったりします。
これは皆さんの文章能力にケチをつけているわけではなくて、一応僕も袖山さんも「文章で飯を食っている人」で、おそらく国内トップレベルで上手くいっている人だと思います。
くわえて、ストーリーの背景や、お互いの癖(※これは後で話します)も分かっているので、「こうきたら、こうだよね」という阿吽の呼吸で作業を進めることができたりします。
それでも僕は皆と作った方がいいと思っています。
宣伝や二次利用といった先々(作品完成後)の展開でお客さんを巻き込むことになると思うのですが、その時、お客さんからすると「他人が完成させた作品」よりも、「自分が制作に参加した作品」の方が楽しいからです。
作業が楽しければ楽しいほど、パフォーマンスが大きくなるので、昨日は、その種を植える作業です。
これは「結果を最大化するには、どこにコストをかけるべきか?」という話で、ベラボーに時給が高い西野の生産活動が1日~2日止まろうが、昨日のような時間(もはや儀式!)を挟んだ方がいいと思います。
これは僕の絵本に限った話ではなくて、あらゆるサービスに転用できる話だと思います。
少々手間がかかろうが、コストがかかろうが、共に育てることになる子供の出産に立ち会ってもらった方がいいと思います。
そこで、かけたコストは後で必ず回収できるので。
お釣りが出るほど。
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▼ 絵本編集のルールと「西野の癖」を共有しておきます
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昨日のコメント欄に皆様から送られてきた(膨大な!)提案は、全て読ませていただきました。
それぞれに個性があって本当に面白かったし、とっても勉強になりました。
忙しい中、お時間を割いてくださってありがとうございました。
おそらく「サロンメンバー全員で絵本編集」は今後もやると思うので、昨日の作業で気づいたことを共有しておきたいと思います。
【① 一旦、最後まで読んでから編集作業を進める】
1ページを読む毎に「こうしてみては?」と提案してくださっている方がいらっしゃったのですが、そうすると、その後のページで、「すみません!あそこの○○は、この台詞のフリだったんですね。さっきの提案は忘れてください!」という事態に陥るケースがあったりします。
※昨日、結構ありました(笑)
これには2つデメリットがあって、一つ目のデメリットは「無駄骨を折ることになる」です。
これは、どちらかというと御自身が損するパターンですね。
二つ目のデメリットは「読み手のストレスを生んでしまう」です。
昨日のようなケースは、コメント欄も「なるほど!その言い回し、素敵~!」という【読み物】になっていたりします。
その際、“ページ毎の提案”は、『ストーリーを最後まで読んだ人』にとっては「…いや、だから、これは、この後に控えている○○のフリだから」というストレスになっちゃうんですね。
これを防ぐ為には、一旦、最後まで読んでから編集作業を進めるのがイイ(皆が楽しめる)と思います。
手伝ってもらったいる分際で、偉そうなことを言ってしまってごめんなさい。好きです。
【② あくまで「プロット」である】
昨日、皆様に共有させていただいたのは「初稿(最初の原稿)」ではなく、「プロット」です。
「プロット」とは、「ここは、この感じでいこうと思っています」というザックリとした説明書ですね。
舞台でいうと、立ち位置やセット位置をスタッフに指示する『バミリテープ』のようなもので、本番では外す(お客さんには見えないようにする)んです。
これを「初稿」として捉えていた方が昨日は4割ぐらいいて……たとえば「台詞の最後の『(笑)』は外した方ががいいと思います。なんかネットの文章っぽくなっちゃう!」という指摘があったりしました(笑)。
まさかまさか『(笑)』を絵本の中に入れるつもりはなくて、「このキャラクターはここで笑います」という指示です。
もっと言うと、「笑ったことを伝えたいのですが、何かイイ表現ありませんかね?」というお願いだったりします。
微妙なニュアンスですが、プロットは「世に出さない前提で書かれているもの」です。
なので、「誤字・脱字」の指摘も要らなかったりします。
そもそも、表に出す文章ではないので。
このへんの「プロットの役割」を共有しておくと、余計なズレが減って、もっともっと楽しくなると思います。好きです。
【③ そもそも「絵本」である】
昨日は結構な割合で、「絵本」ということを忘れちゃう人がいました。
昨日、添付した画像は勿論「イメージ画像」で、絵本のイラストは、これから描きます。
絵本は『絵』と『』文章」でそれぞれ役割を分担しながらストーリーを届けるので、文章を書く際、「絵で説明されている部分」を忘れてはいけません。
たとえば!
「お爺さんはマフラーを触りました」という表現に対して、
「いきなりマフラーが出てきた!ここでマフラーを出すんだったら、お爺さんが登場するシーンで、その説明をしておいた方がいい!」
といった指摘が昨日は結構あったのですが、お爺さんが『マフラー』をしていることは、すでに『絵』で説明されているんですね。
『マフラー』をしているお爺さんの絵に対して、「お爺さんはマフラーをしている」という文章を付けてしまうと、『絵』と『文章』で説明が重複しちゃうんです。
『マフラー』が物語のキーアイテムじゃない限り、その重複は蛇足です。
ここが「阿吽の呼吸」の部分で、編集者は、絵本のプロットの文章に突然『マフラー』が出てきた場合は「マフラーはすでに絵で出しているんだろうな」と汲み取って(読み取って)作業を進めたりします。好きです。
━━━━━
▼ まとめ
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本来、こういう作業(勉強)は制作者だけでおこなうものなのですが、これを皆でやって、究極、「西野がこうきたら、こう返す!」「この場合、西野は○○を求めているから、こう!」がサロンメンバー全員でやれるようになったら面白そうなので、数ヵ月に一度ぐらい、昨日のような作業を挟んでいきたいと思います。
あらためて、昨日は編集作業に参加してくださってありがとうございました。
明日からは、いつもの投稿に戻ります。
現場からは以上でーす。
【追伸】
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写真の説明はありません。

