西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年06月04日のエンタメ研究所の過去記事

6月4日(金) ※6月6日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
現在、“次々々々作の絵本”を作っているキングコング西野こと「いいから、一旦、落ち着けよ!」です。
さて。
今日は『世界戦の作法』というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ CHIMNEY TOWNは、どうして世界を狙うの?
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先日の取材で「西野さんは、どうして世界を相手にするのですか?」という質問がありました。
僕が世界を相手取る本当の理由は、「だって、ディズニーを超えないと、女の子を連れてディズニーランドに行った時に、ウォルト・ディズニーに嫉妬しちゃうじゃん」なのですが……まさか、そんな恥ずかしいことは言えません。
なので、他の(それっぽい)理由を探してみたのですが、「まぁ、世界を相手取らないと、そもそもエンタメを続けられないよなぁ」という結論に至りました。
べつだん、斬新な切り口でもありません。
たとえば日本のテレビは放送法(※総務省から地上波放送局の免許を取得しないとチャンネル数は増やせないよ。ここはゴリゴリの利権だから、免許なんて取得できないよ)によって守られています。
これは日本の作り手にとっては、とても都合がイイことでした。
ところが!!
少し前までの日本人にとっては「家にあるテレビ=日本のテレビ番組を観るもの」だったのですが……どっこい、今、テレビをつけると「ディズニープラス」「Amazonプライム」「Netflix」「youtube」「日本の地上波の番組」…といった感じで、カテゴリー分けされています。
総務省が「日本のチャンネル数は増やさない!」とどれだけ頑張ったところで、
結果的に、チャンネル数は増えちゃっています。
事実、『愛の不時着』や『梨泰院クラス』が観られている時間は、日本のT Vドラマは確実に観られていません。
作り手本人が国内にターゲットを絞ったところで、自分の作品(商品)は、世界戦の棚に並べられているのが現状です。
少し踏み込んだ話をすると、地上戦(※実店舗など)であれば、「コミュニティー」というガードで外資をブロックできるのですが、
空中戦(ネット系)になってくると、外資を競合から外すことは不可能です。
「どうして世界を相手にするんですか?」も何も、「『世界を相手にしない』という選択肢がない」といったところです。
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▼ 小さな劇場を選んだ理由
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今朝、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の情報が解禁されました。
このプロジェクトは、(株)CHIMNEY TOWNのセトちゃんがプロデューサーを務めているのですが、たしか彼は入社1〜2年目。
キャスティングから、外堀の調整(ニュースリリースなど)までやって、なんともたくましい若手です。
公式ホームページが立ち上がったので、後で、詳しく見ていただきたいのですが……キャスト&スタッフは、業界人やミュージカルファンならば全員がひっくり返るが集まっています。
「よくもまぁ、参加してくださったなぁ…」という才能がズラリ。
【公式ホームページ】→https://poupelle-musical.com/
映画チームからは、僕と、美術の佐藤さんと、デザイナーのかんかんサン、そして……
「スコップ役」としてオリラジ藤森君が参加しています。
映画をご覧になられた方はステージ上のスコップを見て、「本物のスコップだぁ〜」という謎の感情を抱くことでしょう。
この作品は、もともとはオフオフ・ブロードウェイで初演を迎える予定だったのですが(劇場もおさえていた)、まさかまさかのコロナちゃんに襲われます。
ブロードウェイが街ごと閉じてしまったので、ブロードウェイ公演は延期。
クヨクヨしたって仕方がないので「先に、日本公演をやろう」と舵を切り、今に至るわけですが………ありがたいことに海外ではコロナが落ち着いてきているので、日本公演が終われば、海外に持っていきます。
つまり、まもなくミュージカル『えんとつ町のプペル』も世界戦の棚に並べられるわけで、そこで勝ち抜かねばなりません。
その際、無視できないのが「予算」の問題です。
現在、国内の多くの作品が「美術セット代が用意できないから、背景はプロジェクションマッピングで乗り切る」という打ち手を選んでいます。
しかし、毎年、ブロードウェイに通っている舞台オタクから言わせると、あの並び(名だたるブロードウェイ作品)の中に、「プロジェクションマッピングで背景の問題(美術セット)を片付けてしまっている作品」は、かなり分が悪い。
せっかくブロードウェイで舞台を観るのなら、「ツカミ」が欲しいんです。
会場に入った瞬間に目に飛び込んでくる美術セットにハートを鷲掴みにされたいんです。
「美術セットはプロジェクション・マッピングです」と言われると、かなりガッカリしちゃいます。
そんなことは舞台人なら全員分かっているんだけど、「国内のチケット代の売り上げだけで作品を作る」となると、第一希望である「豪華な美術セット」が叶わない。
なので、皆、苦肉の策としての「プロジェクション・マッピング」を選びます。
ただ、それでは世界とは戦えない。
結論、世界戦にうって出るには「世界戦で勝ち抜けるビジネスモデル」を構築するところから始めなければいけません。
隠したって仕方がないので、正直に白状すると「キャッシュポイント(お金を生む装置)の創造」です。
この問題と真正面から向き合うことこそが世界戦のドレスコードです。
そんなこんなで、プロデューサーから、「日本公演はスケジュール的に【大きな劇場】と【小さな劇場(東京キネマ倶楽部)】がとれそうですが……どっちでやりますか?」と訊かれた時に、迷わず「小さな劇場で」と答えました。
小さな劇場を選んだ時点で、誰がどう見ても、チケット代だけでは製作費が回収できないからです。
“キャッシュポイントを創造せざるをえないから―です。
大きな劇場だと(ちょっと頑張れば)チケットの売り上げで回収できちゃいます。
