西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年06月02日のエンタメ研究所の過去記事

6月2日(水) ※6月4日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
エアロバイク系YouTuberのキングコング西野です。
さて。
今日は『インフルエンサーの栄枯盛衰から学ぶ【守り】の重要性』というテーマでお話ししたいと思います。
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▼ 山の上に城を建てるな
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1ヶ月ほど前のサロン記事で「落とされる(場所に)城を建てるな」と書かせていただきました。
サロンメンバーさんの中には「いや、覚えてね〜よ」「読んでね〜よ。記事を遡るのが面倒だわ」という暴力的な方もいらっしゃると思うので、ザックリとおさらいすると……昔々(戦ばっかりしてた時代)、【お城】は「守りやすくて、攻められにくいとこに建てた方がいいよね〜」みたいなノリで、“山の上”に建てられることが多かったそうです。
たしかに、高い場所にいれば、敵が攻めてくるのも見つけやすいし(準備できるし)、その敵ときたら、山を登ってきた後なのでヘロヘロです。
「守りやすさ」を考えれば、お城は山の上に建てた方が良さそうです。
ただ、時代が少し進むと、少し事情が変わります。
『鉄砲』の登場です。
これがかなり厄介な問題で、『弓』に比べて『鉄砲』は飛距離が長いので、離れた場所からバンバン撃ち込まれてしまいます。
こうなってくると身動きがとれない「山の上の城」は蜂の巣状態。
「守りの要塞」でも何でもなくなったわけですね。
そこで、「城まで鉄砲の弾が届かない幅の【堀】を作ったらいいんじゃね?」と誰かが言い出した。
ところが山の上では【堀】を作ることはできません。
そんなこんなでお殿様達は「山の上の城」を捨て、【堀】を作るだけのスペースがある平野に【お城】を建てるようになったわけですが……
この問題は「そもそも鉄砲が登場することを知っていれば、山の上に城なんて建てなかったのに……」という部分です。
「新しい情報を仕入れることがいかに大切か?」がよく分かるエピソードですね。
至極当たり前の話ですが、「落とされる城」なんて建てちゃダメなんです。
これはビジネスの世界も同じで、皆、やたらと「自分の城」を作りたがりますが(むしろ「城を作ること」を目的としがちですが)、考えなきゃいけないのは、「作ったところで、どうなんだ?」という部分。
自分がこれから作ろうとしている城は、「落とされやすい城なのか?」「落とされにくい城なのか?」という部分ですね。
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インフルエンサーが作る城
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ここから一気に踏み込んだ話をします。
すっかり、「影響力をお金に両替しやすい時代」になりました。
インフルエンサー達は皆、あの手この手で自分の影響力を使ったビジネス(城)を作り、お金を生み出しています。
ただ、(生意気を承知で言わせていただくと)ほとんどのインフルエンサーは、「落とされやすい城か? 落とされにくい城か?」という観点がゴッソリと抜けていて、「作りやすい城」を作っている印象を受けます。
モデルさんならアパレルブランドを立ち上げ、
ユッキーナ(姉)ならタピオカ屋さんを立ち上げます。
ただ、それらの場所は「次の時代のインフルエンサー」に取って代わられてしまいます。
ボクシングジムを開設する【ボクシングの世界チャンピオン】と違って、
【人気モデル】は毎年誕生して、
【人気モデル】は毎年、アパレルブランドを立ち上げます。
まさか「影響力を使ってビジネスをするな」という話をしているわけではなくて、
「影響力の寿命(その業界のインフルエンサーの新陳代謝のスピード)を鑑みて、立ち上げるビジネス(城)を決めた方がいいかもね」という話をしています。
「モデルさんが影響力を駆使して作るアパレルブランド」は、「作りやすい城(マネタイズしやすいビジネス」ではあるけれど、「落とされやすい城」です。
「作りやすくて落とされやすい城」を作っても意味がありません。
城を落とされた後に残るのは僅かなお金と(残るのか?)、人間関係。
失うのは「城を作った時間」です。
YouTubeの「再生回数」も似た雰囲気です。
影響力を「再生回数」に反映して、広告費で収益を生んだところで、YouTubeの再生回数は「次の世代のインフルエンサー」にとって代わられてしまいます。
「落とされやすい城か? 落とされにくい城か?」という観点で見ると、YouTubeで可能性が残っているのは「メンバーシップ(月額課金)」ぐらい。
「いやいや、メンバーシップだって、次の世代のインフルエンサーが参戦してくるでしょ」というツッコミが入りそうですが、僕は「参戦してこない」とは言い切レませんが、「参戦しづらい」と考えています。
理由は、「芸能事務所が外部サービスの月額課金を簡単にはO Kにしないから」です。
「外部サービスの月額課金で十分食っていける」となってしまうと、所属タレントの流出は必至。
可能性があるとするなら、「YouTubeのメンバーシップはやってもO Kですよ。その代わり、事務所のアカウント(チャンネル)でやってね」です。
「事務所のアカウント」というのは、退所を検討する際の「人質」のようなもので、「辞めてもらってもいいけど、このアカウントは事務所のものなので、一旦、削除ね」と突きつければ、抑止力になります。
所属タレントに迫られた選択は「事務所のアカウントでメンバーシップを始めて、事務所に渡す人質を増やす」か「事務所を退所して、ゼロからスタートして、メンバーシップを立ち上げる」の二択。
「どちらも簡単には選べない」というのが僕の見立てです。
つまり、芸能事務所の「外部のサブスクサービス」は、「芸能事務所」が参入障壁となっている為、インフルエンサーの参加率が低い。
ものすごくイイ意味で、新陳代謝が悪いので、守りやすい。
僕がYouTubeで狙うなら、そのあたりです。
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インフルエンサーはどう生きるか?
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インフルエンサーなんて1シーズンの幻想であり、ボーナスタイムで、「その限られた時間を何に張るか?」という勝負だと思います。
僕のインフルエンサーとしての寿命も、あと2〜3年かなぁと思っています。
それは抗うことができない自然の摂理で、悲しくも何ともありません。
そこに向けて手を打っておけばいいだけの話です。
今朝、社長のヤン君と、スタッフの源田さん(高校の同級生だよ)に送ったL I N Eを要約すると以下の通り↓
★★★
インフルエンサーの生き方】
① メチャクチャ頑張って影響力を手に入れる
② 影響力がモロに反映されるビジネスをする
③ 影響力がモロに反映されるビジネスの売り上げを、影響力が反映されにくい手堅い(オールドタイプの)ビジネスに再投資する。
…ほとんどのインフルエンサーが②に長居しすぎて、消えちゃうよね。
②は腹6分目ぐらいにしておいて、③不動産屋さんになりましょう!
★★★
大切なのは「落とされにくい城」を作ること。
繰り返しになりますが、これは全てのサービスに言えることだと思います。
あなたの城はどこに建てますか?
以上、「エンタメを作るインフルエンサー」から、「エンタメを作る不動産屋さん」に化けようとしている西野が、現場からお届けしました。
今日も一日、頑張りましょう!
 
 
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