 

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2020年05月28日のエンタメ研究所の過去記事

5月28日(木) ※5月30日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
新入社員&インターン生らの講演会のチケットが各自2000枚~2500枚売れたという報せ受けて嫉妬しているキングコング西野です。
さて。
ここ(サロン)でしかコミットしていない方はお忘れかもしれませんが、僕は本業が別でありまして、本業を生み出す過程や、届ける過程で気づいたことを、日々、サロンで共有させていただいております。
「サロンの人」じゃないんです(^-^)
僕のメインのお仕事はエンターテイメントを作ることで、1日のほとんどの時間を『ファンタジー作品』の制作に費やしています。
これだけ殺伐とした時代に、せっせとファンタジーを作る希有な存在です。
年末には映画『えんとつ町のプペル』が公開されますが、僕のファンタジーアタック(#なんだよソレ)は、もちろん映画公開で終わりではありません。
映画公開は開始の鐘で、そこから新作をポンポン出していきます。
とりわけ、絵本『夢幻鉄道』という作品は、映画公開後に(プペル以外で)活動の軸となってくると思います。
ここから先の話は本気でナイショですが、絵本『夢幻鉄道』は最初からシリーズ化を見越していて(シリーズになるように設計していて)、順当にいくと第1弾は蜷川実花さんとのコラボ作品となります。
イラスト監督=蜷川実花
脚本=西野亮廣  
といった感じです。
その後すぐに、イラスト監督・脚本=西野亮廣による絵本『夢幻鉄道』の第2弾を発表しようと思っておりまして、本日のサロンの記事は、いつもと趣向を変えて、『夢幻鉄道』の第2弾のプロット(※ストーリーを箇条書きしたもの)を、ここでサロンメンバーの皆様に共有し、6万人が見ている前で、文章を仕上げていきたいと思います。
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▼ みんなで編集!
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『夢幻鉄道』の第2話「チョボと不思議の国」の
ストーリーはすでに完成しています。
ページ割りも済んでいます。
あとは、箇条書きされた文章を、絵本用に編集する作業です。
こういうのは皆でやった方が面白いそうなので、実験的に皆でやってみます。
編集参加方法は、いたって簡単。
画像(該当ページ)に返信する形で、「ここは、○○と表現した方がいいと思います」といった感じで、提案してみてください。
「おー!それいいじゃん!」となったら、すぐに書き直します。
この調子でやれば、今夜には編集作業が終わると思います。
ポイントは一つ。
「カッコつけた言い回しや、回りくどい言い回しはNG!いたってシンプルに!」
です。
※サロン内で『夢幻鉄道』の編集作業をやっていることや、『夢幻鉄道』のストーリーの感想を表で呟くことはOKですが、ストーリーの内容を出すのは、もうビックリするぐらいNGです。
西野はいつでも法廷で戦う気でいます。
はたして、1日で完成するのでしょうか?
ちょっと、やってみます(^-^)
一枚目の画像をクリックして、あとは下にスクロールしていってくださーい。
※画像に添付したストーリーは全て表示されていないので、【…もっと見る】をクリックして、ページを開いてね!
これ、絶対に忘れないで!!
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
 