だけど、それでは世界は獲れない。
もっともっと根本の問題から問わないと、世界は獲れない。
ブロードウェイが逆立ちしても、シルクドゥ・ソレイユが逆立ちしても、再現することができない圧倒的な作品を生み出す基盤となるビジネスモデルを創造しない限り、面白い未来は待っていません。
そんな中、「制作過程を販売できる権利を持っている(オリジナル作品を持っている)」というのは圧倒的なアドバンテージです。
ここが、巨人の急所です。
ミュージカル『えんとつ町のプペル』は「台本」の他に、「ポスター(壁紙)データ」も販売するそうです。
こんなことができるのも、オリジナル作品ならでは。
ポスターデータの値段は「300円」ですが、データなので(※ほとんど原価がかからないので)侮れません。
ウン億円の製作費や、エンタメの勢力図を一変させるビジネスモデルは、こういった小さな革命の積み重ねにあります。
ミュージカル『えんとつ町のプペル』が産声をあげ、世界戦にうって出るこの時間は、もう二度とやってこないので、どうか見届けていただけると嬉しいです。
もし、近くにチビッ子がいれば、「キチンと勉強して、キチンと努力をすれば、こんなこともできるんだよ」と伝えてあげてください。
現場からは以上で〜す。
 
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2021年06月03日のエンタメ研究所の過去記事

6月3日(木) ※6月5日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
昨夜、万が一に備えて「チーターから逃げる方法」について調べた結果、「チーターがいるところに行かない」という結論に至ったキングコング西野です。
さて。
今日は『売れ続ける仕組みを創造する』というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ 「見込み新規顧客」と「見込みリピーター」という考え方
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マーケティングの世界では有名な『1:5の法則』というものがあります。
「新規顧客に商品を販売する労力は、既存顧客に商品を販売する労力の5倍かかっちゃうよ」的なやつです。
これは、「新規顧客を獲得する為にかかるコストは、既存顧客を維持する為にかかるコストの5倍かかる」とも言えますね。
僕が実店舗経営者さん(※主にスナックの店主)に、「『S N Sマーケティング』よりも、ご近所マーケティングだ!」と頻繁に言っている理由はコレです。
さっそく踏み込んだ話をすると…【見込み客】は、「見込み新規顧客」と「見込みリピーター」で分けて考えた方がいいと思います。
『S N Sマーケティング』で呼び込むのは「見込み新規顧客」で、
『ご近所マーケティング』で呼び込むのは「見込みリピーター」です。
兵庫県川西市で店を出していて、S N Sマーケティングで「北海道にお住まいのお客さん」にご来店いただけたとしても、そのお客さんが来週、店に来ることなどほとんどありません。
当然ですが、「リピーターになる条件を兼ね備えている人(お店に通えるお客さん)」を掴まえた方が絶対に絶対にイイんですね。
移動が制限されてしまっているコロナ禍なんて尚更。
それでも多くのプレイヤーがS N Sマーケティングに逃げます。
理由は分かります。
S N Sマーケティングだと、フラれたことが明確に可視化されないので、フラれた時の精神的ダメージが少ない。
一方で、リアルに声をかけてフラれた時の精神的ダメージたるや。
ほとんどの人が、そこで傷付きたくないから、『S N Sマーケティング』に逃げるわけですが…どっこい、その先に待っているのは地獄の自転車操業です。
北海道からのお客さんをお迎えした翌日は、本業に充てる時間を削って、また新規顧客の獲得に精を出さねばなりません。
だからと言って「新規顧客なんて取りにいかなくてイイ!」という話ではありませんが、
「見込みリピーター」を取りに行くことの方が大事なのは間違いありません。
優先順位の話になりますが、商品は「リピーターに買ってもらうには?」を一番に考えた方がいいでしょう。
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▼ 売ることを考えるな。「売れ続ける仕組み」を創造しろ。
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作品(商品)の宣伝会議に参加すると、大体、「どうやって売るか?」という話になります。
しかし、作品(商品)を売ったところで、売れ続けなければ、また、こうして宣伝会議を繰り返して、宣伝コストを割き続けることになります。
したがって僕らが向き合わなくちゃいけないことは、「作品(商品)を売ること」ではなくて、「作品(商品)が売れ続ける仕組みを創造すること」です。
正しい宣伝会議のテーマは、「どうすれば売れ続けるか?」。
これに尽きます。
▼▼▼
【例】
『どうすれば絵本が売れ続けるか?』
→国内外で個展を開催して、出口で「おみやげ」として販売する。
→子供支援のサブスクの「支援アイテム」にする。
『どうすれば映画が売れ続けるか?』
→作品と季節を絡めて、行事イベント化して、毎年上映する。
→ドライブ・イン・シアターに落とし込んで、「単発の集客装置」として施設(団体)に提供する。
▲▲▲
宣伝会議の際の僕の口癖は「売ったところで意味がないよ」で、
基本的に僕は「売れ続ける仕組み」を創造します。
今、CHIMNEY COFFEEのカフェオベースがよく売れているそうですが、カフェオレベースを売るだけだと意味がなくて、カフェオレベースが売れ続ける仕組みを創造しないといけません。
僕個人の話をすると、「売れ続ける仕組みを創造しないと、西野の時間を宣伝に割き続けることになるので、西野が新しいチャレンジを始められない」という問題があったりします。
なので、絵本にしても、映画にしても、売れ続ける仕組みを創造するようにしています。
そんな西野が次に抱えている宿題は(まだ内緒ですが)『映画 えんとつ町のプペル』のD V Dです。
実は今、コッソリとD V Dを制作しているのですが(まだ内緒だぞ!)、まもなく始まるD V Dの宣伝会議で、必ず「どうやってD V Dを売っていきましょう?」という話になると思います。が、D V Dを売ったところで仕方ありません。
これだけ繰り返して言うと、もう、お分かりですよね?
