西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2020年02月01日のエンタメ研究所の過去記事

2月1日(土) 2月3日以降は『いいね』を押さないでください。
━━━━━━━━━
おはようございます。
サロンの記事を「前編/後編」で分けると、後編への期待値が上がってしまって、恐ろしくなって、後編が書けなくなることが分かったキングコング西野です。
というわけで、今日は『広告を考える 【後編】』です。
昨日の記事を読んでいない方は、先にそちらを読んでください。
広告を考える上で、僕たちがまず踏まえておかなくちゃいけないのは、「広告には種類(それぞれの役割)がある」という点です。
細かく分けていくと山ほど種類が出てきてしまうので、ここでは、広告の種類を大きく二つに分けてみたいと思います。
『実売広告』と『ブランディング広告』です。
オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』を例にあげると、僕は、10日に一度ぐらい、サロンに投稿した記事をブログに公開しているのですが、あれは『実売(に繋げる)広告』ですね。
商品を見せて、商品の購入方法まで、懇切丁寧にご案内しています。
スーパーの試食コーナー的な感じで、そこには、「買ってください」という声が響いています。
あれをやるとリアルに数字が動きます。
ただ、どうですか?
TLをひらけば、いつも「買ってくださーい!」と叫んでいる人のSNSって、すっ飛ばしません?
「はいはい。また宣伝ね」となっちゃって、ほぼ、見ないですよね?
僕は見ませんよ。
TLをひらく度に、買わされるのツライもん!
となってくると、継続的に『実売広告』を見てもらう為には、売り手は『売らないターン』を用意しなきゃいけないんですね。
タレントさんが、日々の何でもないことをブログに投稿したりしていますが、まさに、あれです。
「この人、面白いなぁ」「この人の理念、好きだなぁ」「この人、応援したいなぁ」と思ってもらう為に、時間(お金)を割いて、せっせと書いているブログ…あれこそが『ブランディング広告』です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ え? だったら、「そごう」のCMはブランディング広告として、イイんじゃないの?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あらゆる「商品」「サービス」のクオリティーが上がって、均一化されて、機能で差別化が図れなくなった今、モノを選ぶ時は「人検索」となり、「あの人から買おう!」が理由になるので、『ブランド』になることはメチャクチャ重要だし、『ブランディング広告』って、もう本当に、メチャクチャ鬼クソ重要なんです。
ただ、一つ。
絶対に押さえておかなくちゃいけないことがあります。
それは、
『ブランドになるまでには時間がかかる』
ということです。
ブランドは一朝一夕で手に入らないんです。
キングコング西野を例にして考えるとイメージしやすいかもしれません。
キングコング西野って、なんか、よく分からないけど、ずっと変なコトをしてるじゃないですか?
絵本を描いたり、成人式をプレゼント(リベンジ成人式)したり、ハロウィンのゴミ拾いイベントをしたり、海外に小学校を作ったり、スラム街の支援をしたり、映画を作ったり……で、おそらくTVタレントさんが嬉々としてイジったり、日本中が鼻で笑っていたのって、今、挙げた中の、たぶん前半の方なんですね。
「他のタレントが他人の不倫を叩いてギャースカ言っている間、よくよく考えたら、キングコング西野は、一貫してエンターテイメント(人を楽しませること)しかしていなかった」ということが、ジワリジワリとバレ始めた。
これがブランドの生まれ方ですね。
誰が何を言おうと、ずっと『ブランディング広告』を続けたことによって、「#革命」「#エンターテイメント」「#楽しい」「#挑戦」あたりが手に入った。
それが手に入れば、あとは「#」と「企画」のコラボです。
『○○×革命』の企画会議で、よく名前があがる代表選手がキングコング西野です。
草間彌生さんが「#水玉」を手に入れて、蜷川実花さんが「#花柄」を手に入れたように。
ブランドの正体は「貫いた理念」なので、「貫いた」ということが確認できるまでには、ある程度の『時間』が必要なんですね。
今回の「そごう」のCMは、まったく無駄ではないのですが、あのCMの効果を出す方法は、ただ一つで、『続けること』です。
あれは、半年に一度ぐらいのペースで新作を出し続けて、5年ぐらいやり続けないといけないんです。
もっと言うと、あの方向でいくなら、店内のディスプレイから何から、全部一新して、CMイメージとの一貫性がなくちゃいけない。
集客には、「集客」と「収客」があって(※誰かが言ってた)、せっせとお客さんを集めたところで、収める場所が用意されていなかったら、集客にかけた時間とお金がまったく無駄になる。
椅子が無いオールスタンディングのライブに、膝の悪いお爺ちゃんお婆ちゃんを呼び込んでいるイメージです。
10分で帰られて、そこで帰っちゃった人は、もう二度と戻ってきません。
整理すると、「そごう」の広告マンが考えなくちゃいけなかったのは、「そもそも、あのCMを数年間打ち続けるだけのアイデアと予算を確保していたか? (※その話し合いを済ませたか?)」ということと、「CMイメージと、商品(および売り場)の一貫性があったのか?」といったところでしょうか。
ここをキチンと用意しないかぎり、『ブランディング広告』というのは、「あのCM面白いよねー」で終わってしまうので、やるだけ無駄です(マジで)。
━━━━
▼ まとめ
━━━━
裏切ってしまったお客さんは二度と戻って来ないので、裏切る結果になる空間に集客すればするほど、集客力は落ちます。
舞台『えんとつ町のプペル』で、僕が「音楽とダンスは酷いですが、差っ引いても最高です」と、ここで正直に言っておかなかったら、きっと皆さんは再演時に足をくれないでしょう。
広告は往々にして「面白い」に走りがちですが、面白い広告を打つのなら、ブランドになるまで打ち続けなきゃいけないし、なにより、面白い空間(収客スペース)を用意しておかなくちゃいけません。
結構な数のサービス提供者が、この地雷を踏んでいるので、ここは本当に気をつけた方がいいと思いまーす。
現場からは以上でーす。
 
▼オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』入会はこちら ↓↓↓