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『夢幻鉄道 ~チョボと不思議の国~』  

【1】 ヘンテコな金具をくわえた犬が僕の家にやってきた。 目の不自由な人の命を守る「盲導犬」だ。 盲導犬は10歳で現役を引退することが決まっているみたいで、ウチで引き取ることになった。 名前は「チョボ」。 僕は、ウチに来るまでのチョボのことを何も知らない。  

【2】 チョボは賢い犬だ。 急に走り出したりもしないし、無駄に吠えたりもしない。 「チョボ、『ゴー!』」 盲導犬として訓練されたチョボは、「指示」に逆らうことはない。 「ゴー」と言えば、前に進んでくれる。  

【3】 「お前の前の飼い主さんはどんな人だったの?」 チョボに話しかけても、返事はない。 チョボが何を考えているか僕には分からない。 ときどきチョボは、うんと遠くの方を見る。 「どうした? 何を考えてるの?」 チョボに話しかけても、返事はない。

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【4】(※少し曇っている) チョボは、散歩に出る時に必ずあの「金具」を持ち出そうとする。 前の飼い主さんと散歩に行く時に、これを身体に巻いていたらしい。 「チョボ、会いたいのか?」 盲導犬は目が不自由な人の命を守る仕事。 だから、歳をとってしまうと、ずっと一緒にいた飼い主さんと離れなくちゃいけないんだ。 「会いたいんだな?」  

【5】(※雨の藤棚・ベンチには夢幻鉄道の車掌が座っているが、少年には見えていない) 雨が降ってきたので、僕らは藤棚の下に駆け込んだ。 チョボは、じっと動かない。 チョボは生まれてすぐに訓練を受けて、それから、ずっと盲導犬として働いてきた。   僕はときどき考える。 チョボは幸せなのかな? 命令通りに動くなんて、ロボットみたいだ。辛くなかったのかな?

 

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【6】 その夜のことだ。 チョボの大きな鳴き声で目が覚めた。 ずっと吠えている。こんなことは初めてだ。 父さんと母さんは、まったく起きない。 このままだと近所迷惑だ。    

【7】(※雨脚が強くなってる)   庭に出ると、チョボが門をよじのぼろうとしていた。 「チョボ。静かにしろ」 いつもの賢いチョボじゃない。 とても興奮していて、外に出たがっている。 僕は門を開けた。  

【8】(※家の外に出ると走り出すチョボ) チョボが、すごい勢いで走る 行き先は決まっているようだ。 どうしたんだろう? 僕は慌てて後を追った。

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【9】 チョボに着いて行くと、昼間の藤棚に着いた。 電車が停まっている。 なんで、こんなところに線路があるんだ?  

【10】(※夢幻鉄道に乗るチョボ。後に続く少年) 「おい、チョボ」 チョボは僕の声を振り切って電車に乗り込んだ。 「ちょっと、待って!」

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【11】 電車の中は、不気味なぐらい静かだ。 皆、一つも音を立てずに、背筋を伸ばして前を向いている。 こんな時間なのに、仕事帰りで疲れた様子もない。    

【12】 「すみません。降ります」 車掌さんに僕の声は届かず、すぐに電車が走り出した。 雨で窓が曇って、まったく外が見えない。 この電車は、一体、どこに向かうんだろう?