「D V Dが売れ続ける仕組み」を創造することが重要です。
で、「D V Dが売れ続ける仕組みって何があるかなぁ?」と考えてみたのですが……結論としては「ドライブ・イン・シアターの出口で『おみやげ』として販売する」がありそうです。
そのことを確かめたくて、先日、ドライブ・イン・シアターに行って来たのですが、上映開始まで結構時間があるんですね(車をイイ感じに並べる時間)。
ただ、上映開始までの時間というのは全然退屈じゃなくて、車の中で食べる「おやつ」やら何やらをイオンに買い込みに行ったりするんです。
ドライブ・イン・シアターは、そんなのも、ひっくるめて(イベントとして)楽しいんです。
「映画館で観る映画」と「ドライブ・イン・シアターで観る映画」って全く別物なんですね。
後者は明らかに体験(イベント)で、「家族や友達や恋人と車の中に籠って、映画を観る」というのが、やたら楽しい。
綺麗な映像や、綺麗な音を楽しみたかったら、そんなもん、映画館で観た方がいいに決まってるんです。
………ということもあって、ドライブ・イン・シアターは「今度は、綺麗な映像や、綺麗な音で楽しみたい」という需要が生まれる場所だと思います。
(可能であれば「上映後」に買えた方がイイんだけれど…)ドライブ・イン・シアターの会場でD V Dを販売すれば、ドライブ・イン・シアターを続ける限り、D V Dが売れ続けるでしょう。
絵本を「個展会場のおみやげ」とした打ち手の、転用(D V D版)ですね😁
ありがたいことに、『映画 えんとつ町のプペル』のドライブ・イン・シアターはベチャクチャ好評で、またまたまたまた追加上映が決定しました。
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《追加上映決定!!》
6/12(土)イオン大井
6/18(金)イオン板橋ショッピングセンター
6/18(金)イオンモール筑紫野
6/19(土)イオンモール佐賀大和
6/19(土)イオン市川妙典店
6/20(日)イオンモール佐賀大和
【チケットはコチラから】
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昔から応援してくださっている方はご存知だと思いますが、絵本『えんとつ町のプペル』を「個展会場のおみやげ」として打ち出した時に、「『えんとつ町のプペル』は必ず100万部売れます。あとは時間の問題」という話をさせていただきました。
刹那的にバズるよりも、少しづつでも10年間売れ続けることの方が遥かにリターンが大きい。
きっと、これは全てのサービスに当てはまることだと思うので、一度、ご自身のお仕事に置き換えてみてください。
今日は『売れ続ける仕組みを創造する』というテーマでお話しさせていただきました。
現場からは以上で〜す。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
』を付けてTwitter(本アカ)で呟いていただけると、西野がネコのようになついて、フォローさせていただく場合がありますので、感想よろ!
 
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2021年06月02日のエンタメ研究所の過去記事

6月2日(水) ※6月4日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
エアロバイク系YouTuberのキングコング西野です。
さて。
今日は『インフルエンサーの栄枯盛衰から学ぶ【守り】の重要性』というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ 山の上に城を建てるな
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1ヶ月ほど前のサロン記事で「落とされる(場所に)城を建てるな」と書かせていただきました。
サロンメンバーさんの中には「いや、覚えてね〜よ」「読んでね〜よ。記事を遡るのが面倒だわ」という暴力的な方もいらっしゃると思うので、ザックリとおさらいすると……昔々(戦ばっかりしてた時代)、【お城】は「守りやすくて、攻められにくいとこに建てた方がいいよね〜」みたいなノリで、“山の上”に建てられることが多かったそうです。
たしかに、高い場所にいれば、敵が攻めてくるのも見つけやすいし(準備できるし)、その敵ときたら、山を登ってきた後なのでヘロヘロです。
「守りやすさ」を考えれば、お城は山の上に建てた方が良さそうです。
ただ、時代が少し進むと、少し事情が変わります。
『鉄砲』の登場です。
これがかなり厄介な問題で、『弓』に比べて『鉄砲』は飛距離が長いので、離れた場所からバンバン撃ち込まれてしまいます。
こうなってくると身動きがとれない「山の上の城」は蜂の巣状態。
「守りの要塞」でも何でもなくなったわけですね。
そこで、「城まで鉄砲の弾が届かない幅の【堀】を作ったらいいんじゃね?」と誰かが言い出した。
ところが山の上では【堀】を作ることはできません。
そんなこんなでお殿様達は「山の上の城」を捨て、【堀】を作るだけのスペースがある平野に【お城】を建てるようになったわけですが……
この問題は「そもそも鉄砲が登場することを知っていれば、山の上に城なんて建てなかったのに……」という部分です。
「新しい情報を仕入れることがいかに大切か?」がよく分かるエピソードですね。
至極当たり前の話ですが、「落とされる城」なんて建てちゃダメなんです。
これはビジネスの世界も同じで、皆、やたらと「自分の城」を作りたがりますが(むしろ「城を作ること」を目的としがちですが)、考えなきゃいけないのは、「作ったところで、どうなんだ?」という部分。
自分がこれから作ろうとしている城は、「落とされやすい城なのか?」「落とされにくい城なのか?」という部分ですね。
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インフルエンサーが作る城
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ここから一気に踏み込んだ話をします。
すっかり、「影響力をお金に両替しやすい時代」になりました。
インフルエンサー達は皆、あの手この手で自分の影響力を使ったビジネス(城)を作り、お金を生み出しています。
ただ、(生意気を承知で言わせていただくと)ほとんどのインフルエンサーは、「落とされやすい城か? 落とされにくい城か?」という観点がゴッソリと抜けていて、「作りやすい城」を作っている印象を受けます。
モデルさんならアパレルブランドを立ち上げ、
ユッキーナ(姉)ならタピオカ屋さんを立ち上げます。
ただ、それらの場所は「次の時代のインフルエンサー」に取って代わられてしまいます。
ボクシングジムを開設する【ボクシングの世界チャンピオン】と違って、
【人気モデル】は毎年誕生して、
【人気モデル】は毎年、アパレルブランドを立ち上げます。
まさか「影響力を使ってビジネスをするな」という話をしているわけではなくて、
「影響力の寿命(その業界のインフルエンサーの新陳代謝のスピード)を鑑みて、立ち上げるビジネス(城)を決めた方がいいかもね」という話をしています。
「モデルさんが影響力を駆使して作るアパレルブランド」は、「作りやすい城(マネタイズしやすいビジネス」ではあるけれど、「落とされやすい城」です。
「作りやすくて落とされやすい城」を作っても意味がありません。
城を落とされた後に残るのは僅かなお金と(残るのか?)、人間関係。
失うのは「城を作った時間」です。
YouTubeの「再生回数」も似た雰囲気です。
影響力を「再生回数」に反映して、広告費で収益を生んだところで、YouTubeの再生回数は「次の世代のインフルエンサー」にとって代わられてしまいます。
「落とされやすい城か? 落とされにくい城か?」という観点で見ると、YouTubeで可能性が残っているのは「メンバーシップ(月額課金)」ぐらい。
「いやいや、メンバーシップだって、次の世代のインフルエンサーが参戦してくるでしょ」というツッコミが入りそうですが、僕は「参戦してこない」とは言い切レませんが、「参戦しづらい」と考えています。
理由は、「芸能事務所が外部サービスの月額課金を簡単にはO Kにしないから」です。
「外部サービスの月額課金で十分食っていける」となってしまうと、所属タレントの流出は必至。
可能性があるとするなら、「YouTubeのメンバーシップはやってもO Kですよ。その代わり、事務所のアカウント(チャンネル)でやってね」です。
「事務所のアカウント」というのは、退所を検討する際の「人質」のようなもので、「辞めてもらってもいいけど、このアカウントは事務所のものなので、一旦、削除ね」と突きつければ、抑止力になります。
所属タレントに迫られた選択は「事務所のアカウントでメンバーシップを始めて、事務所に渡す人質を増やす」か「事務所を退所して、ゼロからスタートして、メンバーシップを立ち上げる」の二択。
「どちらも簡単には選べない」というのが僕の見立てです。
つまり、芸能事務所の「外部のサブスクサービス」は、「芸能事務所」が参入障壁となっている為、インフルエンサーの参加率が低い。
ものすごくイイ意味で、新陳代謝が悪いので、守りやすい。
僕がYouTubeで狙うなら、そのあたりです。
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インフルエンサーはどう生きるか?
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インフルエンサーなんて1シーズンの幻想であり、ボーナスタイムで、「その限られた時間を何に張るか?」という勝負だと思います。
僕のインフルエンサーとしての寿命も、あと2〜3年かなぁと思っています。
それは抗うことができない自然の摂理で、悲しくも何ともありません。
そこに向けて手を打っておけばいいだけの話です。
今朝、社長のヤン君と、スタッフの源田さん(高校の同級生だよ)に送ったL I N Eを要約すると以下の通り↓
★★★
インフルエンサーの生き方】
① メチャクチャ頑張って影響力を手に入れる
② 影響力がモロに反映されるビジネスをする
③ 影響力がモロに反映されるビジネスの売り上げを、影響力が反映されにくい手堅い(オールドタイプの)ビジネスに再投資する。
…ほとんどのインフルエンサーが②に長居しすぎて、消えちゃうよね。
②は腹6分目ぐらいにしておいて、③不動産屋さんになりましょう!
★★★
大切なのは「落とされにくい城」を作ること。
繰り返しになりますが、これは全てのサービスに言えることだと思います。
あなたの城はどこに建てますか?
以上、「エンタメを作るインフルエンサー」から、「エンタメを作る不動産屋さん」に化けようとしている西野が、現場からお届けしました。
今日も一日、頑張りましょう!