 

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【13】 どれぐらい電車に揺られただろうか。 ようやく電車が停まった。 「妙見口妙見口。終点です」 電車を降りて、僕は目を疑った。 朝になっている。 おかしい。 そんなに長い時間は電車に乗っていないハズだ。 それに…

 

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【14】 ここは、どこだ? こんな街、見たことがない。 次の瞬間。一緒に電車に乗ってきた人たちが、水の上を滑るように走っていく。 なんだか幽霊みたいだ。 「チョボ、帰ろう。この街、なんかヘンだ」    

【15】 チョボが走り出した。 やっぱり、チョボには行き先が決まっているみたいだ。

 

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【16】 チョボの後を追って、迷路のような路地を抜けると、目の前に大きな水溜りが広がった。 水溜りが空を映すせいで、空と地面が繋がっているみたいだ。 その場所に、お爺さんが一人で座っている。 チョボはお爺さんを見つけると、しびれを切らしたように走り出した。  

【17】 チョボが、お爺さんに飛びついた。 右へ左へ、大きく尻尾を振っている。 あんな嬉しそうなチョボを見たのは初めてだ。 「おお、チョボ。こんな顔をしとったんか」 お爺さんはチョボの名前を呼んだ。  

【18】 お爺さんがこっちに歩いてきた。 「この子の仕業でしょう? すみませんね。こんな遠いところまで巻き込んでしまいまして」 「お爺さんは?」 「チョボの、前の飼い主です

 

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【19】 「お爺さん、目は?」 前の飼い主さんは、目が悪いハズだ。 「ここでは、見えます」

「ここでは?」  

【20】 「変な場所でしょう? ここ」 たしかに。こんな水浸しの街は見たことがない。 「ここは夢の中です」 「夢の中?」 お爺さんがマフラーを撫でて、言った。 「彼女が、また、夢を見ているのでしょう」

 

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【21】(※お爺さんと同じマフラーをした老婆がコッチを見て立っている) 気がつくと、少し離れたところで、お婆さんが立っていた 「私、先月、死んじゃいましてね…」 お爺さんは、淡々と話す。 「ところが、このとおり。 彼女が私を夢に出してくれるおかげで、死んだ実感がありません」 お爺さんは笑った。  

【22】 「生前、私は水辺が苦手でね。きっと、チョボは、私のことが心配になって、こんなところ   まで来てくれたんでしょう」 お爺さんはこの場所が夢の中だという。 デタラメな話だけど、嘘をつくような人には見えない。 「少し歩きますか?」

 

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【23】(※不思議の国を散歩する僕とお爺さんとチョボ) それから僕らは、お婆さんが見ている夢の中を歩いた。 街の人たちの顔は上手く見えない。 お爺さんは、しっかりと足元が見えているみたいだけど、 チョボはお爺さんの隣にべったりと付いて歩いた。 昔の癖が抜けないようだ。   【24】(回想シーン①。昔のチョボとおじいさん夫婦。すっごい笑っている) 「この子は、私の目となって、本当にいろんな場所に連れていってくれました。 結構、高い山も登ったんですよ(笑)」  

【25】(回想シーン② 顔はめパネル 明らかに旅行。すっごい笑ってる) お爺さんは、チョボとの思い出をたくさん話してくれた。 チョボが初めてやってきた日のこと。 一緒にカヌーに挑戦した日のこと。 一緒に、お婆さんに怒られた日のこと。 お別れした日のこと。

 

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【26】(※夢の世界が終わり始めている) 気がついたら僕は泣いていた。 なんで、僕が泣いてるんだろう。 二人の思い出なんて、なんにも知らないのに。 チョボは幸せだったのかな?僕はそう考えることを止めた。 おじいさんと過ごした時間が幸せじゃなきゃ、こんなところまで来やしない。  