 
 
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2021年06月01日のエンタメ研究所の過去記事

6月1日(火) ※6月3日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
本日から渋谷『CHIMNEY COFFEE』に来た小学生以下の子供に絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』をプレゼントすることに決めたので、あなたの中での西野の好き度をもう二段階ぐらい上げて欲しいキングコング西野です。
さて。
今日は『もっと海外の皆さんに歩み寄ろうと思っているので、ちょっと手伝ってくれませんか?』というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ 現地の人と仲良くなる一番の方法
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海外での映画公開や映画祭などで、(コロナ禍なのでオンラインではありますが)現地の方に向けて舞台挨拶をさせていただく機会がチョコチョコと増えてきました。
僕と海外に行ったことがある方(※サロンメンバーさんとフィリピンの山奥に行ったよ)はご存知だと思いますが、西野ときたら、どこの国であろうと現地の人達と仲良くなるスピードが半端ないです。
相手の懐に入るスピードに関しては、地球人の中だとベスト10に入る自信があります。
結局、その調子でラオスの「ララ村」の皆さんとも意気投合し、小学校も建てちゃったほど。
ちなみに、ラオスには「ラーオ語(ラオス語)」という公用語があるものの、山奥の村になってくると、ラーオ語すら伝わらない人が出てきます。
が、村の子供から爺ちゃん婆ちゃんまでのハートを秒速でガッツリと掴む西野氏。
現地の人達と一番てっとり早く打ち解けるポイントがあります。
それは、「あなたと仲良くなりたい」という態度を示すこと。
中学校で習うような正しい文法なんかよりも、「あなたと仲良くなりたいんだ」という態度の方を示すことの方が遥かに重要で、余談ですが(世界を飛び回るホームレス小谷が)タクシーの海外の運転手さんに「急いでくださいっ!」と伝える時は、「ゴッドスピード、GO G O GO!」です。
これで、100%伝わります。
海外の舞台挨拶も同じで、大切なのは、「西野が、舞台挨拶の(お客さんとの)この僅かな時間をどれだけ大切にしているか?」を態度で示すこと。
そう考えると、冒頭の挨拶は「現地の言葉」の一択です。
一昨日の韓国の舞台挨拶では、
「ヨロブン、アニョハセヨ。チョヌン、西野亮廣イムニダ(皆さん、こんにちは。私の名前は西野亮廣です)」
とブチかました後に、
「チッチョネ、ハングゴル、コンブヘッソヨ(直前で韓国語を勉強したよ)」
と、お茶目を付け足す西野氏。
少々噛もうが、少々間違えようが問題ありません。
プレゼントと同じで、「お互いの距離を縮める為に費やした時間(努力)」を可視化することに意味があって、現地後での挨拶は(※きっと「よくできました」の意味も込めて)毎度、拍手が起こります。そして、皆、嬉しそうです。
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▼ 韓国の一人のお客さんから…
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そんな調子で盛り上がった韓国の舞台挨拶は「質問コーナー」へと発展し、約1時間に渡って、現地韓国のお客さんとコミュケーションをとらせていただきました。
その中で一人、僕のことを応援してくれているファンの方が、「日本語は難しくて分からないけど、西野亮廣が今考えていることに興味があって…」と話を切り出されます。
よくよく話を聞いていると、なんと、このオンラインサロンに入会されて、(翻訳アプリなどを駆使して)韓国語に翻訳して、毎日読んでくださっているという。
作品に興味を持った後に、作者の考えに興味を持つのは至極当たり前の話です。
それこそ僕は作家ミヒャエル・エンデの大ファンで、「エンデが、どういう想いで『モモ』や『はてしない物語』を書いたのか?」に興味が湧き、彼の考えが綴られている書籍を読み漁りました。
『映画 えんとつ町のプペル』は、エンデが問い続けた「どうすれば『お金』の支配から自由になれるのか?」というテーマが下地になっていて、エンデの思考無しには生まれることはありませんでした。
ありがたいことに、エンデの思考は日本語に翻訳されているものが多く、(実質)小卒の僕でもインプットすることができました。
翻って、僕はどうだ?
『革命のファンファーレ』などがアジアのいくつかの国で出ているものの、日本のように、毎日、考えを発信できていません。
作品だけを発表して、「西野が考えていることを知りたければ、そちらで頑張って翻訳してください」といった姿勢です。
まるで歩み寄ろうとしていません。
サロン記事を頑張って翻訳してくれている韓国の子の話を聞いて、「これはダメだな」と反省しました。
僕の方からもっともっと歩み寄らないといけないし、「あなたと仲良くなりたいです」を態度で示さねばなりません。
思い立ったが吉日。
そういえば、このサロンには各国で生活しているサロンメンバーさんがいます。
彼らにギャランティーを支払って、仕事として(副業として)、西野のブログ(西野の現地の個人ページ)を立ち上げてもらい、僕が毎朝ブログに書いている文章(Voicyを文字起こししたもの)を現地の言葉に翻訳してもらおうかなぁと思いました。
今、僕が知りたいことは以下の二つ。
・1500文字〜2000文字の日本語を現地の言葉に翻訳する際のギャランティーの相場。
・テキスト(ブログ等)の文化は、現地では、どれぐらい浸透(もしくは衰退)しているのか?
僕の理想は、Voicyに想いを録音したら、それが各国の言葉(文章)に翻訳されて、世界中の人に届くこと。
そして、それが現地で活動しているサロンメンバーの副業(雇用創出)になること。
まるで文化の違う国で生活されているサロンメンバーさんがこのサロンの中にはいらっしゃいます。
答えられる範囲で、お答えいただけると嬉しいです。
あと、「その副業、やります!」という方もお待ちしております。
反省しました。
作品だけじゃなく、キチンと世界中に歩み寄ります。
現場からは以上で〜す。
 
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2021年05月31日のエンタメ研究所の過去記事

5月31日(月) ※6月2日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
「インパルス堤下君の悪口を言うと仲良くなるキングコング」の西野です。
さて。
今日は『コロナ禍の旗艦店はいつもより少しドメスティックに』というテーマでお話ししたいと思います。
旗艦店(きかんてん)については以前もお話ししましたが、今日は、より具体的な話です。
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▼ オンラインショップの為の旗艦店
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旗艦店とは、「各地に出した同系列の店の中で、特にブランドの中心的な存在として位置づけられる店」のこと。
結論を先に言っちゃうと、「コロナ禍においては『旗艦店のデザイン(ブランドイメージ)』がオンラインショップの明暗を分けるから、戦略的に作りこんだ方がいいよね」という話です。
アパレルブランド「♯F R2」が仕掛ける移動販売車「♯F R2D O K O?」が絶好調です。
こちらの仕掛けに関しては『スナック西野』で、♯F R2の石川涼さんとガッツリと話させてもらっているので、特に、実店舗経営者さんは観ていただきたいのですが(→https://www.youtube.com/cha.../UCOy5sLcFLqYNqZ1iurp4dCg/join
)、とにかくお見事です。
愛知県豊橋市静岡県浜松市で開催した際には、1日で【320万円】を売り上げたそう。
現場の売り上げもさることながら、痛快なのは「移動販売の全国ツアー」という活動自体がブランドの宣伝になっていて、ブランドイメージを上げているところ。
【コロナ禍における♯F R2の旗艦店】は間違いなく、この移動販売車で、「攻める♯F R2」「ネタにする♯F R2」のイメージを大きく作っています。
オンラインの売り上げに好影響をもたらしたことが容易に想像できます。
さて。
スケールは劣りますが、同じ調子で快音を鳴らしているのが渋谷駅から徒歩2分の場所にある『CHIMNEY COFFF』です。
プロジェクトリーダーは新入社員の「べえ君」。
ご存知、「緊急事態宣言」は延長に次ぐ延長です。
4月オープンのこの店も、ほとんどが緊急事態宣言下での営業を強いられています。
思うようにいかないことも多々あるでしょうが、どっこい、5月のオンラインショップの売り上げが過去最高で、なんと【100万円】を突破したそうです。
コーヒー屋さんの(1店舗)のオンラインショップの売り上げが100万円を超えるなんて、とんでもない話です。
お客さんがオンラインショップに流れるまでのサイクルは出来上がっていて、おおよそ以下の通り↓
・来店したお客さんがお店の写真を撮る。
・西野のメンション(@西野的なやつ)を付けて、Instagramのストーリーにアップ。
・西野がシェア(これ、ワンタッチ)
・西野の投稿を見た人がオンラインショップに飛ぶ
…という至極オーソドックスな流れ。
ただ、他所と違うのは、これがコーヒーファンだけではなく、「えんとつ町コミュニティー」に訴求できているということ。
『絵本 えんとつ町のプペル』や、
『映画 えんとつ町のプペル』や、
『ミュージカル えんとつ町のプペル』や、
『スナック C A N D Y』や、
『天才万博』や、
みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』
…との“合わせ技一本”になっていて、全国に散らばるそれぞれのファンが「どれどれ、えんとつ町のコーヒーとな?」となっています。
店の内装を「えんとつ町」にしていなければ、この流れは生まれなかったでしょう。
この一年、「コロナ禍だからオンラインの売り上げも作らないと…」というセリフを1000万回ぐらい聞きましたが、オンラインこそ「ブランド」と「コミュニティー」の勝負になってくるので、「あなたの旗艦店はどうだ?」が強く問われます。
「どんな理念を掲げている店で、どのコミュニティーを刺しにいっているのか?」
ここを明確にしておかないと(少しドメスティックにしておかないと)、検索に引っかかってきません。
たとえば「観葉植物に囲まれ、木の良い香りが漂っていて、天井からは、小さな裸電球とガーランドがたくさん垂れ下がっているなんかイイ感じのオシャレな雑貨屋」のオンラインショップでは、おそらく、誰にも見つからずに終わるでしょう。
ここが今日の話のポイントなのですが…
まずは、「ウチのオンラインショップは、そもそも、どの検索ワードに引っかかるのか?」を考えなきゃいけない。
「オシャレな雑貨屋」は実店舗にお客さんが流れこんでくることはあっても、「オシャレ 雑貨屋」の検索に引っかかることはないので、オンラインショップまで辿り着いてもらえません。
コロナ禍で、どのみち実店舗の集客が期待できないのであれば、コロナ禍は通常時よりも少しドメスティックに旗艦店をデザインして、「検索に引っかかる店」に寄せた方がいいかもしれません。
もちろんドメスティックにすればするほど「入りにくい店」になるわけで、諦めなきゃいけないお客さんが発生します。
ただ、誰でも入れる無味無臭の個人店のオンラインショップが売り上げを作れるわけがなくて、ここはキチンと損切りをして、「どれぐらいの塩梅で旗艦店のエッジを立てていくか?」という勝負だと思います。
CHIMNEY COFFEEの成長記録は、実店舗経営者さんのヒントになると思うので、今後も、こと細かに共有して行きます。
現場からは以上で〜す。
 
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2021年05月30日のエンタメ研究所の過去記事

5月30日(日) ※6月1日以降は『いいね』を押さないでください。
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日曜日なので、今日は仕事の話はお休みさせていただいて、
とくに着地ポイントを決めずに、今ボンヤリと思っていることをタラタラ書いてみたいと思います。
読んでも、読まなくても、得も損もない内容です。
感動する話でもありません。
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▼ 頑張ろうニッポン!
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今夜、韓国で『映画 えんとつ町のプペル』の舞台挨拶があります。 
僕はオンラインで参加。
数年前に作った絵本は映画となり、現在、各国での上映に加え、「ロッテルダム国際映画祭」「アヌシー国際アニメーション映画祭」「上海国際映画祭」…といった調子で、いろんな国で頑張ってくれています。
そして、その裏で、ヒッソリと新作が出ます。
絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』です。
発売に合わせるように、『キンコン西野のサイン本屋さん』にサイン本のご注文がたくさん入っていて(ありがとうございます!)、今朝もせっせとサイン入れ・梱包・配送の無限ループ。
「たくさん注文が入っている」といっても【絵本】なので、その数は知れています。
サイン本を100冊配送するまでには、それなりの労力を割くことになるわけですが、それでも100冊。
今の『映画 えんとつ町のプペル』の結果に比べれば、なんともちっぽけな数字です。
S N Sのスタープレイヤーがウン十万人、ウン百万人に発信して、
YouTuberさんがウン十万再生、ウン百万再生して、
テレビタレントさんがウン百万人、場合によってはウン千万人に観られているその裏で、
サインを入れて、梱包して、鞄いっぱいに配達物を入れて、
郵便ポストまで何度も往復している自分が地味で地味で仕方がない。ホント地味!