【27】 水が跳ねる音がしたので振り返ると、古いペンキが剥がれるみたいに、夕日の破片がポロポロと海に落ちていた。 「そろそろ時間ですかね。うちの家内は早起きなんです」 お爺さんは、とても清々しい顔をしている。

 

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【28】 「チョボ。あなたの新しいご主人様を、帰りの電車までご案内してあげてください。私は大丈夫です。こちらの世界では、目がよく見えます」 チョボは、じっとお爺さんを見ている。 チョボは、もう少しお爺さんと一緒にいたいんだ。    

【29】(※崩れていく街) 「この子のことを宜しくお願いします。」 お爺さんは、にっこり笑って、チョボの頭に手を置いた。 「チョボ、会いに来てくれてありがとう。あなたと暮らした毎日はとても幸せでした」 チョボがお爺さんの鼻の先を舐めた。 「私の自慢の盲導犬さんへ、これが最後の命令です。チョボ…」

 

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【30】 「ゴー」

 

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【31】(※見送るお爺さん。お爺さんは背景に溶け始めている) チョボはお爺さんの言うことを聞く。 とても賢くて、とても強い犬だ。

 

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【32】 チョボに案内されて、駅に着いた。 周りの景色が、どんどん消えていく。 そして、あの電車がやってきた。

 

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【33】(※夢幻鉄道の車内) 僕らが電車に乗り込むと、すぐにドアが閉まった。 駅を出て間もなく、車掌さんが話し始めた。 「これは私の独り言です」 車掌さんは前を向いたままだけど、僕に話しかけていることは分かった。

 

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【34】(※夢の世界を後にする夢幻鉄道) 「人は二度死にます。 1度目は、肉体が滅びた時。 2度目は、残された者から忘れられた時。 1度目の死を回避することは誰にもできませんが、 2度目の死は、残された者が想い続けることで回避することができます」 そして車掌さんはチョボの方を見て、最後にこう言った。 「その様子だと…」

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【35】 「あのお爺さんが二度目の死を迎えることはなさそうです」 チョボは、窓の外を見つめていた。ずっと。

 

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【36】(※見開き2ページ。文章は無し)

 

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【37】 ときどきチョボは、うんと遠くの方を見る。 きっと、お爺さんのことを想っているのだろう。 チョボは今日もお爺さんの命を守っている。   【おしまい】

 

『夢幻鉄道』~第2話 チョボと不思議の国~

作・西野亮廣

https://youtu.be/2fKXIRXMNHQ

 