だけど、世界に繋いでくれたのはこの作業です。
ここに身を置くしかない。
ここに身を置かないと、世界戦が始まらない。
表現活動を生業にした時のポイントの稼ぎ方は二つ。
「生産する」か、「生産されたものに意見を言う」か。
共感が集まる意見を言えば、食っていくことができます。
だけど、きっと皆薄々気づいている。
「意見」が資産化されないことを。
「意見」を言う側にいる限り、自転車操業が続くことを。
「意見」は海の外に出ていかないことを。
だけど、今はまだ後者の方がポイントが稼ぎやすいのだと思います。
そんな中、昨夜、けんすうサンがnoteにアップされた記事は希望でした。
腹を割って喋ると……僕には日本人に対して「意見ばっか言って、斬り方ばっか競って、ちっとも前に進んでないじゃないか。何も生み出してないじゃないか。それ、いつまでやるつもりだよ」という憤りめいた想いがあります。
ずいぶん前からウンザリしていたのですが……最近、同じように考えている人がチラホラと増えてきました。
イイ傾向なのかな。
ここらで「意見」はほどほどにして、「生産」に目を向けてもらえたら嬉しいです。
皆が皆、海外を狙っているわけじゃないので、海外戦を基準に考えるのは激しくお門違いです。
ですが、やっぱり僕は「日本人プレイヤーの才能が劣っている」とは思えません。
ならば結果を大きく分けている原因は何なのか?
きっとそれは「希望」の有無だと思います。
「どうせ無理」と思ってしまう環境にある人と、
「やればできる」と思える環境にある人とでは、エンジンのかかり方に違いが出て当然です。
日本の事情も分かります。 
ただ、それでも僕は日本が好きなので、あげ足を取り合っている日本人なんて見たくありません。
見たいのは、相手がハリウッドであろうと、ディズニーであろうと、十二分に渡り合っている姿です。
その為には「あ。頑張ればできるんだ」というところを見せて、希望を持ってもらう必要があります。
きっとそれは僕の宿題です。
昨日。東京・明治座で「海老蔵歌舞伎」が開幕しました。
本番前に楽屋にお邪魔して、久しぶりに海老蔵さんとガッツリお話しさせていただきました。
今回の公演の趣旨と、今後の展望を語る海老蔵さん。
終演後に(「面白かったです!」と)感想をお伝えすると、「よかった〜」「ああ〜よかった」と繰り返し安堵の溜息が溢れる海老蔵さん。
そこには終始「作り手」の匂いしか漂っていませんでした。
作る側に回るのは、
不安だし、恐怖だし、
報われることの方が少ないし、
予算の問題も集客の問題も一生つきまとうし、
ドヤ顔で意見ばっか言ってるヤツにはそれなりにムカムカするけれど(ナイショだよ)、
ここに生きるしかありません。
ここにしか未来がない。
Twitterで『みにくいマルコ』で検索すると、絵本を手にした子供達の画像がたくさん出てきます。
作り手としての苦労や恐怖や孤独は絶えませんが、こういった顔を見ると、まだまだ頑張れそうです。
韓国に先を越されちゃったけど、「キチンと学んで、キチンと努力すれば、日本からでも世界に繋がっている」というところを、日本の子供達に見せたいと思います。
今日は、これから本広克行監督の現場のボランティアバイトに行ってきます。
実写の現場がどう回っているのか、実写の現場がどんな可能性と問題を抱えているのか……僕はまだ何も知らないので、勉強してきます。
日本人でも「希望」が持てる環境に持っていくので、ちょっと待っててください。
鬼クソがんばります。
それでは、素敵な日曜日をお過ごしください。
 
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2021年05月29日のエンタメ研究所の過去記事

5月29日(土) ※5月31日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
冒頭のツカミの挨拶を頑張りすぎてしまうと、「本編の内容が入ってこない」という事故が起きてしまうことが分かったキングコング西野です。
さて。
今日は「アート作品として『家』を作る」というテーマでお話ししたいと思います。
読んだところで何の役にも立たない「西野の悪ふざけのお知らせ」です。
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▼ 「デカイもの」が好き!
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子供の頃、母ちゃんに連れられて観に行った「太陽の塔(@万博公演)」が好きだったのですが、「なぜ、太陽の塔が好きなんだろう?」と考えた時に、自分の中にあった答えはデザイン的な理由よりも「デカイから」というアホみたいな理由が勝っていました。
太陽の塔」が3メートルだったら、きっと僕は「太陽の塔」に恋していなかったのです。
下半身の毛も生え揃って、自分がモノを作る側になると、「デカイもの」に対する想いは、よりいっそう強くなります。
下半身の毛が生えていなかった頃(※「子供の頃」と言え!)に比べて、「デカイものが何故面白いか?」をもう少しだけまともに説明できるようになったのですが、その一つに、「デカイものを見ようと思ったら、見上げなきゃいけないので、口角が上がって、ニヤニヤしちゃうから」があります。
「筋肉」に引っ張られる形で「感情」が生まれるケースって全然あると思っていて、仮に、今、(一瞬だけでいいので)口角を上げて笑顔を作っていただきたいのですが……ちょっと楽しくなったでしょ?
デカイものを作って、「人が上を観ている時間(理由)」を増やせば、幸せの総量が増えるなぁと思いまして……そんなこんなで「デカイもの」が好きです。
あと、作るモノがデカくなればなるほど「作る難易度が高くなる」というのも「デカイ
もの」が好きな理由の一つです。
作るモノがデカくなると、必要になってくるのは技術だけではなく、場所も予算も必要です。協力してくれる人も必要です。
作品のサイズが大きくなればなるほど、クリエイターだけではなく、プロデューサーとしての能力も必要になってきます。
そんなこんなで、すっかり「デカイモノ」に魅せられている西野が作品の最大単位としたのが「町」です。
「町」より大きなモノとなると、「国」や「星」になってくるので、そこは諦めました。
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▼ 「町」をどう作るか?
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町の作り方はいろいろあります。
「辺境の地を格安で購入して、そこに建物をポコポコ建てていく」というのが一つあると思うのですが、交通の便がよろしくない場所に作ってしまうと、やっぱり、町を回していくことが大変で…願わくば「都心にサクッと出ることができて、都心からもサクッと来れる場所」に町を作れるといい。ですが、2021年の地球のどこを探しても、そんな場所はありません。
そこで西野は、「すでに存在している町(通える距離にある町)に手を加える」という打ち手を編み出します。
それが『えんとつ町』です。
ベースとなる建物を日本家屋にしておいて、そこに提灯やら煙突やらのデコレーションを足せば「えんとつ町の建物」になるように、そもそもの『えんとつ町』をデザインしてみました。
そうすれば、日本中に『えんとつ町』を作ることが可能です。
そんなこんなで僕の地元・兵庫県川西市に『えんとつ町』を作るべく、チマチマと活動しているわけですが、ここで「すでに存在している町に手を加える」の“手の加え方”というのが、【3つ】あることを、プロジェクトをスタートさせてから気がつきました。
一つ目は、「既存の家屋をリフォームする」です。
これは絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』にも出てくるスナック『CANDY』などがそうです。
すでに存在していた建物に、提灯や煙突を付けて、ドアを取っ替えて、壁を塗り直して…「えんとつ町の建物」にしました。
このやり方は、今後も続けます。
二つ目は、「会社で土地を買って、その中に『えんとつ町』を作る」です。
「すでに存在している町」とはいえ、その町の中には「売りに出ている物件」があったりします。古くなっちゃって、なかなか住めないような物件です。
会社でその土地を買っちゃって、サラ地にして、今はそこに「アパート(集合住宅)」を作ろうとしています。
※元は美術館建設予定地だったのですが、あまりにも住宅街すぎるので、美術館は別の場所(近所)に作ります。
そして三つ目は、「個人で家を建てて、買い手が見つかれば売る」です。
これをやるには、宅建免許的なモノが必要になってきますが、「えんとつ町の家」を建てて売って、その売り上げで、また「えんとつ町の家」を建てて売って…を繰り返しながら、あたり一帯を『えんとつ町』にする…というやり方です。
はたして、そんなデタラメなやり方が上手くいくかどうか分からないすぎるので、誰にも迷惑をかけないように「個人で」やることにしました。
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▼ アート作品としての家の可能性
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そんなこんなで、今は、「家」を作っています。
すでに物件は買って、これから取り壊してサラ地にして、そこに「家」を建てます。
購入者が現れるまでは、「僕の家」です。
実際に僕が住む家です。
家を作ってから、家具を探すのではなくて、その家に置く家具もひっくるめて、家を作り、
家を売るときは家具ごと売ります。
今の僕の家(東京の家)がその発想なのですが……人生において、「家にいる時間」が最も長いので、家自体を楽しくした方が、人生の楽しい時間が増えます。
というわけで、僕の家の玄関の壁は巨大なルビッチの顔があったり、リビングの壁は「時計台」になっていたりします。
♯スナック西野の後ろに映り込んでいるアレ
その調子で今度も家は、「外観」から「天井の高さ」から「室内の導線」まで、自分好みの家(僕がワクワクする空間)を作ってしまおうと思っているのですが、そうなってくると、もう「作品」なんですね。
機能性を追求して作らない「絵」や「彫刻」と同じです。
事実、今、僕が作っている家は、階段が7箇所ほどあります。
足の悪いお婆ちゃんなんかは住めたもんじゃありません。
ですが、家を退屈にさせている原因の一つに「目線の位置が変わらない」があると思っていて、そこは楽しさ優先。
立つ場所の高さが30センチでも変わると、世界が変わります。
演劇の舞台とかは、そういった理由でステージ上に段差を作ったりします。
自分の中の面白いを詰め込んだ家を作って、それを作品として販売していく活動は面白いなぁと思いつつ、今、もう一つ仕掛けてやろうかなぁと企んでいるのは、「家の図面をN F Tで販売する」です。
「面白い家」は、図面自体が作品として成立すると思っていて、それさえあれ3D
にすることもできるし、現実空間にボワンと現れる「西野の家A R」も可能です。
特典として、その図面を使って実際に家を建てるのもO Kにしてしまう。
♯僕の家がモデルルームになるイメージです
家を「アート作品」としていて作ると、いろいろな展開が作れそうです。
そんな感じのギャグを繰り返しながら、少しずつ町ができていけばいいなぁと思っています。
文章だけ読んでも、いまいちイメージが掴めないと思いので、まずは1つ目の作品(家)をソッコーで作ります。
「あいつ、バカなことやってるなぁ」と思ってもらえたら本望です。
現場からは以上で〜す。
 
 
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