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2020年05月27日のエンタメ研究所の過去記事

5月27日(水) ※5月27日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
2カ月間の「ひきこもり生活」を謳歌し、社会復帰に失敗しているキングコング西野です。#僕だけじゃないハズ
さて。
昨日の投稿では『意味変』についてお話しさせていただきました。
(※昨日の記事をまだ読まれていない方は、先にそっちを読んでね❤️)
『意味変』というワードは、今後、このサロンでもたくさん出てくると思いますし、おそらく皆さんのお仕事でも『意味変』が求められてくると思うので、今日は『意味変』という言葉を明確に定義し、もう少し踏み込んで考えていきたいと思います。
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▼ 『意味変』ってナンダ?━━━━━━━━━━━━━
たとえば『CD』の意味は「音を聴かせてくれるモノ」ですが、AKBグループは【握手券】を付けることによって、『CD』の意味を「アイドルと会わせてくれるチケット」に変更しました。
購入枚数によって「会える時間」が変わるので、一人が10枚、20枚買ったわけですね。
おかげで、オリコンチャートはAKBグループ一色です。
…あ。くれぐれも、ここでは「善し悪し」の話をしているわけではありません。
事実をそのまま述べているだけっす。
話を続けます。
ビックリマンチョコ』は「キャラクターシール」を付けることによって、チョコレートを『食べるもの』から『集めるもの』に意味を変更し、社会現象となるヒットを生み出しました。
「ヒットの影に『意味変』アリ」です。
その後、人気を博した『ビックリマン』はアニメ化が決定し、『食べるもの』から『観るもの』に意味が変更しましたが、これは『意味変』と呼べるでしょうか?
いいえ。
一般的にはこれは『2次利用』と呼びます。
どうやら、この辺りで『意味変』と『2次利用』を、それぞれ定義しておかないと、今後、話がゴチャゴチャになりそうなので、二つの違いを明確に定義したいと思います。
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▼ 『意味変』と『2次利用』
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まったく難しい話じゃないので、サクッと整理してみます。
・AKBの握手券→意味変
ビックリマンアニメ→2次利用
「意味変」と「2次利用」によって、それぞれ売っているモノはこんな感じ↓
・AKBの握手券→意味変→【CD】
ビックリマンシール→意味変→【チョコ】
ビックリマンアニメ→2次利用→【アニメ】
…つまり、『2次利用』というのは(たしかに意味は変わっているけど)別の商品を売っていて、『意味変』というのは、同じ商品を売っているわけですね。
『意味変』で変わっているのは、あくまで「意味」だけで、販売している商品は変わっていないんです。
僕は国内外で絵本展を開催して、絵本を「観に行くもの」にしていますが、そこで販売しているのは、あくまで『絵本』です。
この時、絵本は『読むモノ』ではなく『おみやげ』という意味で買われます。
AKBが握手券を付けて『CD』を販売したり、
ビックリマンチョコがシールを付けて『チョコ』を販売しているような感じです。
これを『意味変』と呼んでいます。
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▼ 付加価値をつけて『意味変』するものもあれば…
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NORA美容室の『ヘアカット前売券』は「ギフト可」という文言を入れただけで、ヘアカットが「贈り物」になりました。
絵本『えんとつ町のプペル』は、自分達が率先して様々な施設に贈ることで、「贈り物」として認識されるようになりました。
AKBやビックリマンチョコのように、付加価値(追加機能)を付け足して『意味変』するものもあれば、NORAさんのように付加価値は付けずに【打ち出し方】で『意味変』するものもあります。
このことから、僕らが自分の商品を『意味変』する時は…
・「付加価値を付けて意味変する」
・「打ち出し方で意味変する」  
の二つと角度から答えを探ればいいことが見えてきます。
(※ホワイトボードにアイデアを出す際、ここは分けて考えた方が、思いつきやすいと思います)
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▼ そして思考実験  
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『意味変』には訓練が必要だと思います。
訓練を重ねないと、思い付くスピードは上がりません。
訓練対象は、目につくもの全てです。
「筆箱」「ハサミ」「ソファー」「カラーコーン」「オンライン授業」…とにかく何でも。
ちなみに、昨日、『YouTube』で考えてみました。
YouTube』の意味は「観るもの」です。
これを、「打ち出し方で意味変する」という角度から考えてみます…
YouTube×食べるもの=❌
YouTube×香るもの=❌
YouTube×飾るもの(インテリア)=△
YouTube×寄り添うもの=⭕
…というわけで、昨日、僕が(隣で)仕事をしているだけの動画を撮ってみました(※生配信をしてアーカイブに残してみました)。
これは僕の個人的な趣味なのかもしれませんが…他人の静かな作業音(パソコンのパチパチという音とか)って、メチャクチャ仕事がはかどるんです。
「あの人も頑張っているし、僕も頑張ろう」で背筋が伸びるんですね。
そんなこんなで「作業に寄り添う動画」は可能性としてあるなぁと思って、こんなものをアップしてみました。
面白いのが、『寄り添う動画』のポイントは、「発信しない」です。
発信してしまうと『観るもの』になってしまうので、意味が変動しません。
(※基本「BGM」で、「隣をチラッと見たら、仕事中の西野がいる」ぐらいにしておくことが大切)
昨日、アップしたところ、すでに4万回ほど再生されていたので、年間30万回ほど再生されると思います。
ここに「広告」が付いているので、商品として機能している。
『意味変』は、こういった訓練の繰り返しだと思います。
是非、身近なもので試してみてください。
現場からは以上でーす。
 
 

 

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